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第十二話 危険度とは……

お読み頂き、ありがとうございます

「……お? あったあった、これだね」



 手っ取り早く金を稼ぐ方法、それは他の誰にも出来ない事をすればいい。僕の場合だと、やっぱり破壊の力だよね。


 つまり破壊の力を使って、誰も討伐する事の出来ない凶悪な魔者を狩ればいいんだ!!



 神教会が神の天敵である魔者の討伐を勝手に行い始めて数十年、数百年か?


 ともかく、神に頼まれた訳でもないのに人間達は進んで魔者を狩るようになっていた。


 しかし、神ですら簡単に滅する事の出来ない魔者に人間が敵う訳がない。



『ほぉぉぉ結構いるものだの、魔者って。……これなんか数十年間掲示されっぱなしのようだぞ?』



 本当にごく一部の限られた人間、俗に言う神に愛されし者……だよね。強力な神術を操れる人間くらいしか、魔者に対抗出来ない。



 でも、絶対でなはないんだ。



 何年か前に聞いた本当の話。人類最強とまで言われて、多くの人から尊敬を集め英雄と呼ばれていた者は、魔者に食われて呆気なく死んだ。


 魔王の城にいたラスボス……って訳ではない。街の外、ただの街道に現れた魔者に食い殺されたのだ。



『さて……どれにしようかの? おっ! これ報酬が高いぞ? ……うん? 何処かで見た様な……』



 いつからだろうね? 魔者は獲物ではなく、狩人。


 獲物は人間の方。魔者の姿を見たら脇目も振らずに逃げる事、それはこの世界で生きていく者の常識となっていた。



『あぁああ!? これ、あのイノシシ型の魔者ではないか!! …………なになに、討伐確認方法……死体……及び牙……あれ? あの魔者どうしたっけ?』



 後ろでボケーっとしている女神達を見ても分かる、神ですら魔者に敵わない事もあるんだ。


 そんな中、僕はすでに数体の魔者を滅した。それも簡単に、指先を少し動かしただけで。


 これは天職だろ? 人間を、この世界を救ってやろうなんて全く思っていない。


 でも、これほど金を楽に稼げる舞台もない。



『……そうだった! オルが破壊してしまったんだった! くっそ~先にこれを見ておけば……』



 さっきからブツブツと煩い破壊神の力、有効活用させてもらおうじゃないか!!



〈ブツブツと煩いのはオルも一緒だぞ? 我の何倍もの行を使ってペラペラと……〉


(へいへい、すみませんね。説明は必要なんだよ! ……で、いいのあったか?)


〈よく分からん、そもそも目撃場所……と言われても、ここがどこかも分からんもん〉



 掲示板を覗き込む。目撃場所の詳細が記載されているが……なるほど、分からん。ジャストン近郊……この街の名前かな?


 誰かに聞こうとしても、魔者の掲示板付近にいる変人は僕達しかいない。


 僕達と、ボケーっとしている女神達…………あ、そうか!



「ねぇタンちゃん、ウィード? ここから一番近くにいそうな魔者って分かる?」



 急に声を掛けられ、驚きつつも二人は掲示板を覗き込む。


 掲示板には魔者の絵が詳細に描かれており、微妙に顔を歪める女神達。



「これ……とか、私達が出会った場所の近くですけど……でもこれは……」


『ダメである、討伐済み。死体も牙も何もかも消滅済み』



 あぁ、あのイノシシ型か……討伐対象だったなんて、失敗したな……。



「討伐済み!? ……これ、危険度赤ですけど……」



 危険度? そんなもの無いに等しい。どんなに危険な魔者だろうが、可愛らしい魔者だろうが、関係ないのだから。



「で、でしたらこれはどぉでしょう? 危険度緑、場所も中々近いですぅ」


「ダメ、報酬が少ないよ。最低でも赤貨以上」



 っふ、赤貨があれば借金を返済してもお釣りがくるぜ!! テン・チョーの野郎、今に見ておけ!!



「危険度赤なんて、上位神でも手古摺りますよ!? 危険ですよ!?」


『バカたれ、我は最上位神である。上位神などと一緒にするでない』



(ヒューカッコいいじゃないかヴァル! 今のセリフはナイスだ!!)


〈で、あろう? この女神達、我の言葉に股を濡らし――――〉


(――――馬鹿っ!! それは下品だって言っただろ!?)



 女神達も最上位神であるという事を思い出したのか、再び真剣な様子で掲示板へと向き合った。



「…………あのぉ、ここに張り出されている討伐対象に危険度赤はないですぅ。このイノシシの魔者だけですねぇ~」



 驚愕な事を言う雑草、赤がない? こんなにいっぱいいるのに?


 唯一あった赤は、あの破壊してしまったイノシシ……なんて運が悪いんだ……。



「ど、どうするの? 他の街に……行きますか?」



 タンちゃんがおずおずと提案してくるが、他の街に行っても赤以上の依頼があるかどうかなんて分からない。


 であれば、緑の魔者を狩りつくす方が確実かな……?



『まさか初遭遇の魔者が危険度赤とはのぉ~。あれが上から三番目? 人間の感覚はズレていないか?』


「い、いえ、ズレていないと思います……失礼ですが、ズレているのは……」



 タンちゃんの言う通り、確かに危険度赤なんて現れたら大騒ぎだ。国をあげての討伐戦、もしくは防衛戦。


 赤以上の金と黒なんて、もはや伝説級……いるのかどうかも分からない。


 でも正直、僕も恐怖なんて感じないんだよね……ヴァルに感化されているのかな?



「何はともあれ、緑で我慢するしかない。近い所の緑を殲滅しに行こう」


『了解だ……おい女神達、道案内を頼むぞ?』



 女神達の表情が引きつる。


 確かに破壊神といれば大丈夫であろう……しかし緑を殲滅と言うが、雑草を引き抜きに行くのではないのだ。


 上位神でも、簡単に討伐出来ない危険度緑の魔者。下位神である私達なんて、手も足も出ない。



『オル! ついに自分達の金で好きな物が食えるな!!』


「おぉ! なに食べようか? ノーインセクトミートいっちゃう?」


『わははは、よせよせ! 店長はお腹一杯である!!』



 何故この神達は笑っているのだろう。


 確かに破壊の力は凄まじい……実際にこの目で見たのだから。



「あ~でも先に借金返済しないとね……」


『もうよくないか? 破壊神が皿洗いしたんだぞ?』



 最上位神は、やはりどこかおかしい。世界のバランスを簡単に崩してしまうほどの力を持っているのだ。


 早くも破壊神に弟子入りした事を後悔し始めた女神達であった。


宜しければブクマや評価のほう、お願い致します


青とか緑とか……お気づきでしょうが、パチンカスです、元


虹はないな……と思い最上位を黒としました

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