職業Ⅱ・⑫ 援護
白と青の棒を握って振る。
これで、氷属性攻撃が可能だ。
雷は準備が必要だし、氷のほうが効いているように見える。
「セア、剣を上に!」
セアの剣は無属性だ。
セアは一瞬戸惑ったが、モンスターの前で迷う時間はない。
俺の言うとおりに双剣を上に掲げた。
俺はセアの剣に向かって棒を振る。
氷が剣の刀身にぶつかり、凍る。
氷属性が付加されたようなものだ。
「ありがと、いくわよっっっ」
俺によって凍った双剣は、すぐに溶けるわけではないようだ。
この援護を想定してつくられたのだろう。
セアが剣を振るい、氷が飛び散る。
斬り、斬り上げ、斬りおろす。
氷によって強化された双剣の攻撃を受け、リタントが怯む。
俺も!
棒を振りぬき、氷を出してリタントに直接攻撃する。
リタントにはもう麻痺攻撃を出す余裕もないようだ。
「決めるぞっ!」
「はい!」
終われぇぇぇぇっ!
リタントにはもう反撃の余地はない。
あと少し。
その時、俺の背後から音がしていた。
夢中だった俺は気付かなかった。
「キシャァァァッ」
リタントが最後の粘りを見せる。
蟻の生態――。
これこそが、俺たち人間にとって最大の脅威だったようだ。
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