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第七話 神喰らい

お読み頂き、ありがとうございます

「心臓破壊!!」


「魅惑の華!!」



 神の力を惜しみなく使い、魔者を狩っていく僕達。


 最初は隠していたけれども記憶を破壊すればいい事を思い出し、キリやん達に見せびらかす様に力を使っていた。



「すげぇなぁその神術、俺も覚えられねぇかな?」


「…………無理だ」



 が、こいつ等は神力を神術だと勘違いしている様子。


 それも仕方ない、ほとんどの人間は神力の事を知らない、それどころか下界が神で溢れている事すら知らないのだから。



『潜って何時間だ? おいマッパー! ここはどの辺りだ?』



 やる事がなくなった二人に、洞窟内の構造をマッピングする事を任せていた為、その確認をするヴァル。


 二人は作成した地図に顔を落とし、眉間に皺を寄せながらも問いに答えた。



「もう七割は踏破したと思うぜ? ……しかし宝箱が一つもないとは……外れ階層か?」



 七割踏破……宝はゼロ。魔者の素材は大量にあるが、流石にもう持ちきれないらしい。


 二人のバッグはパンパンだ、何か液体が染み出して臭いから近づかないで欲しい。



「気づいたんだが、三合窟と造りが似ている……同じならこの先に大きな広間があるはずだ」



 そう言って暗闇の先を指さすキリやん。


 割合的に最後の部屋って感じかな? 隠し部屋とかもあるのかもしれないが、そんなのを見つけられるノウハウは持っていない。


 まぁ、ここは十ある階層の四つ目、宝があっても大した事はないのだろう。



『では小休止とするか? 腹も減ったしな』



 ヴァルの言葉で壁を背に腰を下ろす僕達。破壊の力を領域展開し、万が一に備えた後で食事を取った。



「しっかしアンタ達なら火口や上層にも本当に行けそうだな、何が目的だよ? すげぇ宝でもあるのか?」



 食事を行いながら口を開くキリやん。


 目的を話した所で理解出来るはずもない。僕達が動かないと、この大陸は消滅します。そんな事言われて信じる奴はいないだろう。



「別に何も……ただマグマの海で海水浴したいだけだよ」



 その言葉に苦笑いする二人。


 はぐらかされたと思ったのだろう、それ以上突っ込んで聞いてくる事はなかった。



「…………スンスン…………何か、臭わないか……?」



 鼻をヒクつかせつつ、辺りを窺う菊地。


 そのバッグから漏れ出ている魔者の体液が原因ではないか? 返り血も浴びている二人は、すでに臭い。感覚が麻痺したのだろう。



「……オルクス様、何か……来ます」



 身構えるウィッチ。


 彼女の目線を追うように暗闇に目を向けると、朧気ながらに何かがゆっくりと近づいて来るのが分かった。



「な、なんだ? この寒気……」


「…………怖い」



 そう言って二人が僕の近くに寄って来る。臭いから近づかないでほしい。でもこの気配はなんだろう……なんか、色々と混ざっているような……。



「……なに? この気配、魔者……?」



 よく分からない気配が近づいて来る、魔者の気配もするし……神の気配もする。



「…………ッッ!! あ、あれは……神喰らい!!」



 驚きの言葉を発したウィッチが立ち上がる。キリやんとキクチはウィッチの声に体をビクつかせ、その体を縮こまらせた。



「……神喰らい?」



 徐々に鮮明になる姿。姿形は魔者のそれだ、違うのは纏っている気配、そして体から発せられている瘴気が何故か神々しい。



「ウィッチ、神喰らいってなに? 魔者とは違うの?」



 未だ驚愕の表情のままでいるウィッチに問いかける。ウィッチは視線を魔者から逸らさぬまま、僕に答え始めた。



「……神喰らいとは、その名の通り神を食らった魔者の事です! 詳しくは分かりませんが、魔者は神を食うと……神の力を宿すそうです」



 神の力を宿した魔者……確かに魔者は人間だろうが神だろうが関係なく喰らう。


 ウィッチが言うには、今まで大勢の神が魔者に食われ生まれ変わってきたらしいが、そのほとんどが下位神だという事だ。


 下位神など喰らった所でたかが知れている……問題は上位神以上を喰らった場合。



「下位神と上位神の間には大きな壁があります、言ってしまえば天と地ほど違う……上位神以上を食らった魔者は神喰らいと呼ばれ、強大な力を得るそうです!」



 下位神が可哀そう……下位神も神じゃないか、神喰らいって呼んであげてよ……。



「な、なんだありゃ!? あんなん見た事ないぞ!? もしかしてあれが危険度金か!?」


「…………黒だろう、怖いもん」



 危険度金、危険度黒……天災級、天変地異級か。


 菊地の怖いから黒と言う言葉は当てにならないが、以前に倒した危険度赤のイノシシ型の魔者とは明らかに違う。


 人間が設定している中では赤以上、金や黒なのは間違いない。



『やったなオル!! こいつを仕留めれば報酬は金貨か黒貨だろう? 億万長者ではないか!!』


「あ、そっか! 金貨は赤貨の十倍、緑貨の千倍だ! 黒貨はぶっ飛んでいて金貨の百万倍だ! 国が買えるぜ!!」


『誰に説明しておるのだ? 国を買おう、我は優しい王様になるのだ!』



 僕達のお馬鹿な会話に目を見開いているのはキリやんと菊地、意外にもウィッチも驚いていた。



「オ、オルクス様? 神喰らいですよ? 上位神ですら、ほぼ勝てないレベルの魔者ですよ!?」



 きたっ!! これは以前にもあった、カッコいいセリフを言うチャンス!!



「上位神? 僕を誰だと――――」


『――――我は最上位神、上位神ごときと一緒にするでない!!』



 ムカつく、わざと被せて来やがったな! この前言ったんだから今回は僕に言わせてくれてもいいじゃないか!



「お、おい!! 何言っているのか全然分からねぇけど、あいつ近づいてきているぞ!?」


「…………なんとかして」



 切羽詰まったキリやん達の声を聞き、神喰らいに体を向ける。


 よし、思いっきりいってみようか! 破壊神になってから初めての全力だ!!



「喰らってみろ!! 破壊・ごう――――」



 走り出した神喰らいに破壊の力をぶつけようと腕を振りかぶり、大声を出してカッコつけた瞬間、急にボロボロと崩れ行く神喰らい。


 な、なんだ? 神気が強圧すぎて身が持たなかったのか……?



『オ、オル!! なんて事をっ!? 金貨が……黒貨が……王様が……』


「ぼ、僕じゃない!! まだ破壊してないよ!? 勝手に壊れたんだよ!?」



 呆気なく消え去った神喰らい、強者の雰囲気、紹介シーンだったため初めてのピンチ……もしくは善戦を期待していた。



「あ、あの……オルクス様? さっき破壊の力、領域展開していませんでした?」



「『あ……』」


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