表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

200/242

第二十七章 マインドマッピング ~殿下。あなたの純粋な笑顔が、今のわたしには眩しいです……っ。~

 冒険者ギルド庁舎建造、着工より二週間が経過。

 盗賊騒ぎもなく資材運搬に関するトラブルもなく、順調に工事は進む。

 その間にもピエリーナは廃材建材の錬成法を学び、フォレストも開拓案を練る。空とヴィントはあくまでも『フォレストのお供』であり、会議をリードするのではなくフォレストを補佐しつつ意見を述べるにとどまっている。

 開拓会議は主にホテル・ファミーユで、入浴後に話し合われる。そしてこの夜も、旅館のロビーで五人が集まって会議していた。

 すると、その会議にピエリーナが意見した。

「今、ふっと思ったのです。できれば錬金術工房が欲しいのです。規模は、実家であるアーラ・ビアンコの工房と同じくらいでいいのです」

「えっ? でも領主邸のピエリーナのさんご自室にあるんじゃないですか?」

 ピエリーナの部屋は、半分はプライベートのオシャレスペース、もう半分が錬金術工房と化している。

「それとは別に、なのです。例えば今後やってくる村民の中に錬金術師を志す人がいるとするのです。その時に私や家族が村まで出向いて錬金術を教えつつ、錬金術を村の産業の役に立てればと思ったのです」

「なるほど、それはアリですね。ずっと新規村民の受け入れや村の開拓やエコロジーとか、そう言ったものばかりに目が行っていました。どしどしご意見を寄せていただきたいですね!」

 すると、ヴィントが言った。

「あのあたり、天然のギネー草がすげえ生えてるじゃん? だからポーションとか作れたりするんじゃないかな。村の常備薬とリゾートで出すやつも作れるし、ギネー草の無い場所では錬金術の素材を作る畑にしたらいいと思う。村の産業にポーション作りとか、アリじゃないかな?」

「アリアリのアリですね! ピエリーナさんの意見から一気に産業の話が膨らみました! でもそろそろまとまりがなくなってきましたね。少しこれまでの案をまとめる必要があるかなぁ……?」

「であれば」

 空が旅館のカウンターから大きめの紙をもらってきた。

「『マインドマッピング』で整理していきましょう」

「マインドマッピング? 聞いたことありませんが、空師匠、それは何ですか?」

「でしたら、リューンさんはご存じだったりは」

「いえ、私も知らないわね」

「分かりました。では最初から説明しましょう」

 その手法、『マインドマップ』。

 『達成すべき目標、あるいは解決すべき課題、またその大まかなイメージやイラスト』を紙の中央に描き、その枠の周辺に『その課題を解決するためには何が必要か?→こうすればいい!』というアイデアを木の枝状に伸ばして書いてゆく情報整理・課題解決方法である(似た技法に『スパイダーマップ』『コンセプトマップ』『フローチャート』などもある)。ここでやってはいけないのは、『ネガティブな意見を出す』こと。ネガティブな思考はそこから先の課題解決に向けた行動を阻害してしまうからである。

 だが、ここまでアイデアが集まっているのであればネガティブな意見は早々出ない。木の枝状に展開されたアイデアは、ひと目見ただけで理解できる、フォーマメント州の村開拓に向けたアイデアやそれに向けた細々とした目標や課題の『図』として完成された。

「おおっ! 空師匠、これももしかして?」

「はい、陸軍で」

「我が国の陸軍、優秀過ぎませんか!?」

「そうですね。手前味噌ですが優秀だと思います」

 ただ単にアルミスセントラルの同僚や上官たちがマニアックなだけですよ、コミックの趣味も併せて。そう空は言いたかったが、目を輝かせるフォレストの笑顔を終わらせたくはなかった。

「ではフォレスト殿下。この後の予定はどうしますか? ピエリーナの廃材建材錬成法の受講は終わりましたし、あと三日工事を手伝えばサンクティス工務店が受注した仕事に一区切りつきますが」

「そうですね。ではサンクティス工務店でのお仕事が終わったら、一度イハトヴに帰って予算に関する話をしたいと思います。セラヴィの人たちのことを考えると彼らを迎え入れるためにも村のベースとなる部分は必要ですし」

「そう言えば、セラヴィの人たちは今どうしているのでしょうか」

 それについてはリューンが知っている。

「ええ。現在、『トリスメギストス州が保護できた者』の半数は冒険者ギルド・エルメスカウンター現庁舎の雑魚寝宿舎に身を寄せて新人向けの仕事をこなしているようで、残る半数はレアガルド王国の陸軍庁と海軍庁、それらを取りまとめるレイン・アーチャー長官の下で働いているわ。ただヘイヤンマオの横暴に心まで蝕まれた人は、盗賊に堕ちたり酒に溺れて無気力に陥ったり、もう目も当てらないありさまよ。そう言った人たちはある種の更生施設に送っているわ」

「ある種の更生施設、ですか?」

「サンティーエ保安庁の刑務所よ。今のサンティーエ共和国政府にどれだけ民衆の面倒を見る能力があるのかは分からないけれど、少なくとも餓死者を出したり盗賊の被害者を出したりすることはないわ」

「そうですか。対処が遅れたことが悔やまれますが、心には線引きが必要です。過去を悔いるよりも未来を見なければ。それでは殿下。四日後はサンティーエを発ち故郷に戻るという方向で構いませんか?」

 フォレストはうなずき、リューンが速達便でレアガルド王府及びリゾート・イハトヴへの信書を出した。

参考資料:

マインドマップの書き方・描き方「6つの法則」(マインドマップの学校より)

https://www.mindmap-school.jp/mindmap/mindmap-law/

マインドマップとは?(Lucidchartより)

https://www.lucidchart.com/pages/ja/tutorial/mind-map

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ