第24話 推し活通信グループができました
エレノアが何か思いついたようにルーカスを見た。
「あの、ルーカス様。」
「先ほど、騎士団のお話がありましたよね?」
ルーカスは少し戸惑いながら頷く。
「え、ええ。」
エレノアは真面目に続けた。
「実は、シリウス様とも組織改善などを兼ねて時々お話をしておりますの」
「もしよろしければ、ルーカス様も騎士団代表として、魔法通信のグループ通信へ参加されませんか?」
ルーカスが瞬きをした。
「……グループ通信、ですか?」
「はい。」
エレノアは頷く。
「メンバーは、殿下とシリウス様と私です」
「他にも雑談などもしておりますし」
「色々なお話ができると思いますわ」
ルーカスは固まった。
令嬢たちは思った。
違いますわ。
それ、かなり距離が近いです。
エレノア様、自覚してくださいませ。
「殿下。」
エレノアは王子を見た。
「殿下も、もちろんよろしいですよね?」
王子は少し驚いたように瞬きをする。
「……俺もか?」
「はい。」
エレノアは頷いた。
「その方が、殿下のためにもなると思いますわ」
「色々な方とお話しする機会を増やした方が良いかもしれませんし」
それから、少しだけ笑った。
「頑張りましょうね、殿下」
王子は固まった。
令嬢たちは思った。
エレノア様。
それ、完全に励まし方が先生です。
そして殿下は、かなり嬉しそうだった。
「そうですわ。」
エレノアは思いついたように言った。
「マリアベル様も参加してくださらないかしら?」
マリアベルが目を瞬かせる。
「え? 私がですか?」
「はい。」
エレノアは頷いた。
「推し活歴も長いですし」
「今回も、この組織運営で色々動いてくださいましたし」
「やっぱり必要ですわ。」
真面目な顔で続ける。
「お願いします。」
マリアベルは少し困ったように笑った。
「ですが、魔法通信の使い方がまだ……」
すると、王子が口を開いた。
「ルーカスも、マリアベル嬢も安心してくれ。」
何故か自信満々だった。
「シリウスがいる。」
令嬢たちは少しだけ黙った。
王子は気にせず続ける。
「あいつに頼めば簡単にできるからな。」
「シリウスに頼んでおく。」
「使えるようになったら入ってくれればいい。」
シリウスには何も聞いていないのに、話はどんどん進んでいった。
「確かに、シリウス様なら大丈夫ですね」
エレノアも納得したように頷いた。
令嬢たちは思った。
……シリウス様、何も聞いていないのでは?
でも、きっと大丈夫なのだろう。
シリウス様だし。
令嬢たちは勝手に納得した。
もちろんマリアベルも、シリウスなら安心だと思っているだけだった。
その時だった。
「あの……俺、端末を持っていないんですけど」
ルーカスが少し困ったように言った。
「あ……それなら、ちょうど端末はいくつかあるから支給する」
王子が普通に答える。
「いいんですか?」
「別に、それくらい構わないぞ」
王子はあっさり言った。
「騎士団の運営の件もあるしな」
ルーカスは少しだけ黙った。
……違うんだけどな。
そんな顔をしていた。
夜になって。
シリウスは、殿下から話を聞いていた。
「シリウス、悪いがマリアベル嬢とルーカスに魔法通信の使い方を教えてやってくれ」
「あ……これは、グループ通話をすることになってな」
王子は真面目な顔で続ける。
「もちろん、シリウスも入っている」
「王国の改善をするために必要なんだ」
シリウスは少し黙った。
「……はあ」
「もちろん、通話を教える件については給料も出す」
「後でルシェルから正式な書面が行くはずだ」
「いや、別にお金はいいですけど」
「お礼だと思って受け取ってくれ」
殿下は本気だった。
シリウスは頭を押さえた。
「……というか、殿下。」
「何してるんですか。」
王子が不思議そうに見る。
「何とは?」
シリウスは静かに言った。
「敵を増やしてどうするんです。」
「せっかく俺が殿下に協力してるのに」
シリウスは深いため息をついた。
「駄目じゃないですか」
王子は少し考えた。
「……何がだ?」
本当にわかっていなかった。
シリウスは頭を抱えた。
「ルーカスですよ」
「明らかにエレノア様のことを気にしていますよね」
王子は止まった。
「……そういえば、そうだった」
シリウスは思った。
駄目だ。
この人、本当に気づいていなかった。
少しの沈黙。
そして王子が静かに言った。
「シリウス、どうしよう」
かなり困った声だった。
シリウスは思った。
今さらですか。
今回は推し活通信グループが誕生しました。
シリウス様は何も聞いていません。
ですが、きっと何とかしてくれると思います。
そして殿下は、かなり今さら気づきました。
ルーカス様は頑張っています。
読んでくださり、ありがとうございました。




