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第十五話 時の神

お読み頂き、ありがとうございます

「お待たせフローリア!! ごめんね? 天蓋会議が長引いちゃって……」



 突如現れた少年、クロノア。


 フローリアの待ち人であったようだが、一体このカマになんの用なのだろう?


 相変わらずニコニコと、男神なのか女神なのかすら判断出来ない。



「待ちに待ちましたわぁぁぁぁ!! さっそく宜しくて? さぁ! お願い致しますぅぅぅぅぅぅ!!」



 そう言って大手を広げるフローリア。


 その仕草に僕達は気味悪がっていたが、クロノアの表情に変化はなかった。



「はいはい! じゃあさっそく行くよ? ……時操・時送(トキオクリ)!」



 両腕をフローリアに向け、手の平を開き何かを行ったクロノア。


 そこから溢れる神力を感じ取り確信する。やっぱりいたんだね……もしかしたら僕こそが、とも思ったけど。



[時の神クロノア……最上位神、天蓋の一神です]


(テンガイ……って、何?)


[天蓋は、最上位神の中でも特に強い力を持った神達の事だよ?]



 そ、そんな神がいたのか…… ただの少年のようにしか見えないけど、特に強い力……か。


 上には上がいるもんだね。



[……甚だ不愉快ではありますが、破壊神もその一神です。まったく、この世の中は不思議でいっぱいです]



 ヴァルも天蓋なの!? そんな事一言も……。


 不思議だ、ヴァルなんかが神の中の神…………嘘だぁぁ。



〈…………天蓋って……なんだっけ……?〉



 うん、やっぱりね! ヴァルがそんな訳ないよ。エル姉の勘違い、大体そんな凄い神が一人の人間に肩入れする訳ないよ。



[あなたね……そんな事も忘れたのですか? 社会不適合者……いい加減外に出なさい]


〈出ているではないか!? 不適合者って……別に適合なんてしなくていいもん!!〉



 子供かよ……まぁ何はともあれ、今まで以上に危険な神が現れたという事だ。


 …………破壊の力を纏っておこう。



「うわぁぁぁ……凄いね? もう五千年は経過したと思うけど、まだ男神にしか見えないよ……」



 クロノアの言葉で、ある程度の事情が察せられる。


 フローリアは神体を女神に変化させたい、変化には長い時間が必要……その時間操作を時の神であるクロノアに頼んだって感じかな?



 しかし五千年って、特にフローリアの体に変化は見られないが……五千年以上もこの体でいなきゃいけなかったのか……。



「う~ん一万年……はぁ、仕方ないなぁ~……時操・来迎(ライゴウ)!」



 突如光り輝くフローリアの神体。


 その光は一瞬で収まり、その先に見えたものは……。



「ぬぅわぁぁぁぁぁぁ!? …………ほォわぁぁぁぁぁぁ!! やった! ついに手に入れたわ! これが女神の体!!」



 その巨体は見る影もなく、ウィッチほどの身長となったフローリアの姿。


 喜び花畑を駆け回る姿は、まさに花の神。



 ……が、しかし。



『うっわ……ぶっさ……』


「マジでブス……」



 ヴァル、ウィッチ……そんなストレートな……。


 確かにちょっと……アレだけど!! もう少しオブラートに包むって事を覚えてよ!!



「……あはは~何年経っても変化しないから、強制的に来世を迎えたよ……」



 来世の姿ですか……。


 流石に時の神も苦い顔をしている。今世で女神になれないほどに、男の遺伝子が強すぎたようだ。



「ありがとうございますぅぅクロノア様!! どこからどう見ても乙女!! 今まで以上に花に愛を注ぎますわぁぁぁ!!」


「う、うん……喜んでくれて、良かったよ…………頑張ってね」



 顔を引きつらせたクロノアがそう告げると、フローリアは花畑へと消えて行った。


 うん、後ろ姿は花の妖精のようだね……後ろ姿は……。



「さてと……こんにちは、エルフレイヤにウィッチ! ……そしてヴァルハザード」



 振り返る時の神、クロノア。


 天蓋と呼ばれる神、その無垢な少年の顔の裏にはどんな化け物が潜んでいるのか……。



「お久しぶりです、クロノア」


「お久しぶりです……クロノア様」


『誰だお前?』



 エル姉とウィッチは流石に知っている様子。


 しかしヴァル……冗談……ではないな、本気で忘れていやがる。



「あっははは! 相変わらずだね~ヴァルハザードは……いい加減、天蓋会議に出てくれないかな? 破壊してほしい物がたくさんあるのだけれど……」



 え? やっぱりヴァルも天蓋なの? 会議って……そういうのやっぱりあるんだ。



『会議? お断りである、我は今の生活を気に入っておる……自由にやらせてもらうぞ?』


「……まぁ、君はそういう神だよね……でも、一つだけどうしてもやってほしい事があるんだ!」



 拒絶するヴァル……本当に不適合者。


 その言葉に呆れた表情はするものの、特に荒立ってはいない様子のクロノア。


 なにやらやってほしい事があると言う話だけれど……。



『嫌である! 我らはやりたいようにやる! 命令されるなんてゴメンだねっ!!』



 命令と言うよりお願いじゃないか、聞くだけ聞いてあげてよ……。



「う~ん、申し訳ないけれど、これは決定事項。……君、大地の神を破壊したでしょう? 再任が少し遅れたせいで、下界にちょっとマズい事が起きたんだよ……」



 大地の神、クエイラス……だっけ? その神を破壊した影響が下界に出ていると言う……。


 これはちょっと無視出来ないのではないでしょうか?


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