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第十三話 仲間

「――――頭部破壊っ!!」



 ここは第五合窟、新しいキーを受け取りすぐさま僕達はここに来ていた。


 キリやんと二人だけだ、みんなで来たかったんだけど……早急に金を稼がなくてはならなくなったため、一日でも無駄には出来ない。



「おいおい、頭を吹き飛ばしてどうすんだよ!? せっかく立派な角が生えていたのに……」


「……飽きたんだよ、心臓ばっかりで」



 グチグチと文句を言いながらも、キリやんは使えそうな素材を剥ぎ取っていく。


 今日は荷物持ちが少ないからな、出来るだけ高価そうな物を持って帰りたい所だ。



「神喰らいでも出ないなかぁ~」


「か、神喰らいってあのヤバそうな奴か? や、やめてくれよ……」



 あれが現れてくれれば金の心配は今後一切なくなるからね! まさに歩くお宝、人生大逆転だ。



 その後第五合窟をくまなく歩き回ったが、神喰らいはいなかった。流石に宝箱はあったけど、中身は大した物じゃない。ウィッチシリーズも残念ながらなかったし、今日の収穫は芳しくない。



〈ここも外れのようだの〉


(そうだね、ウィッチシリーズ、期待していたのに……)


〈……我らの目的を忘れていないか? オルがやると言ったのだぞ?〉



 そっちか。この五合窟にも大地のエネルギーを感じる事はなかった。もっと上なのか、それとも逆に最下層にあるのか……なんとなく最下層っぽいな。



「今日はもう引き上げるか? それとも……第六合窟、行くか?」



 意外にもキリやんがそう言った。その顔には自信に満ちており、頼もしい限りだ。だがどこからその自信が出て来るんだ? 何か特殊能力でも手に入れたのだろうか?



「そのバッグもうパンパンじゃん……それに少し疲れた、行きたいなら一人で行ってよ」


「一人で行ける訳ないだろ!? 五秒で死ぬぜ!!」



 いや、恐らく二秒で死ぬよ。


 そんなやり取りをしつつ僕達は五合窟を出た。今日の稼ぎはいくらになるだろう……そう考えながら第三合目の登山道を歩いていた時だった。



「――――キリヤンじゃねぇか! おいおい、臆病キクチはどうした? いよいよ切り捨てて新しいゴミでも見つけたのか!?」



 大声でキリやんに声を掛けてきた男達。身なりからしてこいつ等も探検者のようだが、キリやんの知り合いか?



「い、いや……あはは、キクチは宿で寝てるよ……」


「宿で寝てるぅ? ギャハハハハハ!! なんだそりゃ!? 相変わらずのお間抜けコンビだぜ!! ビビッて布団から出られねぇってか!!」



 男の笑いを皮切りに、他の男達も下品な笑い声を上げ始める。


 ……なんかムカつくな。こいつ等のキリやんを馬鹿にしたような態度もそうだが。


 キリやん、お前はなんで笑っているんだ? 相棒が馬鹿にされた、間抜けだとコケにされた……それなにのどうして笑うの?



「黙って街外れでゴミ拾いでもしていればいいんだよ!! お前達のような奴が霊峰に来るなんざ百年はえぇ!! そうだろ!? 弱虫キリヤン!!」


「あ……あはは……はは……そ、そうだな……」



 まるで自分を見ているみたいだ、今のキリやんは昔の……ヴァルと出会う前の僕にソックリだ。


 言い返す事もなく、笑って誤魔化す。相手に不快感を与えない事だけを考えて、自分を殺す。



「おいそりゃ魔者の素材か? また死体漁りでもしたか? 汚ねぇ野郎だな! 安心しろ、俺達が掃除してやる! その素材を寄こせ!!」


「い、いや……これは……あはは……その……」



 本当に僕はダメな奴だった。今でこそ自信がついた僕だけど、僕は幸運にも力を得ただけ、本来今のキリやんの姿を見てイラつく権利は僕にはない。


 でも、僕はこのチャンスに変わるよ!! 君にも幸運の力を、チャンスを分けてあげる!


 僕達はパーティー、仲間だろ? 頼ればいいんだよ、仲間に。助け合うのが仲間だ、今は僕達が助けている事が多いだろう。いいんだよ! いつか僕の事も助けてくれれば!



「……キリやん、何笑ってんの? 言ってやれよ、僕達が今日どこを踏破して、明日どこに挑もうとしているのかを……この雑魚どもに教えてあげなよ?」


『その通り! お前の仲間は圧倒的強者! 虎の威を借りろ! 長い物には巻かれろ! それは悪い事ではない、生きていく為の知恵、生き抜くための努力だ!!』



(……なんかそれは違くない?)


〈い、いいだろ別に! どうしていちいちツッコむのよ!?〉



「……オルクス、俺を仲間だと言ってくれるのか……? こんな俺を……」



 顔から作り笑いを消したキリやん、徐々にだが顔に自然さが戻って来ていた。


 お前も菊地も仲間だ、仲間を貶す奴は許さない。



「おいクソガキ……今なんつった? てめぇ死にてぇのか?」



 僕の言葉に怒った男達、殺気が滲みでているが何とも思わない。僕は最上位神達の神気を何度も浴びてきた。昔の僕ならともかく、その程度の殺気が僕に影響を及ぼす事はない。



「お前も相当の馬鹿らしいな? そりゃそうか! 弱虫キリヤンと臆病キクチのお仲間だってんだ! てめぇも死体漁りがお似合いだぜ!!」



 再び響き渡る男達の下品な笑い声。いいね、精々盛り上がりなよ。数分後その顔がどう変化するのか見物だね。


 さぁキリやん!! 反撃の時だよ!!


お読み頂き、ありがとうございます


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