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婚約破棄した悪役令嬢、騎士団推し活を始めたら王子の執着が止まりません  作者: ZERO POINT


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第8話 清純派はノアしかいない

 そのときだった。


「ノア、またこんなところに」


 低い声がした。


 エレノアは振り向く。


「……また来たの?」


「いい加減、空気を読みなさいよ」


「私は推し活してるんだから」


「皆に迷惑です」


 令嬢たちが、こくこく頷く。


「邪魔ですわ」


 王子は困ったような顔をした。


「いや……でも」


「今日は、花を持ってきたんだ」


 視線をそらす。


「ノアに」


 エレノアは花を見る。


 そして、一言。


「元婚約者からは受け取りません」


「元じゃない!」


 王子は慌てて言った。


「まだ婚約者だ!」


「だから受け取ってくれ」


「ノアのために、俺が揃えたんだ」


 少しだけ声が小さくなる。


「……昔、好きだって言ってただろ」


 エレノアは首を傾げた。


「今まで一度も、そんなことしてこなかったと思いますが」


王子

「……すまなかった」


「これでも、俺なりに頑張ってたつもりだったんだ」


 エレノアはため息をついた。


「だから言ってるでしょう」


「清純派ヒロインとお付き合いください」


「かわいらしい感じの」


 王子は真顔で言った。


「それはお前だろう」


「他に誰がいるんだ?」


「清純派はノアしかいない」


「それがどうかしたか?」


令嬢A

「え……?」


令嬢B

「ど、どのあたりが……?」


 研究者の一人が真顔で呟いた。


「推し活で騎士団を巡回し、研究所へ出入りし、冒険者ギルド制覇を狙っている方を、清純派と分類してよろしいのでしょうか」


「データ的には、かなり活動的ですが」


「さらに推し活を広めておりますし……」


令嬢A

「確かに、エレノア様はとても活動的でいらっしゃいますわ」


令嬢B

「清純派とは少し違う気がいたします」


研究者A

「一度、定義を整理したほうがよろしいかもしれませんね」


研究者B

「清純派と悪女の境界線ですか」


「興味深いです」


 王子は真顔だった。


「どこに問題がある?」


「ノアはかわいいだろう」


研究者たち

「そこは否定してません」


「美しいのは事実ですからね」


 シリウスは思わず視線を逸らした。


(かわいいのは否定できないんだな……)


 エレノアは真顔だった。


「ありえないわ」


「殿下、頭がおかしくなってますよ」


「目もおかしくなってるので、診てもらったほうがいいです」


王子

「……全くおかしくないと思うが」


「誰が見ても清純派だろう」


「陛下だっておっしゃっていた」


「だから間違いない」


エレノア

「そんなわけないでしょう」


「くだらないことばかり言わないでください」


 エレノアは、くるっと背を向けた。


「では、さようなら」


「シリウス様ーー!」


 ぱっと笑う。


「格好いいです!」


 シリウスの心臓が跳ねた。


「……!」


 王子はシリウスを睨む。


「おい」


「シリウス」


「絶対にノアは渡さない」


「覚えておけよ」


 研究所が静まり返る。


 ロレンツォが、ぼそっと言った。


「……殿下」


「必死だな」


 マリアベルが、ぽつりと呟く。


「……殿下って」


「エレノア様のこと、大好きですよね」


 エレノアは即答した。


「いや、ないない」


 軽く手を振る。


「今だけよ」


「ずっと婚約してたじゃない?」


「それを私から婚約破棄って言い出したから」


「ごねてるだけ」


 マリアベルは少し首を傾げた。


「そうなんですか?」


 エレノアは、さらっと続ける。


「正直ね」


「私、殿下とあまり話したことないのよ」


マリアベル

「え?」


「婚約してたのにですか?」


 エレノアは頷いた。


「そうよ」


「エスコートのときくらいしか話さないし」


「目もあまり合わせないし」


「手だって、エスコートのときくらいしか繋がないし」


「何を考えてるのか、全然わからないの」


 少し肩をすくめる。


「だから」


「婚約破棄を言ったら、急にしつこいの」


 ため息をついた。


「変な殿下よね」


 マリアベルは小さく笑った。


「……そうですわね」


 少し遠くを見る。


「でも」


「殿下、すごく必死でしたよ」


 エレノアは首を傾げる。


「そう?」


「私にはよくわからないわ」


 そして笑った。


「それより」


「次は冒険者ギルドに行きましょう」


マリアベル

「えっ」


 エレノアは楽しそうだった。


「王都には、まだまだイケメンがいるはずよ」


 そのときだった。


「エレノア様」


 低い声がした。


ここまで読んでくださってありがとうございます。


今回は、殿下がかなり必死でした。

しかし、エレノア様には全く伝わっておりません。


研究者たちも途中から「清純派とは何か」の研究を始めそうになっています。


そして、エレノア様は次の推しを探しに冒険者ギルドへ向かおうとしております。

たぶん止まりません。


次回もよろしくお願いします

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