棘の正体
※苦手な方はご注意を。
今回は、前話で感じた主人公エルリアの黒いやっとしたものを吐露している内容の短めなお話です。もしそういう内面はない方がいいかも、という方がいましたら退避願います。読まなくても物語に支障はございません。
すっと廊下の角を曲がり、彼女が見えなくなる。
姿を消えたのを見て、小さく息を吐く。
ちくりと胸を刺した棘。
その正体。
心がひんやりと冷えた。
手を持ち上げて眺める。血が引き冷えて、微かに震えていた。力の入らない掌を何度か握ったり開いたりを繰り返す。
ローゼ。
貴方はゲームのヒロインなのに、なんでそんなに自由なの?
私がずっと悪役令嬢に縛られていたのって、なんだったのかな。
ずっとヒロインが怖かったのに。
貴方は、ずっと自由に人生を歩んでいたの?
私は、悪役令嬢だからってすべてから目をつぶってきた。
だから今の私の手には、友達も、好きな人も、未来もないの。
なのに。
ゲームの中じゃない好きな人を見つけて。
ゲームの中じゃない未来を掴もうとする彼女。
羨望のさざなみが立ち、暗い嫉妬の炎が湧き上がった。
なにそれ。
貴方ばかり、ずるい。
……そう思った。けど。
貴方の心はヒロインなんてものに、縛られていなかったのね。
ずっと、ヒロインなんてものじゃないただのローゼとしてこの世界を生き、自らで道を選択し、人生を歩んできたのね。
頭を打って自分が悪役令嬢だって気がついて。
高笑いだよねって思った。
やりたいことよりバッドエンドをどうにかしようとした。
恋とか好きとか考えないようにしていた。
未来なんて考えずに今まで来た。
悪役令嬢のことばかり考えてきたくせに、結局エルリアのことは考えてこなかった。
……でも。
悪役令嬢に、縛られなくても良かったんだね。
貴方のように、ただのエルリアとして、この世界と向き合ってきたらよかったのね?
わたしの心を縛りつけて、不自由にしていたのは、自分自身だった。
自分の責任だって、そう分かっていても、やっぱり私は貴方が羨ましいな。
10歳で頭を打ち悪役令嬢として目覚め、それに囚われ、ある意味ではそれを心の拠り所として頑張ってきたエルリア。
でも、ローゼにとってはヒロインは別に意味があることではなく、心は自由で「今」「自分」ができることをただがむしゃらにやってきました。
エルリアは、ちょっとだけ悪役令嬢の肩書で自分の視野を狭めていたところがあるのかなぁと思います。
人と出会うことで少しずつ成長していくエルリア。そんなものが書きたいなぁと思ったのですが、作者の力量不足です。うまく書けません。すみません!




