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「お姉様と比べなさい」と言われ続けた私、辺境の村で錬金術師になったら初めて「ありがとう」と言われました  作者: P作


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第六話 豊かになるハベルン村と、都市から届いた不穏な噂

 ラルフと契約を結んでから十日後、都市から戻った彼は、見たこともないほどの金貨の袋を差し出した。

「大騒ぎだったよ、リーナ様。貴族も大商人も『あの薬を寄こせ』と俺が提示した最高値のさらに倍の値を付けてきた。あんたの薬は、都市の経済をひっくり返すぞ」

 村には新しい家が建ち並び、豊かな食材が運び込まれ、ハベルン村は「奇跡の薬と温泉の村」として急速に賑わいを取り戻していった。


 しかし、ラルフは声を潜めて続けた。

「ただ、噂を聞きつけたのは善良な商人だけじゃない。王都の『ヴァーレン侯爵家』が、この薬の出所に執着し始めているらしい」

「実家が……」

「ああ。なんでも、あんたが家を出てから屋敷がひどい有様になっているらしい。台所の油汚れは誰も落とせず、庭の魔導植物は全部枯れて、使用人たちが次々と辞めているそうだ」

 私は少し黙った。

 私が陰でやっていた「地味な作業」が、あの屋敷の日常を支えていたことを、誰も気づいていなかったのだ。気づいていたのは、マルタさんだけだっただろう。

「もう一つ」ラルフは眉をひそめた。「うちの薬が都市で評判になったことで、薬師ギルドの一部が面白くない顔をしている。正規の資格を持たない錬金術師が市場を荒らしている、という理屈でね。ギルドが動き出す前に、何か手を打っておいたほうがいいかもしれない」

「……資格、ですか」

「王都の錬金術師協会の正式認定を取れば、ギルドも手出しできなくなる。ただ、試験を受けるには都市に出向く必要がある。今はまだ早いかもしれないが、頭に入れておいてくれ」

 その夜、私は工房のランプの前で考えた。

 実家の影が、じわじわとこちらに近づいてきている。

 でも、怖くはなかった。

 一か月前と今では、私の足の下の地面が違う。

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