第二十二話 お姉ちゃん
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爆発神と断罪神、そして雑草とタンスの二人もいなくなり、久しぶりに自由になった僕と破壊神。
ボンボンが狩った魔者の金が少し入ったし……そろそろ違う街に向かおうかな?
「待って下さい、どこに向かうのですか?」
……一人残っていたようだ。
声を掛けてきたのは最上位神の一神である断罪の神、エル姉ことエルフレイヤ。
う~む、何故ついてくるのだろう……神の話は終わったんだけどな……。
『何故ついてくる? 貴様の出番は終わりだ、ゴーホーム!』
「私は貴方について行っているのではありません、オルクスについて行っているのです……ねぇ? オルクス?」
くぅ……拒否出来ない、拒絶出来ない、否定できない、逆らえない……。
近所の姉ちゃんってさ、妙にエロくて、妙に気にならない? 多少ブスでも……。
「あ、あはははは……でもエル姉、僕達について来ても面白くないよ?」
「――キュンッ――エ、エル姉…………いいの!! 私、お姉ちゃんだから! オルクスを守らなくちゃ!」
なんだ? いま不思議な効果音が鳴った……お姉ちゃんフラグ……か?
『不要だ、去れ! オルの事は我が守る……そもそも破壊神の寵愛を受けているのだ、誰がオルを危険に晒せると言うのだ?』
「黙っていて下さい、これは家族の問題です。他神が口を挟む必要はありません」
ブラコン? 僕の本当の兄や姉は、僕をゴミみたいに扱ってくれた……これが、家族の愛……なのか?
〈違う、こいつの愛は歪んでおる……騙されるな〉
(う、うん……そうだよね――――)
[――――オルクス? その馬鹿神を信じてはいけないよ? お姉ちゃんを信じなさい]
「『だァァァァァァァァァァァ!!??』」
突然頭に響いたエル姉の美しい声色。
なんで!? 脳会話にエル姉が参入してきた!?
「エ、エル姉!? 今のなに!?」
「なにって……オルクスの頭に私を送り込んだだけだよ? それなりに神力を使うから、常時はいられないけど…………ねぇ、やっぱり私の体に……」
頭に私を送り込んだ!? なんかちょっと怖いな……大丈夫なのか?
〈今は特に危険はないが、人間の器であれば五人が限界……それ以上は脳が焼き切れる〉
(焼き切れる!? すっごい怖い! なんとか出来ないの!?)
〈破壊の力を展開すれば、シャットアウトは可能だ……やろうか?〉
(う、うん! そうだね! 焼き切れるのはこわ――――)
[――――オルクス? そんな事言わないでよ……お姉ちゃん、悲しいよ……]
(………………ヴァル、展開しなくていい)
〈はぁ……甘いのぉ、オルに任せる……〉
エル姉と並んで道を歩く、エル姉の身長は僕より少し高く、その美貌の為かかなり目立つ。
恋人……には見えないな、本当に姉弟……のように見えるのかな?
〈客観的に見れば、女王様と奴隷だの……〉
[ふざけないで下さい、オルクスとは姉弟です]
〈……常時いるではないか……さっさと出て行け……〉
頭の中で繰り広げられる僕以外の会話……かなり違和感を覚える。
音楽を聴いている感覚……とも少し違う……まぁ、いいか! こんな事無理に伝えなくても!
「それで? オルクスは何処に行くの? そもそもどうして破壊神なんかと一緒にいるの?」
『なんかとはなんだなんかとは……まったく、姉弟揃って我をなんだと思っている』
行く当ては特にないけど、やりたい事はたくさんあるかな。
僕はこれまでの人生、ヴァルと出会ってからの話をエル姉に話して聞かせた。途中からその美しい顔に影が差し、道行く人を睨み始めたんだけど……。
「――――そんな事が……許せない……私の可愛い弟になんて事を…………断罪よ……オルクスに唾を吐いた人間……神は全て断罪する……」
な、なんだ!? 凄い圧が出てる!? 体が震える……これが……最上位神……。
「エ、エル姉……怖いよ……落ち着いて……」
〈奴の神気に中てられたな……破壊の力を纏えば大丈夫だ、そろそろ感覚的に破壊の力を展開する事を覚えるんだ〉
僕の言葉に慌てたエル姉が駆け寄って来る、申し訳なさそうな顔をして、僕の頭をその大きな胸に引き寄せた。
「ご、ごめんねオルクス! 怖がらせちゃったね? ほらっもう怖くないよ?」
そう言いながら僕の頭を撫でる、感じた事のない感触、想い……姉がいるって……こういう事なのかな……?
『離れろ気持ち悪い……我がいる事を忘れるなよ?』
ヴァルの言葉に凄く嫌そうな顔をして離れるエル姉。
一応僕もいるんだけど……そんな視線向けられると……ゾクゾクするじゃないか!
「はぁ……本当に邪魔ですね……それよりオルクス? そう言う事なら私も一緒に行くよ? 私の事を上手く使えばいいわ」
ヴァルと僕に対する時の雰囲気が、ヤバいくらい違う……疲れないのかな? そんなにコロコロ表情を変えて……。
『一緒に来るだと? お断りだ、断罪の力などなくともオルの復讐劇は問題ない、破壊すれば済むのだからな』
「馬鹿ですね? それの何処が面白いのですか? 破壊した所で、驚くのは周りだけ……破壊された本人は一瞬恐怖を感じるだけで、すぐに転生しますよ?」
『命を壊すのが破壊の全てではない! 記憶、感情、感覚、運命、幸福……その他多くの事を部分的に破壊出来る、苦しみを与える事は断罪の力より圧倒的に上だ!』
なるほど~そこまで考えていなかったけど、流石本家破壊神! 今まで伊達に部分破壊をしまくって楽しんでいた訳じゃないって事か!
「馬鹿ですね? 人間の男が持つ感情……女性に対する劣情……今まで馬鹿にしていた者が、私のような美神を連れてきたらどう思います? さぞ優越感に浸れますよ?」
……それは素晴らしいっ!! こればっかりはヴァルにも出来ない!!
それはやってみたい! エル姉と腕を組んで、勇者に会って……おや? 随分なブスを連れているのですね? ……言いたいっ!!
『自分で美神とか言うな……もういい……オルに任せ――――』
「――――連れて行こう!! エル姉! しばらく宜しくね!!」
「うん、任されたよ! お姉ちゃんに任せなさい!」
最上位神のエル姉を引き連れ、僕は街の入口まで足を運んだ。
途中からエル姉はふざけて僕と腕を組み、恐ろしいほどの美貌で僕に微笑みをくれた。
すれ違った沢山の男達の恨めしい顔、僕の心が優越感で満たされる。
気分がいい……エル姉には感謝しなきゃ!
さて、じゃあいよいよ、勇者とビッチに会いに行こうか!!
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