第五話 共に過ごした三千年
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「「その破壊の力で、ボクチン達を消してほしいでゲスガス」」
晴れ晴れとした表情でそう言ったのは、貧乏神と疫病神。
僕の魂と五百転生という途方もない時間を、こいつ等は過ごしてきた。
神に時間の概念があるのかわからないが、単純計算でも約三千年……人間の僕には、その時間がどれほどのものか分からない……。
「丁度いいねオルクス? こいつ等は進んで破壊されようとしている……オルクスの人生を狂わせた元凶、一思いに破壊すればいいわ」
エル姉の言う通りだけど、こいつ等の気持ちも分からなくない……。
言わばこいつ等も転生神の犠牲者、その中でこいつ等はこいつ等なりに人間の事を思って行動した。
でも、僕はその影響を一番受けた張本人……僕の犠牲の上で、成り立っていた世界だったんだ。
「そうでガス!! ボクチン達は不幸の神……どう頑張ってもオルクスを幸福にする事は出来ないのでガス!!」
「オルクスに少しでも幸福を与える……それはもうボクチン達を完膚なきまでに叩き潰して、ストレスを発散してもらうしかないでゲス!」
迷いはない、受け入れた者の目。
なんでだよ……なんでもっと悪役然といてくれないんだよ……救いようのない奴らなら、迷わず破壊出来たのに!! 色々あったのだろうが、こいつらも最後は僕の事を思って……。
〈オル、お前には権利がある。五百転生など……異常だ、そこまで悲惨な魂は他にないぞ? 恨みを晴らせ〉
恨みを晴らす……恨みを晴らす? こいつ等に抱く恨みとはなんだ?
確かにこいつ等は不幸の神、それが僕に取り憑いていたんだ、僕の人生が酷くなるのは当然なんだろう。
でも、そもそもの元凶はこいつ等じゃないよね。
転生五百回と言うが、過去の人生の記憶などない……不幸だったのか幸福だったのかすらも分からない。
仮に今回の人生、こいつ等がいなかったら幸福だったのか?
……否。結局はそれなりに不幸な人生だったはず。
そうだよ……中途半端に不幸な人生だったら、ここに僕はいないかもしれない! ヴァルと……破壊神とは出会わなかったかもしれない!!
こいつ等は、運んでくれたんだ。
幸福を……僕にとって最高の出来事、破壊神ヴァルハザードとの出会いを!!!
〈うぅぅぅうううう……なんて前向きな子……強いのぉオルは……〉
(そんなんじゃないよ、実感がないだけ……こいつ等に不幸にされたと言う実感がまるでない)
僕はゆっくりと貧乏神と疫病神に近づいた。
破壊の力、その強大な力を纏いつつ……しかし、不幸の神達はビビってない、訪れる破壊をただジッと待っていた。
「……オルクス、本当にゴメンでゲス……」
「……これからのオルクスの人生が、幸福である事を願っているでガス……」
不幸の神のくせに、人の幸福を願うなよ!! まったく、お前達は……。
手を不幸の神達に向ける、ゆっくりと手の平に集まる神力。
破壊してやるよ……貧乏神、疫病神。
僕は破壊されるのをジッと待っている二神に、破壊の力を放出した。
「――――悪臭破壊……お前には……ほらよ」
僕は疫病神から発せられる悪臭を破壊した。
そして貧乏神には金を、一時は貧乏じゃない……お前は貧乏を破壊された。
それを受け驚きの表情でいる貧乏神達、ゆっくりと投げ渡した袋の中身を確認し始めた。
「……あまり人間を不幸にするなよ? 僕みたいに人間は――――」
「――――緑貨十五枚ぃぃぃぃ? しけてやがるでゲス!!」
「臭くなくなったでガス!! でも数分もすればまた臭くなるでガス!!」
「な、なんだと?」
こ、こいつ等……さっきまでの悲痛な表情はどこにいった!?
貧乏神のお前には過ぎた大金だろ!? また臭くなる!? なんだそれ! 完璧に破壊したはずなのに!!
「どうせくれるのなら赤貨以上を寄こせでゲス!!」
「ほんにほんに! ほれほれ、また臭くなってきたでガス! もっかい破壊するでガス!!」
腕を広げて僕の行動を待っている最悪コンビ。
……良い度胸だ、そんなに欲しいのならくれてやるよ!!
「クソったれがァァァァァァ!! 破壊・神命!! 虫になって反省しろォォォォォォォォ!!!」
「ぎゃァァァァでゲスぅぅぅぅぅぅぅ」
「ぎゃァァァァでガスぅぅぅぅぅぅぅ」
ボロボロと崩れ行く神体。
相変わらずその表情は晴れ晴れとしている……とても不幸の神の表情ではないな。
……フンっ! もう不幸の神になる事はない、せいぜい他の人生を楽しむんだね。
『結局破壊するんかいっ!! ……しかし、おめでとうオルクス! お前は因縁の一つに決着をつけた訳だ』
「ははは、勢い余って……僕もついに神を破壊しちゃったなぁ……」
『貧乏神と疫病神だけどな……』
僕は落ちていた硬貨袋を拾い上げた。
貧乏神が触れた袋……なんか金が貯まりそうにないな……今度買い替えよう……。
「……んん? あれ……十四枚しかない…………あの貧乏神ッ!!!」
『ハッハハハハ!! 流石貧乏神であるな!』
「……ここら辺、まだ臭いわ……離れましょう……」
三途の渡し賃を取られた僕達は、笑いあった。
あいつ等のお陰で僕はヴァルと出会えた。
神の事も知れた、隣で微笑んでくれている綺麗な姉も出来た。
「……まったく、三千年も一緒にいてくれて、ありがとうよ!」
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次話は美の神です




