第一話 神界最初の騒動
お読み頂き、ありがとうございます
神界編です
大きな起伏は基本ありません、深く考えずお読み頂ければ幸いです
神界へとやってきた僕、オルクス・リミットレス。
凄い経験だ、人間が立ち入る事は出来ないであろう領域に、僕はいる。でも景色は大して下界と変わらないような……。
「すぐにヒガシに降臨する? それとも少し休憩しようか?」
何故だろう? エル姉に休憩する? って言われると少しエロ……くない。
あれ? エル姉は美しいしスタイルもいい、胸も…………あれ? 不能になった?
〈忘れたのか? ここは神界、三大欲求は適用されない〉
(えと……食欲、睡眠欲、性欲? それがないって事?)
〈そうだ、腹も減らないし眠くもならん。もちろん性的な興奮を覚える事もない〉
なにそれ、つまんなそう……ほんとだ、エル姉の裸を想像しても何も感じない……美しい肢体、それだけ。
〈真っ先に確認する欲が性欲な所が、オルらしいの……〉
「う~ん、せっかく来てなんだけど……もう戻ろうかな……」
「私はどっちでもいいよ? 神界は人間にとって面白い所ではないわ、美味しい食べ物がある訳でも、観光名所がある訳でもないから」
お腹が空かないなら、食べ物はないだろうとは思っていたけど、観光する所もないんだ……。
なんてこった……旅行するに値しない場所、魅力度ランキング最下位……僕の故郷みたいだ……。
「珍しい神がいるくらいだよ? 人間が最後に見る神……死の神とか、人間なら誰もが心を奪われる美しさを持つ絶美神とか――――」
「――――見たいその美神、連れてって」
絶美神!? 絶対美しい!? なにそれ! 絶対に美しいじゃん!! エル姉以上って事!? なにそれ、もはや想像すら出来ぬ……。
〈コイツッ!? 神界のルールを打ち破ったと言うのか!?〉
そこなんですよぉ~、湧いて来たのは最高の美に対する興味だけ、性欲じゃないと思う。
っくそ! もどかしい……こんな設定にするんじゃなかった!!
〈……一応この神界のルールを破壊すれば、欲を得る事も可能だが……その時は大勢の神を敵に回す事になる、面倒であろう?〉
面倒って言う言葉で片付けれる所が凄いな……。
それほどの力があるって事だろうけど、どんな神が現れるのか分からないしなぁ。
「う、うん……オルクスが見たいなら案内するけど……あの女神はあまりおススメ出来ないなぁ……」
エル姉、可愛い。嫉妬だな? 僕を絶美神に取られるとでも思っているのだろう。
安心してよ、姉さんは一人だけだから…………多分。
『では、少しだけ神界観光……神観光と行こうか。我もあまり出歩かないからよく分からん……エルフレイヤ、頼んだぞ?』
「引きこもり神が……あなたの為ではありませんよ? オルクスの為です」
『分かっておる! まったく、さっさと案内しろ……オルクスの為に――――』
「――――あぁああん? なんで神界に人間がいやがる!!」
突然僕達に声を掛けてきた大男……でけぇな、何の神様だ?
「貴様が連れて来たのかエルフレイヤ!? ッケ! 可愛い顔して、この人間を誘惑でもしたのか? こんな冴えないゴミみたいな人間をよォォ!!」
エル姉を呼び捨て……。
しかし間違った事は言っていない。エル姉は可愛いし、誘惑もされたし、僕が冴えないゴミ人間って事も正しい。
〈よくそこまで自分を卑下出来るな……オル、代われ……これはフラグだ〉
ヴァルが僕の了承を得ることなく、体の支配権を奪い取った。心なしかイラついているみたいだけど……僕の事で怒ってくれているのかい!?
なんて良い奴、アホなんて言ってゴメンな……。
「…………クエイラス、その言葉……取り消して頂けますか?」
「あぁん? その言葉ってなんだよ? この人間が不細工で、ゴミ箱に捨てられたゴミみたいって言った事かァァ!?」
ひ、酷いっ!! 色々言われた僕だけど、何言われても傷つかない訳じゃないぞ!? ゴミ箱に捨てられたゴミって……ゴミ箱に捨てるのはそりゃゴミだろうよ……。
「…………殺すぞ? 図体だけの木偶の坊が……お前は存在そのものが罪だ、死ね……」
ひぃぃぃ……お怒りモードエル姉!! 相変わらず怖い……。
ヴァル!? なんで破壊の力纏わないの!? 神達の圧が怖いよ! 僕、今は神界にいるただの人間状態なんですけど!?
「……断罪如きがァァァ……死ぬのはテメェだ!! 大地の咆哮!!」
エル姉の言葉に表情を憤怒で染めた、クエイラスと呼ばれた神から神力が放たれる。
な、なんて神力……この圧はやっぱり最上位神!!
(エ、エル姉が危ない!! 助けないと!! なんで動かないのさ、ヴァル!!)
圧倒的な神力が放たれたのに動こうとしないヴァル、それどころか破壊の力すら纏っていない……強制的に支配権を奪おうとしても拒否される、どういうつもりなんだよ!!
〈落ち着け……オル、忘れていないか? お前の姉が、どんな存在なのかを〉
「下らない…………神ノ断罪!!」
クエイラスが放った圧倒的な神力を、上回るほどの神力で迎え撃つエル姉。
一瞬拮抗したと思われた神力だが、軍配が上がったのはエル姉。神が犯した罪を、エル姉の神力が断絶する。
そのまま突き進んだ神力は、クエイラスの片腕を吹き飛ばした。
〈あの女神は断罪神、あの女に断てない罪はない……〉
僕の事を可愛がってくれる優しい姉は、最上位神である断罪の神。
とてもフランクで、本当に近所に住んでいるお姉ちゃんって感じがして、最強最上の神の一人である事を忘れてしまっていた。
でも、これだけは忘れていないよ! エル姉は、僕の自慢のお姉ちゃんさ!!
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