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婚約破棄した悪役令嬢、騎士団推し活を始めたら王子の執着が止まりません  作者: 桐原悠真


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第4話 負けません、と騎士は言った

――騎士団訓練場。


 ノアは、いつもの場所にいた。


 柵の前で、元気いっぱいに手を振っている。


「きゃー!」

「ルーカス様ー!」

「格好いいーー!」

「イケメンーーー!!」


 騎士団がざわつく。


騎士A

「また来たぞ」


騎士B

「今日も元気だな」


 騎士Cが、ルーカスを肘でつついた。


騎士C

「ルーカス」

「エレノア様に呼ばれてるぞ」

「手、振ってやれよ」


 ルーカスは、びくっと肩を揺らした。


「え、いや……」


「ほら」


 騎士たちに背中を押される。


 ルーカスは真っ赤になりながら、そっと手を振った。


 その瞬間。


 ノアの顔が、ぱっと明るくなる。


「きゃーーー!」

「ルーカス様、ありがとうございます!」


騎士団

「うおお……」

「かわいい……」


 騎士Aが笑う。


騎士A

「エレノア様、かわいいな」


騎士B

「王都一の美人だぞ」


 騎士Cが、にやにやした。


騎士C

「ルーカス」

「お前、相当好きだな?」


 ルーカスは顔をそむけた。


「……うるさいな」


騎士A

「ワンチャンあるかな?」


騎士B

「王子いるけどな」


騎士C

「でも、婚約破棄するって噂だぞ」


騎士A

「じゃあ――」

「ないとは言い切れないな」


ルーカス

「……」


 遠くで、ノアがまた手を振っている。


「ルーカス様ー!」


 ルーカスの顔が、さらに赤くなった。


 そのとき――


 騎士団の入口が、勢いよく開いた。


「ノアーーー!!」


騎士団

「……」


騎士A

「殿下、来たぞ」


ルーカス

「……!」


ノア

「げ」

「殿下、また来たんですか」


 ノアは、呆れたような顔をした。


「邪魔はやめてもらえます?」


 王子は眉をひそめる。


「邪魔って……」


 ノアは、くるっと振り向いた。


「次の推し活に行こうかな」


王子

「え?」

「ここだけじゃないのか?」


 ノアは当然のように言った。


「他も見ておかないと」

「推し候補は多いほうがいいでしょう?」


王子

「……」


 ノアは楽しそうに続ける。


「それに、騎士団の皆様、歓迎してくださるみたいで」

「結構、喜んでくださるんです」


騎士団

「……」


ノア

「練習だって、ちゃんと進んでるみたいですよ」

「この前も“やる気が出ます”って言われましたし」


騎士A(小声)

「言ったな……」


騎士B

「確かに言った」


 ノアは満足そうに頷いた。


「やっぱり、喜ばれると嬉しいですよね」

「推しがいがありますわ」


 王子は食い下がる。


「俺だって、手くらい振る!」


 ノアは即答した。


「いえ」

「元婚約者には期待しておりませんので」


王子

「元じゃない!」


 ノアは、もう騎士団のほうを見ていた。


「ルーカス様ーー!」

「こっち見てくれた!」


 ぱあっと顔が明るくなる。


「最高!」


 ルーカスは真っ赤だ。


騎士団

「また赤くなった」


 王子は必死だった。


「ノア!」

「俺の方を見てくれよ!」


 ノアは、さらっと言った。


「いえ」

「別れた相手に執着しても仕方がないでしょう?」


王子

「だから別れてない!」


 ノアは、くるっと背を向けた。


「それでは、ごきげんよう」


 ひらひらと手を振る。


「清楚系ヒロインとお幸せに」


王子

「……」


騎士団

「……」


ルーカス

「……」


 王子は呆然と立ち尽くしていた。


「清楚系ヒロインって……」

「誰だよ、それ……」


 騎士団がざわつく。


「浮気したんじゃないのか?」

「振られても仕方ないだろ」

「ルーカス、これはワンチャンあるぞ」


 ルーカスは黙っていた。


 遠くで、ノアがまた手を振る。


「ルーカス様ーー!」


 ぱっと花が咲くように笑う。


 ルーカスの耳が赤くなった。


 騎士がからかう。


「どうだ?」

「王子より先にいくか?」


 ルーカスは、少しだけノアを見た。


 そして――静かに口を開く。


「……俺」


騎士団

「?」


 ルーカスは顔を上げた。


「俺、負けませんから」


騎士団

「……!」


 真っ赤な顔。

 それでも、目だけは真剣だった。


「エレノア様のこと――」


 小さく息を吸う。


「ずっと好きだったんで」


「ルーカス」


 低い声が響いた。


騎士団

「……」


 王子が立っていた。


 真顔だった。


「それは――」

「聞き捨てならないな」


騎士団

「うわぁ……」


 遠くでノアが叫ぶ。


「ルーカス様ーー!」


騎士団

「修羅場だ」


 ルーカスが顔を上げる。


 そのとき――


 ノアがこちらを見ていた。


 柵の向こうで、にこにこと笑っている。


 そして。


 ひらひらと手を振った。


「ルーカス様ーー!」


 ぱっと明るい笑顔だった。


 ルーカスの顔が、一瞬で赤くなる。


騎士A

「うわ」


騎士B

「完全に脈あるだろ」


騎士C

「これは……」

「ワンチャンどころじゃないな」


 ルーカスは、小さくつぶやいた。


「……やっぱり」

「負けません」


王子

「絶対に渡さない」


騎士団

「早い早い」


***


 どうして殿下は、今さら追ってくるのだろう。


 私のことなんて――

 興味がないと思っていたのに。


 小さい頃の殿下は、優しかった。


 私が刺繍を失敗して泣いていたときも、殿下は笑わなかった。


「綺麗だと思う」


 そう言ってくれた。


 だから――


 私は、ずっと殿下をお慕いしていた。


 ……でも。


 未来では、私は捨てられる。


 なら。


 今のうちに終わらせたほうがいい。


 ――そう思ったはずなのに。


今回は、騎士団のみんなが完全に“観客席”になっていました。

そして、ルーカスがついに真正面から宣戦布告。


真っ赤になりながらも「負けません」と言うの、かなり強いです。


一方で殿下は、完全に出遅れ気味。

でも、ノアに対する反応を見ると、本人も気づいていなかった感情が少しずつ表に出てきているのかもしれません。


そして最後。

ノア自身も、まだ割り切れていません。


未来では捨てられる。

そう理解しているのに、昔の優しさを忘れられない。


推し活で逃げようとしているのに、心だけはまだ整理できていない感じが、少しずつ滲み始めています。


次回もよろしくお願いします!


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