第五話 いざ、洞窟内へ
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「よ、よし! じゃあ……行くぜ?」
霊峰第四合窟に入った僕達、扉は少し奥にあると言う。
本当はもっと上に行きたかったが、キリやん達が所持しているキーで開けられる扉は第四合窟までらしい。
なんだよそれ……じゃあ五合窟以上に行くには神教会本部に認められないといけないの?
「こ、これだ、この扉だ」
た、確かに立派な扉だな……。
え? なにこれ……立派と言うか、こんなの王城にもないだろ? この世界の人間が作った物とは思えない。
〔……神の力を感じますね。アホかと思っていましたけど、これを壊したら大噴火と言う話も現実味を帯びてきました〕
アホだと思っていたんだ……。
ところどころ和美神ウィッチが現れるな、今のベタ惚れウィッチの目も好きだけど、たまに和美神ウィッチに睨まれたくなる。
〔お、お望みなら準備しますけど……あの化粧は六時間くらい掛かります〕
六時間……大工事じゃないか。
まぁ神力を使えばどうとでもなるのだろうが、六時間とはウィッチなりの断りの言葉、あまり和美神になるのを望んでいないのかな?
「……行くぜ? まずはキーを扉に差し込んで……」
いちいち説明しながら行うキリやん。まぁそうしないと伝わらないのだ、そのまま続けてくれたまえ。
「差し込んだら右回りに一回転、左回りに二回転……一度抜いて左回りに一回転……」
なんで一度抜いたの? 普通抜くとリセットされない? 結局左に一回転って事でしょ?
≪――――アクセスキーを確認――――認証コードをどうぞ≫
喋ったぞこの扉!? なんだ、扉の奥に誰かいるのか?
「まさんし、いかきいい、こっか、うこいさ」
キリやんが呪文のような言葉を扉に向かって言う。
これ、僕達だけで来た時は言わなきゃないの? こんなん覚えられんよ。
〔大丈夫です! 私覚えましたから! ……と言うかこの声、聞き覚えがあります。私の取り巻きの一人にいました〕
(流石ウィッチ!! と言うか、取り巻き? 知り合いの神って事?)
〔知り合いと言うか、下僕と言うか……〕
知り合いと下僕は全然違うと思うよ?
≪――――認証コードを確認――――暗証コードをテンション高めでどうぞ≫
はぁ? まだあんの? 認証と暗証ってなんか違うの? 暗証だから数字か?
「最高っ!! 最高っ!! マシンゴッド!! ふぅぅぅ!!」
テンション高めで言うキリやん。
言ってんじゃん、機械神って……最初は軽く隠してたのに、最後のふぅぅも言わなきゃダメなの?
〔やっぱり! 機械神のマシィンです! プレゼントがいつも歯車なので覚えていました!〕
プレゼントが歯車? すげぇセンスだな……まぁでも、有象無象のファンがいる中でウィッチに覚えてもらったんだ、マシィンの勝ちじゃないか。
≪――――確認致しました――――いらっしゃいませぇ!! ご主人様ぁ!!≫
まるでメイドカフェだね……っは!? もしやメイドと冥土を掛けている!? この中は凶悪な魔者が蔓延っていると言う、冥土に近い場所。
やるじゃないか機械の神、仲良くなれそうだ。
〔いえ……ただのメイド好きなオタク神です〕
〈メイド好きがオタク? その考えは古いぞ絶美神! なぜなら我も好きだからだ!!〉
(メイド服っていいよねぇ~ニーハイならなお良し!!)
〔……オルクス様はメイド、ニーハイ好き…………メモメモ……〕
ゆっくりと開いていく扉、その中から漏れだす不快な空気。
なんとも言えない、淀んだ空気。こんな空気のメイドカフェだったら、即座に僕は帰る。
〈まったく! 体を洗ってから来店するのは最低限のマナーであるぞ!〉
(フヒヒ……サーセン)
〔みんな覚えておいてね? 女の子が見るのは顔より清潔感! 服装より口臭だから!〕
「じゃ、じゃあ行くぜ? いや違う! 行きましょうか? お先どうぞ……」
お役目が終わったキリやんが言う。ついて来るのかい? 大丈夫か? その震えている足で……。
僕は足を踏み入れた。その瞬間、右側から何かが襲い掛かって来る。僕はそれを、左へ受け流す。右から左へ受け流す。
〈……言いたかっただけか? なにも襲い掛かって来ていないではないか〉
(うん……でも結構な数の気配を感じるね? なんで密室の内部に魔者がいるのだろう)
〈……それは突っ込んではいけない事ではないか? お約束だ〉
「ヒィィィィ!? な、なにか動いたぞ!?」
「…………無理だ」
足の震えが止まらない二人。
何が無理なんだよ? お前達、店で声を掛けてきた時がピークで、どんどん雑魚になっていっているぞ?
そりゃこのフロアだけでも複数の魔者がいるもの、動くだろうさ。
「ほ、本当に行くのか!? 宝はあるのかもしれないけど、命の方が大事だろ!?」
「…………帰ろう」
…………帰れよ。
お前達が居続ける理由はなんだ? まだ何かフラグがあるのか?
……念のため聞いておこう。
「キリやんに菊地、そんなに嫌なら帰ればいいでしょう? それともこの先にまた扉とかがあって、何かしないと先に進めないとかあるの?」
ここでまだこいつ等が必要と言うのであれば、守りながら進むしかない。
「なぁ、その前にさ……気になっていたんだけどイントネーションと言うか、発音違くない? キリヤンとキクチだぞ? なんかあだ名みたいに聞こえるんだが……」
そんなのどうでもいいんだよ!? いいじゃないかあだ名でも、さっさと話せ!
僕は軽くキリやんを睨む、それを受け慌てた様子で話を続けるキリやん。
「いや、もうないよ……少なくとも第三合窟にはなかった」
「ならどうして危険を犯してまでついて来るの? お宝目当て?」
もうそれしかないだろう。
探検者なのだ、手ぶらでは帰れないと言うプライドも分からなくないが、それは死と言うものとは比べ物にならないもの。
プライドなど捨てて命を守れ、死んだら宝などゴミ同然だよ。
「そ、それもあるけどよ! 教会本部に四人パーティーでの探検申請をしたんだ! ここで俺達だけ帰ったらパーティーを見捨てた者として罰せられる! 最悪、探検者業も出来なくなる!」
あら、意外にもまっとうな理由。
はぁ……仕方ないな……
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