第23話 推し活面談が始まりました
推し活の最中。
何故か始まった面談では、騎士たちが次々に話し始めていた。
「すみません、休憩時間がうまく取れないです」
「訓練場の整備を、もう少ししていただければ助かります」
「食堂はあるのですが、量が足りません」
本当に相談会になっていた。
令嬢たちは困惑した。
……これは一体、何を見せられているのだろう。
その時だった。
エレノアが殿下へ声をかけた。
「殿下。」
「一人では大変そうですので、私もお手伝いしましょうか」
王子が顔を上げる。
「手伝ってくれるのか?」
「はい。」
エレノアは頷いた。
「殿下だけでは、聞き取れないこともあるかもしれませんので」
王子は少し安心したように言った。
「悪いが、そうしてくれるか」
こうして何故か、エレノアまで騎士団面談へ参加することになった。
令嬢たちはさらに困惑した。
……違いますわ。
推し活です。
これは推し活だったはずです。
すると、何故かマリアベルまで動き出した。
「でしたら、並ぶ順番などは私がお手伝いいたしましょうか」
優雅に言う。
「全員並んでおりますと混乱しそうですし、整理券をお配りするのも良いかもしれませんわ」
騎士たちはざわついた。
「整理券?」
「え、そこまでの話になってるのか?」
「本格的だな……」
令嬢たちは完全に運営側へ回り始めていた。
そして気づけば、騎士団面談は何故か慈善事業団体の相談会のようになっていた。
「では、皆様で聞き取りをするのはいかがでしょう?」
マリアベルが上品に提案した。
「人数が多いのでしたら、分担した方が早いかもしれませんわ」
令嬢たちは顔を見合わせた。
「確かに……」
「それなら、すぐに終わりますわね」
「騎士団の皆様も待たずに済みますし」
何故か令嬢たちまで動き始めた。
「こちらへどうぞ」
「次の方はこちらですわ」
「お名前をお願いいたします」
騎士たちは困惑していた。
「え?」
「何これ?」
「騎士団の訓練場だよな?」
気づけばそこは、推し活会場ではなく、慈善事業団体の相談窓口のようになっていた。
そして、面談がすっかり終わった頃。
令嬢たちは集まって話をしていた。
「今回は、とても有意義でしたわね」
マリアベルが満足そうに言った。
「これからも、このように推し活をしながら、改善活動を行うのはいかがでしょう?」
「騎士団だけではなく、研究所などでも良いかもしれませんわ」
令嬢たちは目を輝かせた。
「確かに……」
「その方がやりがいがありますわね」
「それに、一人一人とお話できますし」
「距離も近くなりますわ」
全員が頷いた。
推し活は、いつの間にか改善活動へ進化していた。
「では、次回も頑張りましょう」
「ええ。」
「終わった後は、ちゃんと推し活もいたしましょうね」
「それは大事ですわ」
令嬢たちは真剣だった。
その時だった。
エレノアがふと思いついたように言った。
「殿下。」
「では、今後の推し活面談の際には、殿下にもご出席いただけますか?」
王子は少し驚いたように瞬きをした。
「……俺もか?」
「はい。」
エレノアは真面目に頷く。
「どうせ推し活をしていると、殿下は邪魔をしに来ますし」
「最初から参加していただいた方が効率が良いかと思います」
令嬢たちは思った。
殿下を組み込む方向へ進みましたわ。
まさかの共存路線ですの?
王子は少し考えてから頷いた。
「……それなら、ノアと一緒にいられるな」
エレノアは満足そうだった。
令嬢たちはさらに思った。
……駄目ですわ。
殿下、かなり嬉しそうです。
その時だった。
ルーカスが、じっとエレノアを見ていた。
まだ話が終わっていない。
そんなふうにも見えた。
令嬢たちは思った。
ルーカス様、頑張ってくださいまし。
もう一息ですわ。
エレノア様は……本当になかなか気づきませんけれど。
令嬢たちは、静かにルーカスを応援することにした。
今回は推し活回のはずだったのですが、何故か騎士団面談と改善活動が始まりました。
令嬢たちは困惑していますが、だんだん順応してきています。
そして、ルーカス様は頑張っています。
読んでくださり、ありがとうございました。




