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ぎゃるめがっ!!!〜ときめきが魔力になる学園で、魔力ゼロなチョロかわギャルとバディになった話〜  作者: 河津田 眞紀@5/2ゼロラブ第1巻発売!
14.ギャルとメガミ

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ギャルと幻影




「――ツバメが現れた。理事長室へ急ごう」


 ヘッドギアを外し、リィトが言う。

 つられてヒメカもギアを外すと、今しがたまでエノシマの海岸だった景色が、現実の視界――ライゼント学院内の視聴覚ルームへと戻った。


 ヒメカたちも遠足に参加していると邪神徒(フェイスフル)に思わせるため、リィトが生み出した蜃気楼に意識を繋げ、遠隔で遠足気分を味わっていたわけだ。


 ちなみに、おやつ交換は本当にした。

 その証拠に、激辛せんべいの袋や生クリームのスプレー缶がパイプ椅子の上に残っている。


「あらためて見ると、変なカンジ……ホントにバスに乗ってる気分だったのに、身体はここにあったなんて」


 と、おやつの残骸を眺めている間に、リィトが視聴覚ルームを出ようとしていた。

 ヒメカは慌てて後を追い、声をかける。


「待ってよ! リィト、大丈夫?」

「大丈夫って何が?」

「今から元カノに会うんでしょ? その……ドキドキしてない?」


 今のリィトが、元恋人・ツバメのことをどう思っているのかはわからない。

 しかし、裏切られ、絶望し、深く傷付いたことだけはヒメカも理解していた。


(もし、元カノのことを恨んでるのなら……その気持ちって、アメノの餌になり得るよね? 元カノに会うことで、憎しみが暴走しちゃったりしないかな?)


 リィトは一瞬足を止め、ヒメカを見る。

 そして……妖しく目を細め、笑う。


「そりゃあドキドキしてるよ。だって――ようやく復讐できるかもしれないんだから」


 ……あ、これヤバい。

 絶対アメノに喰われるわ。


 そう思い、ヒメカはリィトの腕をガシッと掴む。


「だ、ダメだよリィト! 強すぎる憎しみはでっかくなって自分に返ってくるって、さっきニセお嬢様に説教垂れてたじゃん!!」

「僕、そんなこと言ったっけ?」

「言ってたし!!」

「とにかく行こう。こうしている間にも、邪神徒(フェイスフル)たちが攻めて来ているはずだ」


 そう言って、リィトはヒメカを振り払うように走り出す。


(もー……こうなったらあたしが護るっきゃない!)


 ヒメカは決意を新たにし、リィトの後を駆け出した。




 ――今いた視聴覚ルームは、学院本館の二階。

 エレベーターで最上階の理事長室まで行き、ツバキと合流する必要がある。


 廊下を駆け、エレベーターホールに辿り着くと――そこに、誰か立ってた。

 長い銀髪の、美しい女性。

 その姿に、ヒメカは「あっ」と声を上げた。

 何故なら、知っている顔だったから。


「あの不思議なお店のおねーさん?! なんでこんなトコに?!」


 そう。ヒメカに香水の試供品を渡したり、ホトギへのプレゼントを見繕ってくれた、あの店の店主だった。


「この非常時に現れたってことは……おねーさん、やっぱり女神様かナニか?!」


 と、ヒメカは興奮気味に言うが……



「…………ツバメ」



 ……という、リィトの呟きに、カチンと固まる。


「……へっ?? 待って。リィト、今なんて……?」


 そんなヒメカの困惑を遮るように、店主の女性がくすりと笑う。


「久しぶりね、リィト。それに、いつも来てくれるギャルちゃん。おかしいわね、二人とも遠足に行っていたんじゃなかったの?」


 ヒメカは呆然とする。

 リィトのことを知り、名前が『ツバメ』ということは…………


(…………マ?! このおねーさんが、リィトの元カノ?!)


「やっぱりヒメカちゃんに接触していたんだね……僕のバディだっていう情報をナキリから得ていたから」

「そうよ。リリームスクの香水に、桜の形のクッキー……リィトなら気付いてくれると思っていた」

「……どういうつもり?」


 低い声で、リィトが問う。

 ツバメは妖しく微笑み、こう答えた。


「決まっているじゃない。そのコを通して、私を思い出させて……リィトの心をぐちゃぐちゃにしたかったからよ」


 ……直後。

 リィトは無言で手のひらを掲げ――氷の槍を顕現し、ツバメの身体を即座に貫いた。


「えぇーーっ?!」


 あまりに容赦のない攻撃に、ヒメカは真っ青になりながら叫ぶ。


(ぎゃーっ、やっちゃった! どーしよ! このままじゃツバメさん死んじゃうし、リィトは憎しみに飲まれてアメノの餌になっちゃうカモ……!!)


 などと、頭抱えるが……

 槍に貫かれたツバメは、おかしな角度に身体を曲げたかと思うと、黒い気体に変わり……そのまま霧散してしまった。


「は……消えた……?!」

「今のは賜魔術(アコード)で作られた幻影。邪神徒(フェイスフル)たちの常套手段だよ」


 どうやら、遊園地の時にヒゲ面の男が用いたのと同じ術だったらしい。


(いやいや……それにしたって躊躇なさすぎるでしょ!)


 リィトの殺意の高さに、ヒメカはあらためて戦慄した。


「ツバメの本体は理事長室か、あるいは別の場所か……とにかく、ツバキさんの元へ急ごう」


 リィトはボタンを押し、エレベーターを待つ。

 いよいよ、邪神徒(フェイスフル)との全面戦争だ。


(あのおねーさんがリィトの元カノかつ敵の幹部だとは思わなかったケド……こうして攻めて来てる以上、戦いは(まぬか)れないよね?)


 ヒメカは、リィトの横顔を見る。

 そして、一度目を伏せ、


(どうか……どうかリィトが、憎しみに飲まれませんようにっ)


 そう祈った直後、最上階行きのエレベーターが到着した。



 

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