第四話 イニシアチブ
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中央霊峰第四合目に足を踏み入れた僕達。
キリやんの言う通り、さっきまでとは道の感じが違う。道と呼べる物はまだあるが整備はしていないのだろう、荒れ放題だ。
「ウィッチ、大丈夫? 歩きづらくない?」
ウィッチの靴はお洒落だが、とても登山をするような靴ではない。しかし彼女の表情に変化はない、疲れている様子もないな。
「はいっ! 大丈夫です! これでも神界ではジムに通って体を鍛えていましたから、体力にも自信ありますよ?」
そんなのがあるのか、僕も今度利用させてもらおう。
そんなウィッチの後ろをビクビクした様子で歩いている二人の男。情けない、いざ登山に参った!! って言う格好しているのに。
「ヒィッ!? ……なんだ落石か、脅かすなよ……」
小さな小石が斜面を転がる音にすらビビる始末。
本当に大丈夫かこいつ。
「…………あの神術使いがいる限り安全だ」
どっしり構えているのは菊地。しかしそれは表情と言葉だけ、足の震えはキリやん以上なのが笑える。
あれから菊地は僕に剣を預けた。
恐らく剣がないと力を振るえないとでも思われたのだろう。重いし邪魔だから断ったのだが、泣きそうになるものだから仕方なく預かった。
と言うか剣がない菊地、貴様はどうやって脅威から身を守るつもりなのだ?
「あ、あれだな、第四合窟……ほ、本当に入るのか?」
キリやんの指差す方に目を向ける。
確かに洞窟がある、雰囲気的にあまり人は訪れていないようだね。
『何を今さら、入らなくてどうする? 本当なら頂上まで行きたい所なのだぞ?』
「ちょ、頂上!? いやいやいやいや! それは無理!! 聞いた話だと第八合目付近には暴風が吹いていて、前に進めないって話だから!!」
暴風? くだらない……破壊が吹き荒れているとか言うなら少しビビるけど、風じゃん。
「オ、オルクス様……風はマズいです、危険です……でもオルクス様になら……」
そうか、ウィッチはミニスカートだったね。
なんで登山するってのに着替えずミニスカートのままなんだい? しかし不思議だ、さっきから凝視しているのに一切パンチラッキーが起こらない。
なにか不思議な力でも働いているのだろうか?
「そ、そうだぜ! 危険なんだよ! 八合目から上を確認した奴なんて聞いた事ないし、そもそも八合目に辿り着けるはずもない!」
「…………無理だ」
……あれ? こいつらいらなくね? うるさいだけで、全く役に立たない。なんで同行許したんだっけ?
〈道案内出来ると言うからだろう? 三合目まで〉
(ここ、もう四合目だけど?)
〔もう切り捨てませんか? ずっと視線を感じて不快です〕
こいつら、見る所は見ていたのか。
まぁ、見るよなぁ~見ない男はこの世に存在しない、いるならそれは男ではない。
「なぁ君達? 君達の存在意義は何だい? 何が出来るの?」
僕の言葉に俯く二人。
彼らは分かっていた、自分達がもう不要な存在だという事を。
協力して第三合窟を探検するつもりだったが、予想以上に僕達が強かった為に完全なるお荷物状態。
仲間ではないのだ、イニシアチブを失った彼らに居場所はなかった。
「あ……そ、そうだよな……俺達は……邪魔なだけだよな……」
「…………うむ」
沈んだ表情をするキリやんと菊地。
少し可哀そうな気もするが、残念ながら君達は男性だ。それだけで一気に可哀そうと言う気持ちは吹き飛んだ。
「申し訳ないけど、僕達について来ても危険な目に合うだけで、君達にメリットは――――」
「――――洞窟への入り方も知っているんだろうし、キーも持っているんだろ? 本当に俺達はいらないな……」
……キー? キーってなんだ? 洞窟に入るのにキーが必要? こいつ等、急にフラグをぶっこんできやがった。
切り捨てようと思ったらこの始末、フラグの神がフラグを立てたようだ。まだ必要なのか? こいつ等は?
「……キーって何?」
その言葉に驚きつつも、嬉しそうな顔をしだすキリやん。性格悪い奴、他人が無知なのがそんなに嬉しいのか?
「キーを知らないのか!? なら、持ってないって事だよな!? へへへ、じゃあ洞窟には入れないぜ!!」
「…………無理だ」
どことなく菊地も嬉しそう。再びイニシアチブを握った彼らは、嬉々として僕達に語った。
「洞窟の入口にはさ、すげぇ立派な扉があるんだよ! それはキーがないと開かないんだ! キーってのは神教会本部が管理していて、認められた奴にしか渡されない!」
鍵みたいなものか、期待して損した。鍵がないと扉が開かない? そんな訳はない。
僕に開けられない扉はない。ウィッチの寝室の扉だろうが、大金庫の扉だろうが開ける事が可能だ。
〈世紀の大泥棒みたいな事を言うが、破壊するだけであろう?〉
〔オ、オルクス様! 私の寝室はいつも開いています……いつでもどうぞ?〕
「……壊せばいいだけじゃないか、冗談じゃなく僕には出来るよ?」
しかし二人の表情は変わらない。それどころか、少し小馬鹿にしたような表情になった……ムカつく。
「それはダメだ! アンタが本当に扉を壊せるかどうかは置いておいて、物理的に扉を壊すと大変な事になるんだ!!」
大変な事になる? なんだよ、山崩れでも起きるのか? どうせ大した事ないんだろ?
「霊峰が大噴火、大爆発して大陸が消滅する! この世の終わりだ!」
「…………破滅」
んな訳ねぇだろ!?!? どんだけ重たいペナルティだよ!?
信じてる奴も信じてる奴だが……しかし大噴火? 大陸消滅? どこかで聞いたような……ご都合主義も真っ青な展開だね……。
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