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婚約破棄した悪役令嬢、騎士団推し活を始めたら王子の執着が止まりません  作者: ZERO POINT


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第9話 騎士様は独り占めしたい

 「ここにいると聞いたので……来てしまいました」


 現れたのは、ルーカスだった。


 エレノアは、ぱっと顔を明るくする。


「ルーカス!」


「来てくれたの?」


 ルーカスは少し照れたように言った。


「エレノア様」


「危険ですから」


「ご一緒させてください」


 エレノアは嬉しそうに笑った。


「ルーカス、いつも格好いいね」


「最高」


 ルーカスの顔が、一瞬で赤くなる。


「……俺なんかが」


「隣を歩いていいんですか」


 エレノアは即答した。


「むしろ、ずっといてー」


「……!」


 ルーカスは耳まで真っ赤になった。


「はい」


「エレノア様が、そう言ってくれるなら」


「俺、います」


 エレノアは満足そうに頷いた。


「ルーカス、イケメン」


 その横で――王子が固まっていた。


「……」


 ゆっくり口を開く。


「ルーカス」


「騎士団はどうした」


 ルーカスは真顔で答えた。


「休みを取りました」


***


 その頃――騎士団では。


「ルーカス、うまくやってるかな」


「あいつならいけるって」


「愛に生きろ、ルーカス」


「正直、殿下……振られ気味だよな」


「それな」


「残念だが、俺たちはルーカスを応援する」


「同じ騎士団としては、やっぱりルーカスだろ」


「そっと見守っていこうぜ」


***


 王子は無言だった。


 ルーカスは続ける。


「それに」


「騎士団のみんなが」


「エレノア様のところへ行けって」


「送り出してくれました」


 王子は小さくつぶやく。


「騎士団のやつら……」


 遠くで騎士たちがくしゃみをした。


 ルーカスが少し近づく。


「エレノア様」


「これからどこへ行かれるんですか?」


 エレノアは軽く考えてから言った。


「うーん」


「冒険者ギルドにでも行こうかなって思って」


 ルーカスの動きが、一瞬止まる。


「……」


 その時、ルーカスは令嬢たちの会話を聞いてしまった。


「シリウス様も最高でしたわ」


「でも、実は殿下の側近のルシェル様も良くないですか?」


「いや、私はシリウス様の隣にいたロレンツォ様も良かったですわ」


「研究所、最高でしたわね」


「次は冒険者ギルドでしょう?」


「まだまだ行かれるみたいですわ」


「最高ですわね」


 ルーカスは固まった。


(そんな……)


(エレノア様、俺だけじゃなくて……)


(他の推しも増やされるんですか)


 胸の奥が、少しだけ苦しくなる。


 俺は、ずっと。


 ずっとエレノア様のことを――。


 エレノア様には、殿下もいらっしゃる。


 それに――他の男も。


 俺だけが独り占めするなんて、きっと無理な話なのだろう。


 そんなこと、わかっている。


 それでも――。


 俺は、俺だけを見てほしかった。


 エレノア様が思っている以上に。


 俺は、ずっと前からあなたを見ているんだ。

 

 エレノア様は、俺にとって大切な人だ。


 無理だって、わかっていた。


 エレノア様は、ずっと殿下を見ていたから。


 でも――。


 殿下は、いつもエレノア様を悲しませていた。


 それが、俺には許せなかった。


 だから。


 少しでも笑ってほしくて。


 隣にいたかった。


 そして、小さな声で言った。


「俺じゃ」


「満足できませんか」


 周囲が、一瞬静かになる。


 エレノアはきょとんとした。


「え?」


 しかし、すぐに笑う。


「そんなことないわ」


「ルーカス、格好いいもん」


「……!」


 ルーカスの肩がぴくっと揺れた。


 エレノアは続ける。


「イケメンすぎる」


 令嬢たちも一斉に頷いた。


「本当ですわ!」


「騎士様、素敵です!」


「ルーカス様、王都トップレベルですわ!」


 ルーカスは完全に真っ赤になった。


「……」


 小さく言う。


「じゃあ」


「冒険者ギルドは……」


「行かなくてもいいんじゃないですか」


 令嬢たちが頷く。


「確かに」


 エレノアは少し考えた。


「でも」


「推しは多い方がいいでしょう?」


「……」


 ルーカスが静かに目を伏せる。


 遠くで王子がぼそっとつぶやいた。


「俺の心が折れる」


 そして、ルーカスは小さく言った。


「でも……」


「俺、寂しいです」


 エレノアが目を丸くする。


「え?」


 ルーカスは勇気を出すように顔を上げた。


「エレノア様を」


「独り占めしたい」


 少しだけ静寂が落ちる。


「……駄目ですか」


皆様、ここまで読んでくださってありがとうございました。


今回は、ルーカスがかなり頑張っていました。


騎士団に送り出され、真っ赤になりながらも必死です。


でも、エレノアの推し活は止まりません。


研究所の次は冒険者ギルド。

王都イケメン探索は、まだまだ続きそうです。


そして――。

ついにルーカスが「独り占めしたい」と言い出しました。


王子も静かに危機感を覚えています。


推し活令嬢会議も、どんどん拡大中です。


次回もよろしくお願いします。

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