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第六話 変態の神

不浄なる表現が含まれます、お気をつけ下さい

 どんな理由があろうと、この神に恥をかかせ泣かせてしまったのは僕だ。


 女の子には笑っていて欲しい。僕は泣いている様子が好きだと言う変態ではない。



「君、大丈夫だ――――」


『――――この女漏らしおったぞ!? ひぃぇぇぇぇ避難避難っ! お~いみんな~こっちに来ない方がいいぞぉ~』



 時が止まった。


 僕は何を言った? 僕の口から何が出た? 最悪だ、最低だ。


 この破壊神……感覚的に悪気はないのだろうが、それはダメだろう? トラウマになるぞ? 僕にも経験がある、胸が痛む……。


 最早フラグなんてものは破壊された。


 見ろよ? タンちゃんは更に塞ぎ込んでしまったし、ウィードも悲しそうな顔で…………なんでこの女は笑ってんだ? 性格悪い女だな。



「タ、タンちゃん? ごめんよ? 今のは僕が言ったんじゃなくヴァルが言ったんだ、僕は君の気持がよく分かっているから……」



 そう声を掛けるがタンちゃんは蹲ったまま顔を左右に振り拒絶の意思を示してくる。


 ここまで来ると、ほぼ修復は不可能…………仕方ない、最終手段だ。



〈なぁオル? お腹空かないか? そろそろ街に行こ――――〉


(――――あんた、どんな神経してんの!? こんな状態でここを離れたら僕は一生眠れなくなる!)



 さて、気を取り直して最終手段だ。



「記憶破壊・分」



 便利だろう? ここ数分の記憶を破壊したのだ。


 これでタンちゃんは漏らした直前までの記憶しかなくなった! どっかの無神経破壊神が無神経な事を言う前まで時間が戻ったのだ! 最早、時の神と言っても過言ではない。



 え? ウィードの時もそうすれば良かったって?


 ……うるせぇよ。


 念のためウィードの記憶も破壊しておこう。さぁ、時を戻そうか!



「君、大丈夫だよ? この液体は全然汚くないんだ。聖水って言ってね? 可愛い子はみんな聖水に変わってるんだよ、僕は飲める――――」


「――――ひぃぃぃぃぃぃぃ!? へ、へんたいっ!!! 誰か助けてぇぇぇぇ!!」



〈引くほどの変態だの……流石の我も許容しがたい。特殊性癖は隠すものだ、相手に理解を求めてはいけないのだ〉



 っく!? ヴァルのくせに正論を!?


 タンちゃんは確かに元気になったが、それは羞恥心よりも変態に対する恐怖が上回った為であろう。



(くそっ!! 僕は間違ったのか!? こんなの僕が望んだ展開ではない!!)


〈何故これが正解だと思ったのだ? オルの事が良く分からなくなってきた……〉


(ともかくっ!! これはダメだ! ――――記憶破壊・分! 時を戻そう)



 作られた記憶が次々に破壊され、少女達は自分達の感情が分からなくなる。


 先ほどまで恥ずかしかったし怖かった、その次は悍ましくなった、また恥ずかしくなった。


 しかしその感情を抱いていた理由が分からない。


 記憶と言うのは……難しいね? あまり不用意に破壊しないようにしないと。



「オッホンッ! ……君、大丈夫だよ? 怖がらせてゴメンね? 君のような美しい神を破壊したりなんてしないから、泣き止んで? 君には笑顔の方が似合うよ?」



 そう言いながらニッコリとはにかむ。


 彼女の元まで近づいて膝を折り、頭を撫でてやる。


 漏らしたと言う事には触れない、漏らしたのに触れているのは僕の膝、彼女が漏らした液体なんて、汚くも何ともないと言うさり気ないアピールだ!



〈……それはイケメンにのみ許される行為ではないか? オルの容姿は客観的に見て中の下……身内贔屓で中の中だぞ?〉


(馬鹿がっ!! この漏らしたと言う経験した事のない状況では、精神状態は大きく歪んでいる! 一種の錯乱状態…………落とすのは容易い)


〈……相手が錯乱状態でないと落とせんのか……悲しいのぉ……〉



 確かに僕はイケメンじゃない、でもまずは彼女を安心させる事が優先だ。


 安心に顔なんて関係ない。相手の立場、状況を理解していると伝えるのが重要だ!


 結局は、破壊されるのが怖いというのが本質だろ? 漏らした事なんて二の次、いや……漏らした事によって更に破壊されるという恐怖が増幅したのかも。



「すんっすんっ……本当に…………壊さない?」



 ビンゴォォォォォォォ!!!


 赤く目を腫らし、僕の目を見つめるタンちゃん。


 ここまで顔が近いと逆に可愛いかどうか分からなくなるな…………毛穴が目立つ。



「あぁ、壊さないよ? 泣き止んで?」



 そう言いながら頭を撫で続ける。


 段々と安心してきたのか、徐々に顔が赤く染まっていくのが見て取れた。


 命の危険は回避された……で、あるならば次の現実を認識し始める。



 そう、漏らしたと言う事に……。



「……うぅぅ……漏らしちゃった……」



 か、可愛いィィィィ!! ナイスだ! その恥ずかしがっている仕草も表情も、言葉も! 先ほどまでツンケンしていたという事実が更にそれを引き立たせる!



「ご、ごめんなさい……見苦しい所を……」


「そんな事ないよ! さっきも言ったでしょう? 君の聖水なら飲――――」



〈――――馬鹿か貴様っ!!?? さっきどうなったのか忘れたのか!? そもそも記憶は消えているのだから知らないだろう!?〉



 おっと……危ない危ない、少し僕は舞い上がっているようだ。


 見た目や性格、性癖もストライク。でも、少し落ち着かないと。いつもの僕らしくない、ヴァルと立場が逆になっている。


 落ち着け……落ち着け……落チ着コ……落ち着け……。



〈この変態神が……〉


お読み頂き、ありがとうございます


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