第二話 男かよ
お読み頂き、ありがとうございます
(変われってば!!)
〈嫌だ!!〉
〔ふ、二人とも落ち着いて下さい!〕
ガヤガヤとうるさめの飲食店内、雰囲気はゴロツキどものたまり場。しかし料理は美味しそう、それを食しているのは容姿凡人と容姿非凡のカップル、場違い感がすごい。
そして相変わらずの攻防。
くそ……こうなる事を予想して予め支配権を握っていたのに、ちょっとした隙を狙われて支配権を奪われてしまった……。
(いい加減にしろよ!? 僕が死んでから食べたのはエル姉の弁当だけだぞ!?)
〈本来死んだら飯なんか食えん! 視覚情報だけで満足するべきだ!!〉
〔……弁当? ……あの女、やってくれるわね……〕
本当にムカつく!!
是が非でもチュウオウのご飯は口にしたかった、世界の中心であるチュウオウには各地から様々な食物、物資が集められるという話。
なるべくしてなった美食の大陸、それを知らずして僕は死ぬのか……?
〈もう死んでおる……お? これ、ウマウマ……濃厚なソース、芳醇な香り……〉
(き、貴様ァァ!! せめて黙って食え!! いちいち感想を述べるな!!)
〔せっかく女狐がいないんだから、ここで何とかしないと……でも私にお弁当を作るのは……〕
ヴァルはワザとらしくご飯の味を表現してくれているが、そんな事は言われなくても分かってる! 味の共有は出来るのだから!
ウィッチはさっきからなんかブツブツと怖いし、どうして神ってこうなんだ!?
しかし……思ったより視線を感じないな。
向かいに座っているのはこの世界で最高峰の美を持つ神、すでに彼女と出会って何日も経っているが、飽きなんて来ていない。
美人は三日で飽きる、それは嘘のようだ。
飽きるのであれば、それは美人ではない。少なくとも飽きた時点で、己の中の美人像が崩れたと言う事……つまりブスになったと言う事だ。【個人の見解です】
話がずれたが、ようはウィッチに道を歩いていた時ほど視線が集まらないという事。
座っているのだ、歩いていた時より視線は集まりそうなものだが……。
〈周りは宝の話で持ち切りだの。よくよく見ればこの店にいる者達の装備が物々しい、戦争にでも行くのかと言う様相だ……うわ、これウマ……〉
〔つ、つまり飽きていないと言う事は私はまだ美神と言う事ですよね!? が、頑張らないと!〕
まだ美神……なにそれ、どんどん美神じゃなくなっていくのか? 老けないのに。
なにやら拳をギュッと握りしめ、何かを決意したウィッチ。
その仕草すら華になる……他の男に見せびらかしたいが、誰も見ていない。見ろよ! 気分わりィな。
『ふむぅ……満足じゃ! ほれオル、満腹感を与えよう』
突如与えられた支配権、突然満腹になる腹。
く、食い過ぎだ……これは嫌な満腹感、食べた感じがしないのに満腹……ただただ不快。
「くそ……覚えてやがれ……」
そんな時であった。
満腹感に顔を歪ませ、腹をさすりながら休んでいた僕に声がかかった。
「よォお二人さん!! アンタ達、この店にいるって事は仲間を探しているんだろ? 良かったら俺達と組まないか?」
急に声を掛けてきたのは男二人。
よくある事だ、どうせ汚らしい身なりの探検者崩れがウィッチの美貌に目が眩んで……。
……おや? これは所為イケメンと言う顔の作りではないか?
不快感なし、爽やか、身なりよし……おいふざけんなよ? 僕の女を取ろうってのか?
〔あ、それはないので大丈夫です! 私にはオルクス様しか見えていません……と言うか僕の女!? キャーキャー!!〕
うるさい、脳内で叫ばないでくれ。
もう一人の男は……良かった、凡人だ。不快感はないが冴えない、幸薄そう。
〈わははは、まるでオルだの〉
(黙れ……それより満腹で声を出したくない、満腹を得るか、対応するか選べ)
『仲間など不要!! 我は最強ぞ? 貴様らなど道案内くらいにしかならん!』
即決かよ、てめぇが食ったせいでこうなってんのに、なぜ僕が被害を受けなければならないのだ。
「す、すごい自信だな……自分の事最強とか言う奴って大抵は……ってアンタ達が強いのは分かってるぜ? 俺の相棒がそう言うんだから間違いねえ!」
どんだけ相棒の力を過信してんだよ。
根拠ねぇよ、そもそも神だぞ? お前達とは土俵が違う、強さの次元が違うんだぞ?
カッコいい、もう一度……違うんだよ、次元が……雑魚とは違うのだよ! 雑魚とはッ!!
「もちろん案内も出来るぜ? 俺達は霊峰第三合目まで行ったことがある!」
霊峰第三合目? それは凄いのだろうか?
道案内してくれると言うならありがたいが、男だ。女性ならまだしも、まさかこのタイミングで男をぶっこんで来るとは……。
〈どうするオル? 渡りに船とはこの事だが、オルが忌み嫌う男だぞ?〉
(べ、別に忌み嫌ってなんかいない! ウィッチもいるんだ、むやみやたらに男を同伴させるのは可哀そうだろ?)
〔私はオルクス様に従いますよ? と言うかこんな奴らどうでもいいです、私はオルクス様だけで……〕
モテモテだな僕。よし、こいつ等に見せつけてやろう、男は顔じゃないと言う事を!!
『ふむ、決まりか……では人間、同行を許す、我らを案内せよ』
「案内される側の態度じゃないな……まぁそれなら宜しくな! 俺はキリヤン、こっちは相棒のキクチだ!」
はいはい、宜しくねキリやんに菊地。
街で準備を整えた後、僕達は霊峰へと赴いた。
宜しければブクマや評価のほう、お願い致します




