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第一話 戦場の華

五章です

章タイの通り、勇者と霊人と呼ばれる者達の話、の予定です

 明くる日も明くる日も、修行修行修行。


 全ては己を高みへと押し上げるため、まだ見ぬ頂きを目指して今日も僕は修行する。


 最強への道、他者を寄せ付けぬ圧倒的な強さ、それは一朝一夕で得られるものならず。己を追い込め、己を知れ、己で開け……さすれば与えられん。


 戦闘の神イクサスキに教えを乞い、稽古を付けてもらう事幾星霜……僕は掴みかけていた。


 最強? 圧倒的強さ? そんなん知らねえよ。


 僕が身につけたかったのはカッコいい強さ、人間達に見せびらかす事の出来る力、ようは手加減を覚える事だ。


 僕が得た破壊の力は、確かに強大な力だ。しかし強大すぎてしまうが為に、力の使い所が難しい。


 例えば道を歩いていて変な奴に絡まれたとしよう、因縁を付けられたとしよう。


 僕がそいつを退けるために出来る事は、破壊するだけ。重傷だ、重傷で済めばマシな方だと思う。


 無暗矢鱈に破壊するなんて、それではただの破壊神だ。いや破壊神なんだけどさ。


 僕は圧倒したいだけ、見返したいだけ、悔しがる姿を上から見下ろしたいだけ、殺したい訳じゃない。


 まぁそんなこんなで、破壊の力を使って相手を圧倒できる方法を模索するために修行しています。



「――――ギェピィィィィィィィ!?!?」


「――――なぁにをボケっとしているんダ!! 油断大敵、何度も教えたはずダ!!」



 吹き飛ばされ地面を転がり回る僕。


 ここは時の神殿、クロノアの管理する時間の流れが緩やかな場所。もう何日、いや何年間ここにいるのか分からない、それほど長くいた気がする。



「いってぇぇぇぇぇ…………あぁあ!? また腕がおかしな方向に!? もっと手加減してよ戦好き!!」


「イクサスキダ!! ここが戦場なら貴様はもう死んでいる、集中するんダ!!」



 この修行では破壊の力を纏う事は禁止、そして純粋な破壊の力を放つ事も禁止としているため、攻撃を受ければ体が傷ついていく。


 破壊を使えるのは抵抗破壊と武器に破壊を纏わせる事だけ、でも何度かイラついて戦好きに全力の破壊を放ってしまい怒られた。



「うぅ……いてぇ……いてぇよぉぉぉぉぉ!! ……ふふっ……リジェネ様~、また怪我しちゃいましたぁ!!」



 僕はそう言って、端の方で微笑みながら僕を見守ってくれていた女神の元に走る。


 この戦場での怪我はご褒美だ。あの美しき女神に、再生の神リジェネに優しく治してもらえるのだから。



「あらあら、可哀そうなオルクスちゃん……今治してあげるね? それぇぇ!」



 僕を優しく抱き留めながら再生の力を腕に放ってくれたリジェネ、折れた腕が再生していく様子は中々にキモい。


 慈愛力が半端ない、その雰囲気は僕が出会った中では最も女神らしい。聖母だね、まるで母のような包容力で僕を包み込んでくれる。



「ありがとうリジェネ様!」


「はいは~い、頑張ってねオルクスちゃん!」



 再生した腕を軽く回しながら、羨ましそうな顔でいる戦好きに向かう。


 コイツもたまにワザと負傷しようとしている節があるから注意しないと。だがその気持ちは分かる、戦場に咲く一輪の花……戦大好きの狂神も、その様子には目を奪われるという事だろう。



「別に羨ましくなど…………では次はこれダ!!」



 戦好きが手をかざすと、辺りの景色が変化する。何もなかった神殿の床には無数の剣や槍などの武器が突き刺さっており、圧巻だ。


 戦士達の墓場。よくそう言った場として見られる荘厳な光景、テンション上がりんぐ。



「戦乱の中では己の相棒……武具が壊れる事もある! そのような時は倒れた友の魂を引き抜き、共に戦ってもらうのダ!!」


「素晴らしいッ!! 戦乱に巻き込まれる事はないと思うが覚えておこう!! 友の魂を引き抜き……行くぞ戦好き!!」


「イクサスキ! ダ!! 武器の強度は落としてある、魂をとっかえひっかえしながら俺に攻撃を与えるのダ!!」



 剣に槍に、様々な武器に破壊を纏いながら戦好きに攻撃をする。耐久度が低いせいなのか、戦好きの双剣に防がれるだけで砕け散る友の魂。


 友の魂を百本も砕いた辺りだろうか? 戦好きが攻勢に転じ、一瞬にして攻めは守りに変わる。


 まともに受けては武器は砕け致命傷を受けてしまうため、戦好きの剣を受け流す様に動くがままならない。


 上段から、下段から、様々な方向から迫りくる双剣。全てを受け流す事が出来ずに体に切り傷が作られていく。



「致命傷を避け、相手の隙を見つけカウンターダ!! 武器を目で追うな、圧を感じるんダ! 隙がなければ作り出せ!!」


「くぅおぉぉぉぉ!! ッッ!? ここだ!! カウンターダ!!」



 恐らくワザとであろう隙を見せた戦好きの隙、好きの隙。


 僕は完全に捉えたと思ったがそうではなかった。僕の剣戟は片方の剣に阻まれ、もう一つの剣が僕の肩を貫いていた。



「……見事ダ。出会った頃に比べれば、その成長は素晴らしい。だがまだまだよ、相手の隙は誘いの隙かもしれん、次は応用――――」


「――――リジェネ様~、また怪我しちゃいました~、いたたたぁぁぁい」



≪あらあらあら、酷い事するわねイクサスキは。オルクスちゃん、こっちにおいで~≫


≪はぁぁぁい! オルクス、いっきまぁぁぁぁす≫



「…………別に羨ましくなどないんダからね……」


お読み頂き、ありがとうございます


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