エピローグ 組織改革とヤマトへの旅 ~アレット、引っ張りだこですね!~
王国議会議事堂。
議長サティルス・ラジアータが、正式に発表した。
海軍庁長官アルベール・マトロの解任に伴い、陸軍庁長官であるレイン・アーチャーを海軍庁『臨時長官』に任命。マトロの後任にふさわしい人物が見いだせない場合は、アーチャーを正式に任命して陸軍庁と海軍庁の長官を兼任してもらうことになる予定だ。
そこに、国王ライノックが意見。「であるならば、いっそ陸軍庁と海軍庁を同一の防衛力管理組織として統合してしまえばよいだろう」。様々な反対・賛成意見が飛び交う中、ライノックはアーチャーにどうしたいかを尋ねる。
「そうですね。これまではマトロ前長官の管理下にあった組織ですし、統合・統一を機に残るカリオストロ勢力や汚職議員や貴族を根絶させるとともに、国家防衛の力を持つ者の心得を陸海で統一したいと思います。まずは海軍の組織形態や戦闘配備、風習などを見て、どこから直すか直さないかを探りたいと思います。責任の重さは承知の上。しかし国家とは我らが家。国民は家族。その家と家族を守るための力は、いくらでも尽くしましょう」
「その覚悟、しかと受け止めた。国防組織改革と統一、よろしく頼んだぞ、アーチャー」
「はっ」
「ああそれと、キングスレイ及びアレット・ドイル兄妹より改革に関するアドバイスを預かっている。スパイや詐欺師は大抵、世の中の不安定さや組織改革と言いう大きな節目に付け込む心理的作戦を得意といている。助言の体でうまい話を持ち掛ける者あらば二重三重に疑ってかかるくらいがちょうどいいそうだ。見知った顔なら、なおさらな」
「はっ、ご助言感謝申し上げます。……つーかドイル兄妹、いっそのこと保安庁だけじゃなくって王国議会の諮問探偵になった方がいいわ」
「それは吾輩も思うところだ」
これには議員全員が爆笑した。
『エイゼル大陸鉄道』。
空の蒸気駆動車を貨物車に載せ、レアガルド州『王都中央駅』から出発してサンティーエ帝国とシュトラルラント王国を通り、大陸東部は大岑帝国『南京市、南京駅』に到着。
見渡す限り赤と金。華やかな街並みに見知らぬ美味と文化。初めて見るものに空とヴィントは高揚し、ひまりと忠八も「ヤマトを出てレアガルドに向かう途中に一度見ただけだったな」と懐かしがる。
「やれやれ、おのぼりさんねえ」
リィンはそう言うが、彼女もまたラーメン(在倭岑人が考案した、実はヤマトの料理)をずるずるとすすりながらでは説得力がない。彼女も大岑帝国は初めてのようだ。
ヴィントは焼餅を頬張りながらリィンに尋ねる。
「でさ、妹勇者。ここでのんびり観光ってわけでもないんだろ?」
「口の利き方……。まあいいわ、そう言う育ちなんでしょ。確かに腹ごしらえはしてから海を渡るつもりよ。急ぐ旅ではあるけれど、だからって一分一秒を争う旅でもないわ。『急いては事を仕損じる』ってことわざがあるし、のんびりはしていられないけど焦らずマイペースに、任務というものはするものよ」
「……分かるけどさあ」
あくまで南京は鉄道の終着点であり旅の通過点、そして腹ごしらえと旅の思い出に美味を堪能するのみ。それが終われば、ヤマトへの旅路を歩きださなければならない。
「保存食と燃料も買いました。さあ、あとは荷運びギルドの依頼を受注する形で食い扶持を稼ぎつつヤマトへと渡りましょう!」
その頃。
大倭皇国、『律令国・美濃国』。
同・『稲葉山城』、大広間。
その主たる『第二十七代織田家頭首・織田信音』はレアガルド王国由来のワインを浴びるように飲みながら……。
「メンドーじゃ」
引きこもっていた。
「『魔王』様! 魔王様! いい加減に起きてくだされ! このままでは『音信不通の第六天』として他国からナメられてしまいますぞ! いやもうすでにナメられておりますぞ、戦だ攻め落とせと各国が躍起になってりますぞ!」
「バカを申すでない。『巫女』とともに仕事はしておる。……まったく。争いでしか物事を考えられぬ、人はなんと愚かなことじゃろうな」
八拳演義 – A Saga of the Sky-Color Warrior Girl 開拓の物語
THE END.




