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「お姉様と比べなさい」と言われ続けた私、辺境の村で錬金術師になったら初めて「ありがとう」と言われました  作者: P作


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第五話 行商人が目を剥いた。村価格の薬が、都市の最高値で売れました

 村に来て三週間が経ったころ、幌馬車が広場に入ってきた。

 行商人のラルフだ。四十がらみの、狐のような目をした抜け目のない男。村人たちとの挨拶もそこそこに、私の物置を見つけてまっすぐ歩いてきた。

「新顔だね。こんな辺境に若い女性が一人とは珍しい」

「錬金術師です」

「へえ。腕は?」

「ガルドさんに聞いてみてください」


 夕方、ガルド爺さんに話を聞いたらしいラルフが、目の色を変えて戻ってきた。

 棚に並んだ瓶を一本ずつ手に取り、蓋を開けて匂いを嗅いだ瞬間、明確に息を呑んだ。

「……この薬、誰が作った?」

「私ですが」

「村人にいくらで売っている?」

「銅貨五枚です。無理なく払える値段にしたかったので」

 ラルフは頭を抱えた。

「正気か!? 不純物が一切なくて薬効成分が都市の最高級品の三倍は濃縮されているぞ! 都市のオークションに出せば、一瓶で銀貨三枚——いや、競り合えば金貨一枚でも奪い合いになるレベルだ!」

 私は少し驚いた。実家では「濁った泥水」と捨てられていた調合物が、市場ではそこまでの価値を持つのか。

「嬢ちゃん、俺と組め。都市への販路は俺が保証する。利益は折半だ」


 実家にいたころの私なら、怖気づいて誰かの指示を仰いでいただろう。でも今の私には、この手で積み上げてきた実績がある。

「条件があります」

「ほう、言ってみな」

「村人への販売価格は今まで通り私が決めます。都市への卸値の決定権も私が握ります。あなたは配送と販売だけを担当してください。飲めないなら他の行商人を探します」

 ラルフは一瞬呆然とし、それから「くははは!」と大笑いした。

「お見それした。とんでもない交渉上手だ。その条件で契約しましょう、高名なる錬金術師様」

 握手した手は硬かった。私の右手も、錬金鍋を握り続けて硬くなっていた。実家では「お嬢様の手じゃない」と蔑まれたこの手が、今は誇らしかった。

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