第二話 神破壊
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神界に来て、お約束とも言える騒動イベント。
他の神に絡まれる!! ……のイベントが現在進行中です。
「……ッチ、痛ぇな……テメェ、ふざけんなよ?」
片腕を吹き飛ばされたクエイラス、しかしその神気には衰えは一切なく、鋭い眼光でエル姉の事を睨んでいた。
「……消えろ、それとも……他の手足も吹き飛ばされたいか?」
相変わらずお怒りモードのエル姉……クエイラスの神気を受けてもビクともしていない。
「……フンッ! テメェなんぞに吹き飛ばせると思ってんのか? 手心加えてやればこれだ……図に乗るなよ?」
いや……事実、吹き飛ばされているじゃないか。どうやら、俺はまだ本気を出していない!! らしいが……。
「……図に乗っているのは貴様だ……もういい、失せろ……神ノ断罪!!」
再びエル姉より強圧な神力が撃ち放たれる。
もの凄い圧……相変わらずヴァルは破壊の力を纏わないため、体が震えるほど怖い。
「――――大地の怒りッ!!」
エル姉の神力が、クエイラスにあと少しで届こうと言う時……クエイラスは地面に片腕を叩きつけると、そこから吹き上がったのは強大な大地の神力。
もう片方の腕が吹き飛ぶなんて事にはならず、エル姉の神力を飲み込み打ち消した。
「はははァァ……雄大なる大地の力の前に、断罪など無力……飲み込んでくれる」
大地の力……最上位神、大地の神クエイラス。その巨体に相応しい、雄大な力か……。
「ほらァ! 次行くぜ!? そのゴミ人間を守って見せろよッ!! 大地・崩壊ッ!!」
地鳴りを轟かせながら突き進むクエイラスの神力。
今までで一番の圧、いよいよ僕の体がもたないよォォォ!!
「――――っ……最後ノ審判!!」
ぶつかり合う最上位神達の力。
よくよく周りを見れば、人……神の姿がチラホラと見て取れた。
が、誰も止めに入ろうとはしない。
顔を歪め様子を見る者、目を伏せ通り過ぎる者、面白そうに眺めている者……誰が好き好んで、この最上位の二神に割って入ろうと思う神がいるのか。
入れるとしたら、それは同等の力を持った最上位神のみ。仲裁の神とかいないのかな……誰か止めてほしい……。
このまま力と力がぶつかり合う凄惨な光景が続くのだろう……。
と、思われたのだが……。
「ハンッ!! やるじゃねぇか? 雑魚神にしちゃ頑張ってるぜ! んならこれはどう――――」
「――――断罪・楔」
スッとクエイラスに撃ち込まれた小さな断罪の力。
それは今までのような強力無比な力と違い、静かに、何の脅威も感じない様相でクエイラスの体に吸い込まれていった。
「……あぁん? テメェ、なにしやがった?」
クエイラスの顔に疑問が浮かぶ。
特にその神体に異常は出ていないようだけど……。
「罪の楔を撃ち込んだ……貴様が罪を犯そうとすれば、その罪の意識は断罪される」
……うん? なんて? ちょっと聞き取れなかった。
でも、エル姉に聞ける雰囲気じゃない……多分喜んで教えてくれるだろうけど、せっかく作ったシリアスな空気、壊したくないし……。
「……罪だァ? 俺がなんの罪を犯すってんだ!? ああァ!?」
「私の弟を悪く言った瞬間、貴様は死ぬ」
凄んでいたクエイラスの顔がキョトンとする。
僕がせっかく維持したシリアスの空気が、壊れていく音が聞こえる……。
「お、弟? なんだそれ、テメェに弟なんていたかよ?」
あぁ……クエイラスの神気が弱まった……。
おかしな事を言い始めたエル姉をクエイラスが、こいつ頭大丈夫か? 的な表情で見ている。
シリアス終了のお知らせ。
「ここにいるでしょう? ……紹介します、私の弟のオルクス・リミットレスです……オルクス? ご挨拶して?」
……え……この空気の中? さっきまであなた達、殺し合いしてなかった? そんな急に……近所のオジサンに弟を紹介する訳じゃないんだから……でもエル姉こういうのに厳しそうだしな……。
「あ、あの……初めまして、オルクス・リミットレスです……姉がいつもお世話になっております……」
そう言いながらクエイラスに歩み寄る僕、体を動かしているのはヴァルだよ? だから歩み寄っているのはヴァルだね。
「……はァ? ほんとに弟……な訳ねぇだろ!? んでゴミ人間が弟――――グゥゥゥゥゥッ!!」
突然胸を押さえて蹲るクエイラス、さっき言っていた罪の楔……だろうか?
「ググッ……こりゃ……テメェかエルフレイヤ!?」
「そう言いました、オルクスを悪く言い続けると……死にますよ? 分かったらここから消えて下さい」
胸を押さえながらも立ち上がる大地の神。
すぐ近くまでクエイラスに近づいた僕は、その大地の神を見上げる形となってしまう。
「…………ッチ! おい人間! 今回は見逃してやる!! だが早々に下界に降りろ! 目障りだ!!」
そう言ってクエイラスは踵を返す、良かった……なんとか丸く収まりそう……。
〈馬鹿が、甘いんだよ……このデカブツはオルの事を貶めた、生かす価値はない〉
[…………あなたに任せます]
ずっと黙っていたヴァルが口を開いた。正確には脳内会話だけど。
『待ってよクエイラスさん!! お詫びに渡したいものがあるんだ!』
その言葉にこちらを振り返るクエイラス。
だがその目はゴミを見る目、振り返ったのも気まぐれだろうか?
「うるせぇな? 人間如きがこの俺と――――」
『――――いいから受け取れ…………破壊・神命』
溢れ出す神力。
それは神すらも殺しうる破壊の力。
「なァッ!?!? テ、テメェ!? 破壊――――」
壊れ行くのは神の命、そして司る宿命。
驚愕な表情をしたまま体の時間が止まり、ボロボロと崩れ行く神体。
ただの人間と侮り、接近を許したが最後。
わずか数秒……絶大なる力を見せた最上位神、その巨体は呆気なく消え失せた。
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