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第六話 禁則事項

お読み頂き、ありがとうございます

 襲い掛かって来る魔者を破壊しつつ、洞窟の奥へと進む僕達。


 辺りは暗く、壁に設置してある明かりの消えた松明が、しばらく人が入っていないと言う事を知らしめる。


 僕やウィッチは神の力で明かりがなくても見通す事は出来るが、キリやん達には無理。


 そのため彼らは松明に火を灯し、明かりを確保していた。



「す、すげぇな……この魔者、見た感じ危険度緑以上だと思うぜ?」


「…………凄い」



 松明の明かりで事切れた魔者を照らし、その様子を確認する二人。死んだ魔者から使えそうな部位を剥ぎ取り、大きなカバンにしまう。



「それ、やっぱり売れるの?」



 魔者は金になる、今剥ぎ取った牙だけでもかなりの額になるはずだ。でも、それは違法って話だしなぁ……エル姉に断罪されちゃう。



「もちろんだ! 討伐料と素材売却でガッポガッポだぜ! ……本当にいらないのか?」



 そんな事は一言も言っていない、重いから持ちたくないと言っただけ、後で報酬は折半に決まっているだろう!?



『馬鹿、いるに決まっているだろう? 我らは借金持ちなのだぞ?』


「しゃ、借金!? こんなに強いアンタらが!?」



 驚愕な表情で言うキリやん、菊地も目を見開く。



「…………借金、いくらだ?」


『聞いて驚け! 緑貨二十枚である!!』



 正確には二十一枚だ、忘れたい過去の一つだね。いや嘘冗談だよ、忘れたら本物の犯罪者だ。


 忘れてないと言う事は返す意思があると言う事、犯罪者と一緒にしないでほしい。



「緑貨二十枚!? そんなのすぐ返済出来るぜ!?」



 別の意味で驚く二人、やっぱりそうだよなぁ~。ここで稼いだら返済しに行こうかな? いや、まだ早いか。


 その時、洞窟に響き渡る咆哮、轟く地響き。何かがこちらに向かって来るようだ。



「ばァァァッ!?!? ま、ま、ま、魔者である!!」



 驚き声を上げたのは菊地。寡黙な男が慌てふためく光景は滑稽、どことなく言葉使いがヴァルっぽい。


 あはは、光景が滑稽コウケイコッコーてか?



〈馬鹿かお前? 我をあんなものと一緒にするな! あいつ、キリヤンよりビビっているではないか〉



 そうなのだ、キリやんはもう落ち着き始めている。僕達と一緒にいれば安心と思っているのだろう。


 その切り替えは必要な行為、現況を正しく把握出来ない者は状況に置き去りにされる。



「オルクス様、私が殺りましょうか?」



 美しい顔で物騒な言葉使いをするウィッチ。


 最初は正直不安だったが、それは杞憂に終わっていた。


 降格したとは言え、元最上位神。下界に降りれば魅了の力の制限はなくなる、下界で振るわれるは最上位と同等の力。



「うん! よろしく、お殺やりになって!」



 僕の言葉にニッコリと笑顔を作り、魔者に向かって歩き出すミニスカートの女の子。


 迫りくるは凶悪醜悪な魔者、とてもじゃないが女の子に勝てそうな雰囲気はない。



「魅了・華美(ハナビ)



 放たれた神力が魔者に向かう。


 指を唇にそっと触れさせ、そのまま投げキスのように神力放った。その仕草だけでも、魅了されそうなほど。


 神力がぶつかった瞬間、足を止めウィッチに目を向ける魔者。


 華やかな美を持つ神から目を離す事が出来ず、徐々に体が震え始める。



「……気持ち悪い、私を見るな…………死になさい?」



 冷たい言葉が魔者に突き刺さる。女王の威厳は可愛くなった今でも健在、蔑むようなウィッチの目と魔者の目が交差する。


 体は震え、鼻息が荒くなる魔者。呼吸が荒くなり、最終的にその巨体は地に伏せた。


 ウィッチ曰く、脳内が魅了の力で一杯になり、何も考えられなくなる状態になると言う。


 生きる事、呼吸する事すら忘れ、ただただ美に全てを奪われる。魔者であろうが、人であろうが、神であろうが、男であろうが、女であろうが、無性であろうが……関係ない。


 この力に抗える者は、ほんの僅か……それほどに甘美な力なのである。



「オルクス様ぁ~終わりまし――――」


「――――僕を踏んでください女王様ぁぁぁぁ!! 罵ってください!!」



 踏んで! 踏んで? 踏んで!? その綺麗な足で僕の顔を踏んで!!



〈おい、落ち着け……魅了の影響を受けているぞ?〉


(え? ヴァルは踏まれたくないの? 僕としては靴を脱いで踏んでほしいなぁ)


〈踏まれたい訳なかろう……相変わらずの変態だな……〉



「え、えと……じゃぁ、横になってくれますか?」



 そう言って靴を脱ぎ準備を始めるウィッチ。最高かよ? ちゃんと僕の趣向も聞き入れてくれる。


 僕はすぐさま横になり、体に大地の冷たさを感じた。



〈お、おい!! 本気か!? 我は破壊神だぞ!? どこの世界に上位神に踏まれる最上位神がいるのだ!!〉



 慌てふためくヴァル、ふはは……もう遅い、支配権は僕にあるのだ!!



「じゃ、じゃあ行きますね? 苦しかったら、言って下さい……」


「ウィッチ!! それじゃダメだよ! もっと女王様っぽくお願い!!」



〈や、やめろオル!! 前に言っただろう!? 足にいる菌は男と同じ! お前はオッサンに踏まれるのだぞ!?〉



 同じな訳ないだろ? ふざけんなよ?



「……コホンッ! ……本当に変態ね、気持ち悪い……なによその目? 反抗的な目ね……その目、踏み潰してあげようかしら?」



 迫りくる美脚、もうちょい! もうちょい!



〈や、やめろぉぉ!! こんな屈辱的な事はない!!〉


(しィィィィ!! 黙れって! ……いいかヴァル、踏まれるのが目的じゃない、あの不思議パワーのスカートの中を見るのが目的だ!)


〈……不思議パワー?〉


(だっておかしいだろ!? 登山道は結構な風が吹いていたのに、あのスカートは物理法則を無視していた! あの先は不思議な力で守られている、見てみたいじゃないか!?)


〈な、なるほど……そう言えば不思議な動きをするスカートだと思っていた〉


(だろう!? きっと何かある、僕達は世界の真理に一歩近づくのだ!!)


〈うむ、興味が出てきた!!〉


(〈こいっ!! その先には一体なにがっ!!〉)



「はうぅぅぅぅ……そう言えば見えちゃいます……ごめんなさいオルクス様、今日は勝負下着じゃないので……禁則事項ですっ!!」


「『な、なにィィィィィィィィィ!?!?』」



 こうして、世界の不思議は不思議のままとなった。


 謎があれば知りたいと思うのが人間、僕は絶対に諦めないからね!!



「……アンタ達、なにやってんの?」


「…………混ぜてほしい」


宜しければブクマや評価のほう、お願い致します

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