第69話 観光と打開策
「駄目元だが、やってみるだけの価値はあるだろう。。。」
私はある1つの策を考え出した。だが、世の中の摂理的には少々無謀極まりない考えである。できない可能性の方が恐らく高い。駄目元ではあるがやってみるだけのことはしてみようと思った。
その後、約束通りメイシェルト国で1泊し、マナと共にメイシェルト国を一通り回った。布製品を主産業としているだけあって、衣服や織物の品数が豊富であった。街ゆく人々も何かとお洒落に着飾っており、マナも気に入った服を買い漁っていた。
「綺麗な街並みと思いましたが、街並みだけでなくその中までも綺麗ですね。」
「私!この街好きです!」
マナはとてもはしゃいでいる。私は昔からお洒落には疎く、母が買ってきたセールだった服や、フリーマーケットアプリで買った服を気回していた。今思えば、もっとお洒落に自分を磨いて着飾っていたら、彼女も作れたのかもしれない。私はふと日本時代を思い浮かべた。
「ソータ様!ソータ様!!見て下さい!どうですか??似合ってますか???」
「マナさんとても綺麗です。似合ってますよ。」
マナは私が日本時代の自分のことを思い返しているうちに、お店の服を試着して私に見せてくれた。マナは偶にいるような、何を着ても基本的に似合うという奇跡の存在である。私にもそのようなセンスが欲しいものである。
「ふふ、じゃあこれ買いますね!何かと服は重宝しますので!」
「マナさん。私にプレゼントさせて下さい。」
私自身、人生で初めて言ったセリフである。人生と言っても二度目の人生ではあるが、それでも統計しても初めてのセリフだ。小っ恥ずかしいが、ここで恥じていたら男ではない。私はマナの欲しそうなものを今日は買ってあげようと懐を緩くしていた。
「そんな、悪いですよ。これからお金は沢山使うことになると言うのに。」
遠慮しているが、そんなに遠慮するものでもないだろうと思えた。マナには日頃から世話になっているのも事実であり、それに比べてしまえばどうって事ないのだ。
「いらっしゃい。あら、綺麗なお嬢さんね。大事にするんだよー?彼氏さん。」
「なっ!?そ、そんな!私はまだ彼氏ではないぞ!」
「"まだ"ねぇ。いいねぇ私にもそんなに時があったさ。」
会計をしようと、カウンターに向かう。そのカウンターの奥にたっている店の者と思わしきおばちゃんに、私は大いにからかわれてしまった。
「ありがとさん!また来るんだよー。」
会計を済ませ、恥ずかしさを抑えきれない私はそそくさと店を後にする。何故かマナは無言である。少しの間、私とマナは2人で並んで歩いているが、会話はなく舗装されていない砂混じりの土をふむような、ただの足音だけが聞こえていた。
「なんか。。。デートみたいですね。。。」
マナがボソッとそう言う。私もその言葉に反応し、照れ隠しの如く焦ってしまった。マナは私に顔を向けようとしないが、耳と頬はどこか赤みがかっていたように感じる。
時間はすぎ、マナとイズラート国の技術者が作った時計を見てみると、時間は午後3時手前を示していた。時間も時間である為、帰国するべく自動車に荷物を入れていた。
「買いすぎましたね。でもそんな頻繁に行く事もないと思うので、これはこれでいい観光になりましたね。」
あの後もそれなりに色々な買い物をした。私の懐は当初は膨らんでいたものの、今ではやや凹み気味である。荷物もそれ相応に多くなってしまった。収納魔法にしまうものは閉まって、車に乗せるものは全て乗せきった。
「では帰りましょうか。忘れ物はないですか?」
「大丈夫です!帰りましょう!」
スキルがなければ私はおそらく、疲れに疲れきって現時点ではもう動けないほどであっただろう。だが、疲労感はなくまだまだ働けるというものである。そして、ほぼ1日を使ったメイシェルト国の観光を終え、私とマナはイズラート国に帰国するべく車を走らせた。
「マナさん。起きて下さい。到着しましたよ。帰ってきましたよ。」
マナはそれなりに疲れていたのだろうか。イズラート国に帰ってくる道中の車内で、ぐっすりと眠りについていた。それだけ乗り心地の良いものだということだ。少しは私は嬉しく思えた。
「んん??はっ!ご、ごめんなさい!!私ったら!!」
揺さぶっても起きなかったマナに、とうとう諦めた私は、とりあえず車に乗っている荷物を全て下ろし、そして仕分けした所であった。マナは飛び起きて、理解の速いことで、咄嗟に謝ってきた。
「疲れましたよね。車だと風邪引きますよ。部屋でしっかりとした休息を取ってください。」
マナにそう言うと、マナらしく手伝うと言ってきてくれたが、何せ仕事のほとんどは終わっている。今からやることは自動車を量産するための技を試してみるところであるのだ。そのことを説明するとマナは"分かりました"とメイシェルト国で買った物の仕分けをしに行った。
「さてと。駄目だったら仕方がないが、やってみるとするか。」
私は、自動車を量産するにあたっての打開策を試してみることにした。その打開策というのが、『自分のスキルを他人に付与できないか』ということである。作ったスキルを付与できればその人物が私と同等の技を得ることになる。それを増やせばその分人手になり、量産も可能という考えだ。
「物は試しだ。深く思い浮かべて。。。スキル。。。。スキル。。。」
私は、スキル付与だけでなく、あらゆる可能性を視野にいれながら、私に変わって同じことが出来るようなスキルを生み出そうと試みた。以外に難しいもので。中々誕生しない。私はさらに集中力をあげる。
「スキル。。。スキル付与。。。深く・・・深く・・・。」
━━━━━━━━━テレッテレー!!━━━━━━━━━




