第六話 哀れ男神
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「あそこよ、あそこに絶美神がいるはずよ」
エル姉が指さした先、そこに絶美神がいると言う。う~む立派なお屋敷だ。流石は絶美神、建物ですら美しい。
「あの屋敷は男神の貢ぎ物らしいわ……まったく、男と言う存在はどこの世界でも馬鹿ばかり…………あっ! オルクス以外だよ?」
人ならざる美しさを持つエル姉がよく言うよ。
エル姉に寄って来る男も多いだろうし、僕も踏まれたい……あれ? なんかマネキンの足を見ている感覚……くぅぅ! 下界に戻ったら踏んでもらおう。
『しかし貢ぎ物とは……神界では性欲は適用されない。であるのであれば、その男神どもは何の為に絶美神のご機嫌を取っているのだ?』
全ての男が下半身で動く訳じゃないだろうよ……。
いや、結局終着点はそこになるのか? う~む謎だ……下心がない男なんて存在するのか?
「……ヴィッチビチが上位神に降格した理由の一つです。あの女は魅了の力で男神を誘惑し、支配下に置いていたそうです」
誘惑……そりゃあ最高峰の美を持つ女神なのだ。
その誘惑に逆らえる気がしない……しかも当時は最上位神でしょう? 力が弱まっていないとすれば、今も神力は最上位級か……。
「あの屋敷は過去の遺物、現在魅了の力は大きく制限されています……が、念のため破壊の力を纏っておいた方がいいでしょう」
エル姉の言葉で僕達は破壊の力を纏った、そのまま大きな屋敷の門へと足を運ぶ。
「門番がいるよ? 入れるのかな?」
『問題なかろう、奴は見た感じ下位神……こちらは最上位神だぞ?』
神を門番に据えるとは……やっぱり男神だ、魅了されているのかな?
「こ、これはエルフレイヤ様にっ…………破壊……? ヴァ、ヴァルハザード様でしょうか……?」
エル姉を見て目を見開く門番。
が、何故か破壊神の事は微妙な反応だ……神界にきてもヴァルが不人気なのが見て取れる。
〈不人気なのではない!! 体がオルだから分からないだけであろう!?〉
(あぁ、そっか……うん? って事はここにヴァルの本体がいるんだよね? 見たい!!)
ヴァルは言っていた、いずれ僕はヴァルの容姿に近づいて行くと……。
審判の時だ、イケメンか……否か……。
〈後でよかろうそんな物……別に普通だぞ? ……安心しろ、オルよりはイケメンだ〉
ムカつく……わざわざ言わなくていいよ!
『これは下界で活動する為の姿だ、何か問題でもあるか? そんなに不細工か? まぁ多少は不細工だか、そこまで絶望的な不細工ではなかろう?』
「いぃぃぃぃぃえ!! し、失礼しました!! どうぞ、お通り下さい!」
凄むヴァルに慄いた下位神が道を譲る。
大きな庭だ、何人かの神が庭の手入れをしているのが見える。庭の神かな? たくさんいるようだ。
「上位神、絶美の神に用があります。そこを通しなさい」
ついに屋敷の扉へと到着した僕達、その屋敷の扉の前にも、門番? 扉番が佇んでいた。
エル姉が通す様に伝えるが、なんとこの神は扉を開けようとはしなかった。
「申し訳ございません、我が主君は只今支度中です。しばしお待ち頂けますか?」
敷地の入口の門番はすぐに通してくれたのに、屋敷の門番は扉を開こうとしない。
支度中と言っていたが……大丈夫なの? 君は下位神か上位神、この屋敷の主人であっても上位神だろ?
最上位神が開けろと言ったのに……ほらぁ、エル姉が……。
「貴様は誰に待てと言った? 私は通せと言ったのだぞ? 聞こえなかったのか?」
エル姉から溢れ出す神気。
もしかして結構我が儘だったりする? すぐ怒るんだからぁ……。
「最上位神、断罪の神エルフレイヤ様に申し上げました。主命と宿命により、私がこの扉を開く事はございません」
毅然とした態度で告げる門番さん。
これは予想外、エル姉の神気をまともに浴びても頑として譲らない。
宿命って……なんだろ?
「……貴様、ふざけるなよ? 強制的に退かせてやろうか?」
「私は門の神、モンバーン! いかなる圧力にも屈することなく、守ると決めた門は必ずまも――――」
『――――全破壊』
はい一件落着ぅぅぅってヴァル!? 壊しちゃったの!?
門の神で門番のモンバーンが門番していたのに!! せめて最後まで言わせてあげてよ!?
『ほれ、開いたようだぞ? 参ろうか』
開いたんじゃなくて開けたんだろ……僕とエル姉はそれに微妙な顔をしながらも扉を開け、中に入った。
「な、なんだ!? 侵入者か!? 出合え出合えェェェェェ!!!」
扉を潜った先で、そう声を上げたのは広間を掃除していた掃除の神。
ほんと、どこを見ても男神ばかり。大体侵入者ってなんだよ……ちゃんと正門から入ったじゃないか。
〈オル、あの神は掃除の神なのか? よく分かったな?〉
(え? 知らないけど、掃除しているんだから掃除の神じゃないの?)
[オルクスが言うのなら、きっと掃除の神なのよ]
そんな事を言っている場合じゃない、あっという間に囲まれた僕達、様々な神の視線が突き刺さる。
まるで犯罪者扱いだ、ちょっと頑固な門番を壊しただけじゃないか……。
[一応言っておくけど、神殺しは大罪だよ?]
〈フンッ! なら断罪してみるか? 我らに逆らうものは全て破壊してやる!!〉
(おぉぉ破壊神っぽい!! 段々と破壊神に近づいて来たじゃん!!)
〈…………あれ? 今まで我は破壊神ではなかった……?〉
僕達を囲む神達の雰囲気が変わった。
様子見に留まっていた彼らは、僕達とエル姉が纏い始めた圧倒的な神力を感じ取り、体震わせながら後退し始める。
今更気づいても遅いよ、君達は最上位神に取るべきではない行動を取ったんだ。
いよいよ最上位の力が暴れると思われたその時、広間の奥、階段を少し上がった所にある踊り場より、美しい声が響いた。
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前話分までの改行修正を行いました
会話と会話の改行は、私の好みでした、これは変えていません




