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八拳演義 – A Saga of the Sky-Color Warrior Girl ~記憶喪失の武術少女・空(クー)は、自分探しの旅を始めました。~  作者: 旅わんこ
第十八章 八極拳VS獣王拳 ~ エピローグ 組織改革とヤマトへの旅 
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第十八章 八極拳VS獣王拳 ~イハトヴに危機!? でもここは自分らに任せるッスよ!~

 リゾート・イハトヴ。

 領主邸の前に、ヴェイダー侯爵、スランド伯爵、ヘルボイス公爵が訪ねてきた。それも。

「『報復代行』ッスか!?」

 顎が外れるほどひどく驚いたアレット(食事中だったためミートソースが頬についている)に、それに関する令状を持つヴェイダーは言う。

「然様。サンティーエ共和国の『初代副大統領シャルパンティエ・ド・ガウル』氏は、実はお忍びでこの地で休養を取りつつ視察にいらっしゃったそうだ。その際の接客やサービスが最悪だったと聞き大変激怒していらっしゃるらしい。よって副大統領は我々三家に報復措置をご依頼くださったのだ。これも仕事だ、恨まんでくれ。恨むなら近頃調子に乗って粗雑なもてなししかできん自分らだな。かかれ!」

 ヴェイダー、スランド、ヘルボイスは、多くの傭兵と建設事業者を呼んでいた。しかも建設業者たちはゴーレムを持ち込んでおり、すでに宿泊客がいるコテージを踏み荒らしてまで押しかけてきている。これには誰もが怒り心頭である。

 そんなバカな話があるかとアレットもピエリーナも食って掛かるが、ヴェイダーたちに報復代行の執行すなわちリゾートの破壊を命じられた事業者たちは、領主邸やコテージの破壊にかかってゆく。だがそんな彼女たちの前に、陸軍からの大使であるアシュレイが拳銃と階級章を掲げてそれをやめさせる。

「であれば然るべき機関を通すのが筋という物! 陸軍所属フォーマメント州大使、アシュレイ大佐の権限を以って行動の停止を命じる!」

「申し訳ないが我々の依頼主の方が上の立場だ。軍人ごときが調子に乗るな」

「いや色々おかしいでしょうよ……」

 そもそもの話、隣国の副大統領が貴族に気に入らない施設の破壊を直接命じること自体があり得ない。

 リゾート利用客や従業員たちは逃げまどい、まだ利用客の少ない船上ホテル・ヒビキに避難する者もいる。その中に船舶の操縦の心得のある者がおり、イハトヴの従業員の了承を得て貴族たちの手の届かない湖なただ中へと舵を切った(ヒビキは蒸気帆船であり、風でも航行可能である)。

 陸軍の権限を以ってしても止められない。このままイハトヴは貴族が雇った傭兵たちに蹂躙されてしまうのか。

「どうするのよ、アレットちゃん、ピエリーナちゃん? もうこれあたしたちじゃ太刀打ちできないわよ!」

「……ふっふっふ。こうなることもあろうかと」

「あろうかと!?」

「ひまりさんから預かっているものがあるのです。さあ出(い)でよ。守護のゴーレム、『ソメイヨシノ』!」

「ゴーレム!?」

 すると湖の水面が大きく盛り上がり、水しぶきを上げて巨大なゴーレムが現れた。

 ベースは株式会社オオマツの警備用ゴーレム・茶坊主。無骨さを抑え、ヤマト式甲冑と右腕内蔵式杭打機と左腕外装式大盾を装備している。カラーリングはピンク色に赤と金ラインの桜柄と白い雲柄で、星や月などの光のもとでも映える特殊塗料で塗装されていた。

「……はぁ?」

 貴族たちはまさかのゴーレム登場で唖然となった。

 建設用ゴーレムを破壊に使う貴族たちと、この地を脅かす者を退けるために用意された警備用ゴーレム。機動力も攻撃力もソメイヨシノが格上であることは一目瞭然。ピエリーナは普段ならアークルバレットを撃つ二挺拳銃をコントローラーとして魔術を発動させ、ソメイヨシノで建機ゴーレムの一体から作業用アームを引きはがしてしまう。

 ソメイヨシノが驚異的な力を見せつけたところで、アレットは冒険者たちに言う。

「冒険者の皆さーん。今ここで降伏してくれるならそれもよし。それが嫌でも、そこの貴族たちが提示した額の1.5をお支払いすると約束したら、リゾートの破壊をやめてくれるッスか?」

「なっ!? 何をバカなことを! 新設リゾートを経営してゆくのが精いっぱいで、これだけの冒険者をカネで買収することなどできまい!」

「それができるんだなあ! 冒険者の皆さん、あとはあんたらの金銭欲と良心に従うのみッスよ。さもなくば」

 ピエリーナは二挺拳銃をソメイヨシノのコントローラーとして使い、自らはカポエラの技を以ってなお建物を破壊し続ける冒険者や建築業者を蹴り飛ばしてゆく。

「カポエラ、『パラフーゾ』!」

 それは、地上で一回転して遠心力をつけて飛び上がりながらのハイキック。確かな攻撃力運用と回転中に相手を見失わないことが重要となる。だが小柄なピエリーナが大柄の男を確実に仕留めるにはうってつけの技である。それを少女のしなやかな体で硬いブーツから繰り出されては、屈強な冒険者も一撃で意識を刈り取られること間違いない。

「こうなるッスよー!」

「何だあのガキ!? 強ぇぞ!」

「ひるむな、しょせんはガキだ! 顔に一発入れりゃおとなしくならあ!」

 冒険者はピエリーナの頭を狙って解体用ハンマーを叩きつけようとするのだが

「どりゃ! ……え?」

 ハンマーを振るえど、狙ったピエリーナの頭はなかった。

「カポエラ、『シャパ』!」

 回転脚が多いカポエラの技の中で、上体を後方に倒しつつ敵の真正面に横倒し蹴り技を見舞うと言うもの。それはハンマー男のみぞおちに深く突き刺さり、男はハンマーをどさりと落として悶絶して動かなくなってしまった。

 アレットもまた拳銃を以ってなお解体をやめない冒険者たちを撃ち落としてゆく。とんでもない戦闘力を持つ少女ふたりとまさかのゴーレムを相手に、貴族たちや残る冒険者たちも完全に戦意を喪失してしまった。

「だから空さん、ひまりさん、心配ご無用なのです!」

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