発売日の物語
1時間遅れましたが何とか書き上げました。
7月5日(日)
俺は朝起きてすぐにパソコンを起動させアニメを見ていた。一昨日捕まえた下着泥のせいでここ数日、アニメが溜まっていってたからな。
とまあそんな感じなので昨日からもうずっとアニメを見続けている。基本、毎日好きなアニメの最新話が更新されるため数日アニメを見れないでいるととんでもないことになる。
「くっそ~今日中に見終わるだろうがもっとだらだらしたかったな」
俺の習慣としては日曜は完全な休みだ。アニメの最新話が更新されるといっても自由時間の方がずっと多い。なのでその自由時間にだらだらしてるのだが今週は無理そうだ。
「うん?」
俺は次のアニメを見ようとしたところで手を止めた。そう言えば今日って何月何日だ?俺は慌てて画面の右下に表示されている日時を確認する。
「7月5日だと……!?」
そんなバカな!?この俺が漫画の発売日を忘れていただと!?完全に忘れてた。昨日は俺が欲しかった漫画の新刊発売日だったのだ。
くそ!アニメを見るか漫画を買いに行くかどっちにしようか。正直、漫画を買いに行くならば別に明日でも構わない。発売されて2日や3日で売り切れるわけはないのだし学校帰りの方がむしろ買いに行きやすい。
だが新刊発売日に速攻で買って読破するのが俺の楽しみだ。その発売がすでに昨日なんだぞ。これは俺にとって我慢のならないことだ。
良し決めた。アニメを見てから買いに行く。残りのアニメの数からいってもぎりぎり間に合うはずだ。確か本屋の閉店時間が22時で計算によれば昼食や夕食時間に休憩する時間を考慮すれば見終わるのは19頃だ。
「やるしかないか……」
俺はパソコンを操作すると次に見る予定だったアニメを開く。俺は普段はちゃんと聞くオープニング、エンディング、次回予告をすべて飛ばしながらアニメを見る。さらにパソコンをもう1台出してきて2台同時で見る。
この調子なら17時ごろには見終わりそうだ。実際アニメというのはコマーシャルを抜いて25分。そこからオープニングとエンディングを合わせて3分くらいで次回予告が30秒くらいだ。それも抜くと22分だ。
それでなら2時間ぐらい早めることが出来るだろう。かなり邪道な方法だがすべての予定を消化するためならしょうがない。
ピーンポーン。
インターホンが鳴った。いったい誰だよ。俺は今、忙しいんだ。絶対に居留守で乗り切ってやるぜ。
ピーンポーン。
しつこいな。俺は今、いないんだよ。さっさと帰れバカ!そして2度と来るな。
ピンポピンポーンピンピンポーンピンポピンポーピンピンポピピーンポーン。
今、何回押された!?押し過ぎだろう。しかもインターホンが鳴りやむそぶりを見せない。仕方がないから出てやるか。
俺は焦りを感じつつもしつこい来客を招きいれるため玄関へ向かった。
「はーい」
「零君。おはよう」
扉の前に立っていたのは美咲だった。美咲は手に紙袋を持って立っていた。
「まさかさっきのインターホン連打、美咲か?」
「うん。そうだよ」
なんとも笑顔で答える美咲。正直、あの美咲がこんなことするとは予想外だぞ。
「それで今日はどうしたんだ?」
「零君に借りた漫画を返しに来たんだよ」
そう言って紙袋を差し出してくる。俺は紙袋を受け取ってお礼を言った。美咲は面白かったよと感想を言い残し帰っていった。
「時間のロスにはならなかったな」
実際、美咲が話していたのはほんの数分だ。予想外のインターホン連打には驚いたりしたが特にマズいことは起こらなかった。
「さて、続き続き」
俺は再びアニメを見始める。やっぱり2画面同時だと疲れるのも早いな。俺はそんなことを考えながらアニメをひたすら見続ける。
ピーンポーン。
そして昼前になりそろそろ休憩を入れようかと思った時またもや来客を知らせる悪魔の音が鳴り響いた。全く今度はいったい誰なんだ?
ここで居留守を使ってまた美咲みたいにインターホン連打されてもたまらないので今度はあっさり出ることにする。
扉を開けるとそこにいたのは奏ちゃんだった。さっきの美咲同様、紙袋を手に持っている。
「零さん。今大丈夫でしたか?」
「あ、ああ」
こんなことなら居留守を使えば良かったぜ。奏ちゃんは美咲みたいな乱暴は真似をしなかっただろうし。けどせっかく荷物を届けてくれたのだからこれで良かったのかもな。
「それじゃあこの漫画、返しますね」
俺は紙袋を受け取る。しかし忙しい今日に限ってなんでこんなにも来客が被るんだろうな。もしかして何かにとりつかれてるとか?なんかありそうで怖いな。
「零さんこの漫画すっごいおもしろかったです」
「ほう?」
「特に私が好きなのは三巻で出てきた新キャラなんですけどカッコいいですよね」
「当麻か……確かにカッコいいな。だが俺の一押しキャラは第一話からずっと出続けているヒロインの奏歌だな」
「ああ~確かに奏歌さん可愛かったですね。ですけど私から見ればありきたりすぎますよ。私の一押しのヒロインは七香さんですよ」
奏ちゃん、かなり読み込んでいるな。一押しヒロインに七香を選んでくるとはかなりレベルが高いぞ。
「まあ、そこは人それぞれ好みという物があるからな。なら次はエピソードで勝負するか?」
「いいですね。先攻はお譲りしますよ」
「それが命取りだぜ。俺の一押しエピソードは九巻から始まった人造人間編だな。敵はありきたりだがストーリーのもっていきかたが上手いんだよ」
「それは分かります。しかし私が選ぶエピソードはそれではありません」
「なんだと!?」
「私の選ぶ一押しエピソードは四巻からのタバサの里編ですね。あのエピソードは一輝と当麻が友情を築いた伝説的なエピソードですからね」
確かにあのエピソードは最高だ。俺も最後のシーンは震えた物だ。
「今回は俺の負けのようだな。だが今回勝ったからと言ってこの作品に対する気持ちは俺の方が上だからな」
「分かってますよ。零さんはこんなところで終わるはずありませんもんね」
奏ちゃんも大分俺について分かってきたんじゃないか?対応がだんだんと俺好みになってる気がする。気のせいかもしれないが……。
「それでは私は帰ります。漫画、ありがとうございました」
そういって奏ちゃんは寮へ帰っていった。もしかしたらどっかに遊びに行ったのかもしれないけど。
というかどんだけ時間たってんだよ!?慌ててパソコンの画面を覗き込む。すると30分ほど時間が立っていた。
これは予想外の時間ロスだ。昼食を抜けば何とか間に合うが昼食なしというのは意外にダメージになるんだよな。とりあえず今日の昼飯は簡単に食べられるスティックパンにしておくか。
正直なところスティックパンでは物足りないんだけど背に腹は代えられない。何も食べないよりかはマシだと割り切るしかない。
スティックパンを手に取り再びパソコンの前に戻ってくる。そして早速続きの部分を見始める。昨日から合わせて既に半分は超えてるがそれでも相当数残ってるからな。
それにさすがにこれ以上、人が訪ねてくるなんてありえないだろう。というかたとえ来たとしても居留守を使うので今日はもう誰とも会わない。さすがにここまでやれば間に合うだろう。
ピーンポーン。
またもや人が訪ねてきた。まあこれは予想していた。運が悪い時はつくづく運が悪いからな。こうなるところは簡単に予想できることだ。
いつもなら出て損をするのだろうが今日ばかりはこちらを優先させてもらう。もう今日はなりふり構ってられない状況まで追い込まれてるのだ。
「そこにいるのはわかってるよ」
インターホンがやんだと思ったら窓の方から声がする。しかもこの声は異世界旅人のものだ。異世界君は他校の生徒だし無下には出来ないか。
「どうしたんだ?」
俺は窓を開けて対応する。というか普通、回り込んでくるか?あーでも異世界君に常識を解いてもな。なんだかものすごい無駄になりそうな気がする。
「いや、この前の授業で面白いのが撮れたんで持ってきたんだよ」
「授業って写真のやつか?」
「いや、今日は動画だよ」
これはまた時間がかかりそうな案件を持ってきたな。動画ってことは最低でも10秒以上は時間を取られるってことじゃないか。今の俺は1秒単位で無駄にしたくないんだけどな。
「ちなみに今日持ってきた動画は読み聞かせシリーズの完コピの映像なんだけど」
「何!?それを早く言えよ!」
読み聞かせシリーズとはすでに20巻目が発売決定された超人気シリーズだ。しかもアニメでは制作会社の独特な表現でさらに人気が増加している作品だ。
「それじゃあこのパソコンに読み込むよ」
「ああ」
アニメを見ていたうちの片方のパソコンに動画を読み取っていく。しばらく待つと読み込みが完了し再生される。
『吸血鬼となった荒木美代子』
『そんな彼女が挑む最後の読み聞かせ』
『ついに読み聞かせシリーズ完結』
『最後の読み聞かせ。12月4日放送開始』
動画が終わり画面が暗くなる。いや、完成度高いなおい。BGMとか映像のシーンとか説明するのを端折った為、分かりにくいかもしれないが本物の映像と見間違うくらい完成度が高かった。
しかしながら1つ文句を言いたいことがあるとすればなんで2次元じゃないんだよ!?確かに撮影の授業なんだから3次元を取らなければいけないのはわかるんだけどアニメの完コピCMは二次元じゃなきゃ。
「どうだった?」
「映像の完成度としては最高のクオリティーだと思う。だけど……」
「分かっている。3次元で撮影したことに不満を持っているんだろう?」
「ああ」
「そこは俺も同感でな。なので二次元バージョンも持ってきた」
マジか!?どんだけ用周到なんだよ。この読みには恐ろしさすら感じるぞ。
そして異世界君が持ってきた読み聞かせシリーズの完コピCM(二次元バージョン)を見る。その完成度はすさまじいものだった。文句の付けどころがない。まるでプロが作ったCMのようだった。
「それでどうだった?」
「完璧だ。パーフェクトだ。文句の付けどころがない」
「だろう。その動画には自信があるんだ」
その後、少し話をした後異世界君は帰っていった。いや~ものすごく有意義な時間だった。あんな動画は動画投稿サイトでも見たことがない。
さて、それじゃあ残りのアニメを見るか。
◇
数時間後。午後5時30分。ついに見終わった。すべてのアニメを見終わったぞ。なんだかものすごい達成感がある。さて見終わったことだしそろそろ出かけるか。
目指すは天王寺のアニメ専門店だ。あそこならポイントカードが使えるし新刊の他にも様々な本が売ってるからな。
誰かに見つからないように慎重に行かなければ……。
「逢坂か」
「三上か……」
「何だその嫌そうな顔は」
だってこれから漫画買いに行こうと思ってたのに何でこんな時に限って。マジで空気読めよ。だから友達とかいなくなるんだよ。
「ちょうどいい。逢坂、今暇か?」
「いや、全然暇じゃな――」
「よし。暇だな。なら俺に付き合え」
「え、ちょ!?暇じゃないって言ってんじゃん」
そして強引に連れていかれた先は大行列を作っている超有名レストランだった。あ、もうこれ絶対に買いに行けないパターンじゃん。
そして案の定、店を出たらすでに21時。ここからダッシュすれば間に合わないこともないけど多分閉店のほうが早い。電車を使えば余裕だったのだがさっきの店で割り勘させられたためお金がほとんど残ってない。
つまりは歩きで行かなければならないということだ。しかも最悪なことに近くの本屋さんは休みだったので本気でアニメ専門店しか買えるとこがない。
「今日は助かったぞ。じゃあな」
そう言って三上は帰っていってしまった。なんて強引な奴だ。俺は途方に暮れて寮へと帰ってきた。あ~何の成果もあげずにただただ無駄に散在して帰ってくるとは何たる厄日。
仕方がないので明日買いに行くか。ああ~今日手に入れたかったな。
部屋に入り今日返してもらった漫画を片付けるために紙袋から貸してた漫画を取り出す。すると両方とも漫画が1冊多かった。
何か別の漫画が紛れていたわけではない。昨日発売日だった新刊が紛れ込んでたのだ。もしかして美咲と奏ちゃんが間違って入れたのかと思いメールしようとスマホを取り出す。
すると2件のメールが届いていた。内容には新刊はプレゼントだと書いていた。
ありがとう。美咲に奏ちゃん。君たちは最高だぜ。
俺は心の中でそう呟き早速、新刊を読み始める。今日の運勢は最高だった。
お金が1000円が減りました。




