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婚約破棄した悪役令嬢、騎士団推し活を始めたら王子の執着が止まりません  作者: ZERO POINT


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13/27

第13話 推し活令嬢会議、新メンバーはかなり強火でした

 部屋に戻って、私はしおりを取り出した。


 青い花。


 指先でそっとなぞる。


「……」


 殿下も覚えていた。


 それだけのことなのに――少しだけ胸が痛かった。


「……だめ」


 私は小さく首を振る。


 もし私のことが好きだったとしても――殿下は幸せになれないでしょう。


 殿下は優しい。


 だから、殿下から婚約破棄しようなんて言わせたくなかった。


 逆の立場なら、きっと辛いから。


 私が先に言えばいい。


 そうすれば――殿下も、私も。


 早く幸せになれる。


 それがいい。


 ……それでいい。


 私は小さく息を吐いた。


「推し活しないと」


 考えるのをやめるように呟く。


 そして私は、推し活令嬢会議へ向かった。


「ごきげんよう、皆様」


 部屋に入ると、令嬢たちが一斉に振り向いた。


「あら? 新しい方かしら」


 一人が興味深そうに目を細める。


「お名前は?」


 クラリッサが一歩前に出た。


「私のお友達を連れてきました」


 そして、隣の令嬢を紹介する。


「ミレイユ=ベルフォード伯爵令嬢です」


「よろしくお願いします」


 ミレイユは優雅に礼をした。


「新しいお友達ね。よろしく」


 私は微笑む。


「私はエレノア=ローゼンベルクよ」


 ミレイユは、いかにも清楚な令嬢だった。


 この子が――彼の……?


 そんな考えが一瞬よぎる。


 でも――推し活?


 私は少し首を傾げた。


 すると、ミレイユがぱっと顔を輝かせる。


「私、ルーカス様推しなんです」


 場の空気が一瞬止まった。


 そして次の瞬間――令嬢たちの目が一斉に輝く。


 ミレイユはそのまま熱く語り始めた。


「まだ最近始めたばかりなんですけど、何度か騎士団には通わせていただいていて……」


 少し恥ずかしそうに笑う。


「よろしければ、これからもご一緒させてください」


 私は自然と笑っていた。


「ぜひ」


「あの……アレク様とかは?」


 誰かが遠慮がちに聞く。


 ミレイユは一瞬きょとんとして――次の瞬間、はっきりと言った。


「ありえないです」


 場が静まり返る。


「無理です」


 きっぱりと言い切った。


「私、ルーカス様推しなので」


「ルーカス様って、訓練後に髪をかき上げる瞬間が最高なんです」


「わかりますわ!」


「あと、部下に優しいところも素敵で……」


「それですわよね!」


「ちゃんと目線を合わせてくださるんです」


「きゃー!」


「それに、いつも一生懸命ですし」


「真面目ですわよね」


「顔も素敵ですし」


「完璧って感じですわ」


「殿下は……正直、面倒くさそうで」


「……」


 一瞬の沈黙。


「あ……エレノア様、婚約者でしたよね。すみません」


 ミレイユが慌てて頭を下げる。


 私はすぐに首を振った。


「元婚約者になる予定よ」


「破棄するから」


 少し考えてから続ける。


「……確かに、面倒よね」


「邪魔してくるし」


 令嬢たちが一斉に頷いた。


「わかります」


「殿下、急に現れますもの」


「推し活の導線を潰してきますわ」


「それに……殿下って時々どこを見ているかわかりません」


「惜しいって感じがしますわよね」


「それと、結構エレノア様を縛ってません?」


「自由に推し活したいの」


 ミレイユの目がきらっと輝く。


「それですわ!」


 身を乗り出す。


「自由がないってエレノア様がおっしゃったときに、まさにそれだと思って――!」


「感動したんです!」


 私は少し驚いた。


 ミレイユは嬉しそうに言う。


「エレノア様、私たち……仲良くできそうじゃありません?」


 私は思わず笑った。


「ええ、そうね」


 その通りだと思った。


 ――ミレイユは、結構はっきり言うタイプだった。


 どこが清楚系令嬢なのか。


 ……むしろ、かなり好きなタイプだった。


「ミレイユ様、かなり適性がありますわね……」


「ええ。推し活令嬢会議に必要な人材ですわ」


「採用ですわね」


「採用って何ですの?」


 ミレイユが困ったように笑う。


「でも、皆様とお話していたら安心しました」


「ルーカス様の良さを語れる方が、こんなにいらっしゃるなんて」


「当然ですわ!」


 令嬢たちが誇らしげに胸を張る。


 ……推し活令嬢会議は、今日も平和だった。


 少なくとも、ルーカス様の話をしている間は。


 読んでいただきありがとうございます。


 今回は推し活令嬢会議に新メンバー、ミレイユが加入しました。


 清楚系に見えて、かなりはっきり物を言うタイプです。

 そしてルーカス様への熱量が強い。


 気づけば、令嬢たちの推し語り大会になっていました。


 一方で、エレノアは少しずつ自分の気持ちとも向き合い始めています。

 でも、本人はまだ「推し活で誤魔化そう」としている状態。


 平和な推し活空間は、いつまで続くのでしょうか。


 次回もよろしくお願いします。

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