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第九話 既視感

『ほほぉ……中々に大きな街であるな!』



 美神の女神を二人引き連れた僕と破壊神は、街まで辿り着いていた。


 生贄にされてから数日、二か所目の街だけど……やっぱり知らない街だ。もしかしたら、大陸が違うのかもしれない。


 この世界には大きな大陸がいくつかあるんだ! でも後で説明するねっ!!



「破壊神様、この街には何の用事で来たのですか?」



 タンちゃんの言葉に思いを馳せる。色々あったからなぁ…………あれ? なんでこの街に来たんだっけ?



『食事である! オルの体にいる以上、腹が減るでな! 食べねば死ぬ……事もないが、食欲があるのだ!』


「な、なるほど~ではおすすめのお店がありますぅ~ご一緒しませんか?」



 ウィードの案内でおすすめの店に入店する僕達。ニコニコと僕達の両腕を引く彼女達に、鼻の下が伸びてしまう。


 友達……なんだよな? 勘違いしそうだ…………だってメロンとミカンが当たっているのだもの……。


 この感覚の共有だけは絶っっ対外さない!!



「よいしょ…………あはは、今日二回目だわ」


「えぇぇぇずるぅ~い! ここに来る時は一緒って約束していたのに!」


「ご、ごめんごめん……喉が乾いっちゃって」



 目の前で女子トークをする二人は、とても神には見えない。


 確かに美しい……その証拠に店に入ってから男性客の目線が彼女達に釘付けだ。



〈我らにも視線を感じないか? 不敬な人間達だ、破壊してやろうか……〉


(……そりゃ美女二人と一緒にいるのが僕達なんだもの……疑惑の視線だよ)



 美神を引き連れているのは、お世辞にもイケメンとは言えない青年。しかも二人なのだ、異常な光景に見えるであろう。



『まぁまずは腹ごしらえだ、我はこれとこれと……これとこれと、これだ』


「そ、そんなに食べるの……? 流石破壊神ね……」


「私はこれにしますぅ~、タンちゃんは?」


「私は……これね、いつもの」



 みんなが注文する物を決め、店員に伝えていく。何度か確認されたが、ヴァルが頼み過ぎって事だろう。



(ヴァル、分かっているだろうな? 約束だ、今度は僕の番だろ?)


〈はて、そんな約束したかの……? ……うぎぎぎぎぎぎ……まて、代ろうとするなオル、頼む……半分だけ、半分だけ食わせてくれ……〉



 くそっ! 何が、欲がないだ! 食欲旺盛じゃないか!?


 味の共有なんて味気ない! 僕にも好きな物を好きなタイミングで好きな強弱で咀嚼させろォォォ!!


 ……無視か、はぁ……仕方ない、目の前の美女達を見て時間を潰すか……。



 十数分後、テーブル一杯に並べられた料理。それを美味しそうに頬張るヴァルと美女二人。


 美神は何をしてても絵になるな……髪をかき上げる仕草、小さく開いた口、静かに動く顎…………飽きたな、美神は三分で飽きるとは本当かもしれない。



(ヴァル……もう半分どころか終盤ではないか? どういう事だ?)


〈はて、そんな事言ったかの……? ……ウギギギギギギィ!! や、やめろ!? これは好物なのだ! 最後に残しておいたのだ!!〉



 なんて激しい抵抗しやがる!? 欲まみれじゃないか! 決めた、今度からは店に入る前に支配権を取ろう。



『ふぅぅぅぅ食った食った……余は満足じゃ……』


「すごぉ~い……本当に全部たべちゃいましたぁ~」


「食べた物が胃の中で破壊されているのかしら?」



 だとしたら腹が減って仕方ないだろう? 僕もビックリだよ! 僕の体なのに、こんなに食べれる体だったなんて驚きだ。



『ふむぅぅぅぅ…………で、お前達はいつまでついて来るのだ? そろそろ神界に帰りなさい? 若い女が夜遊びなんてしてないで……』



 神にもそういう感覚があるのだろうか? ……いや、なさそうだな。


 彼女達はヴァルの言葉に首を傾げている、それに外はまだ普通に明るい。



「えぇぇ~いいじゃないですか~。ねぇウィード? もっと一緒にいたいよね?」


「は、はい……ご迷惑でなければ……」



 ほんとグイグイ来るな……大体なんで一緒にいたがるんだ?


 残念ながら、僕達に惚れている……なんてフラグは立っていない。本当に最上位神といたいだけなんだろうか……?



『ご迷惑である! 我らは自由なのだ! 他人……他神に行動を制限されたくないのだ……のう、オル?』


「う、うん……その、どうしてもって言うなら……あれだけど……」



〈馬鹿オル! ハッキリ断るのだ! そういう所は治しなさい!!〉


(だ、だってさ、あの顔見てよ……あんな悲しそうな顔されちゃ……)



 彼女達の表情を見て、僕は断りづらくなってしまった。


 タンちゃんは沈んだ顔をし、ウィードはボケーっと…………なんでこいつはボケーっとしているんだ? 無感情なのか?



「あ、あのっ!! 実はお願いがあるのですが……」



 突然タンちゃんが大きめな声を出す、その表情は何かを決意した力強いものであった。



『ダメだ』


「え……まだ何も言ってないよ……?」



 先回りしてお断りを入れるヴァル。確かに、何か面倒な頼み事っぽいよね。僕は断れないだろうから、ここはヴァルに任せよう。



『大体想像はついている! ここの支払いをお願いとか言うのであろう? 確かに我が一番食べた!! しかし、割り勘…………………………ダァァァァァァァァァァアアアア!!??』



 な、なんだ!? なに急に騒ぎ出した!? ビックリした……すげぇデッケぇ声で。


 見ろよ、ウィードもタンちゃんも驚いている、周りの客や店員の注目も集まってきているぞ!?



(どうしたんだ!? キチガイみたいに叫び出して! ビックリするだろ!?)


〈……………………………………金がない〉



 金……?



「ダァァァァァァァァァァァァァァァ!!??」


お読み頂き、ありがとうございます


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