表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/48

プール掃除の物語 前篇

 6月20日(土)


 今日は休みだ。今日は学校に行かなくても良いし予定は特に入れてない。今日は1日だらだら過ごす予定である。


 話は変わるが土曜日というのは俺が1番好きな曜日だ。なぜだかわかるか?それはな今日も休みなのに明日も休みだという事実があるからだ。


 人というのは月曜日はものすごく憂鬱になるものである。これは俺の個人見解ではあるのだが月曜日というのは週の始まりであり、仕事ないし学校の残り日数が1週間のうち最も多いからなのではないかと思われる。


 後は休んだ後というのはどうにも体が重いものである。夏休みや冬休みなどの長期休暇を終えた後が最も実感できるであろう。


 この2つの理由が俺が月曜日が最も憂鬱になる理由だと思う。その反面、土曜日というのは翌日も休みであるし充実感があるからである。


 こう、1週間頑張ったぞみたいな高揚感に包まれるのである。なので土曜日は偉大であり最強である。故に土曜日は自由に好きなことを目一杯やって日曜日に休むべし。俺はそう考える。


 3連休の時はまた別のやり方というものがあるとは思うが3連休が一度もない6月ではこの考え方は非常に有効である。


 俺は自分の理論にしたがい楽しくラノベを買いに出かけたりゲームをしたり漫画を読んだりいろいろ趣味に1日を費やそうと思っていたのである。


 ピロリ~ン。


 しかし非常というべきかまたもや俺の楽園である土曜日を邪魔するものが現れた。メールである。6月の休日を邪魔するというのは万死に値するのだが仕方がない。差出人が女子である以上、休日返上で助けるのが俺の役割だ。


 メールには今日プール掃除をするので13時に学校集合と書かれていた。最悪だ。休日の学校ほどめんどくさいものはない。しかもプール掃除ってのがまた嫌だ。


 そんなの1年生か生徒会役員委でも任せておけばいいのに……。そう言えばどちらも俺に当てはまるじゃん。というかプール掃除ってことは水着が必要ってことだよな。あとはバスタオルと着替えも必要か。


「タンスから出さなきゃな……」


 軽くため息をついてタンスの引き出しを開ける。そこには長年使われてなさそうな水着、バスタオル、ゴーグル等の水泳道具が入っていた。


 これを防水加工のバッグに入れておく。後準備するものはお菓子だな。13時からとはいえ簡単に掃除が終わるとも思えないし、休憩もあるだろう。その時用のお菓子を買っておこう。


 ということで近くのコンビニにやってきた。ここのコンビニは品ぞろえ豊富で多くの客が利用する。しかし客の大半が学生のため平日の朝、昼食の時間帯、放課後の大体5時くらいまでが学生でいっぱいである。


 しかし今日は休日なので客は少ない。俺はいつも弁当でほとんど寄ったことがなかったのだが品ぞろえが豊富すぎる。


「プールで食べるものだし、スナック系はなしかな」


 そんなことを呟きながらいろいろなものを見て回る。やっぱりパン類が一番いいかな。後はチョコとか、いやチョコは溶けるな。前途の理由でアイスもダメ。


 ならグミ、食べられるガム、飴あたりかな。たくさん持っていきすぎても食べきれないし。あくまでプール掃除に行くわけであって遊びに行くわけではないからな。


一度、寮の自分の部屋へ戻ってお昼ごはんを食べた後に学校へ向かう。もちろん制服姿だ。一応体操服も持って来てある。やっぱプール掃除っていつ濡れるかわかんねえし派手に転ぶかもしれないしな。


 校門には呼びだした張本人の生徒会長と同じく生徒会の恵の2人が待っていた。これは生徒会が呼ばれたパターンの奴なのか?だとしたら生徒会長補佐の俺は別に来なくてもよかったんじゃね?あれって何かの景品で入れられたハズだし。


「人数はこれだけですか?」


「いいえ。まだもう少し来るはずなので少しだけ待っていてください」


 こうなると予想できるのは副会長ともう1人の生徒会だな。けど副会長って嫌いだわ。いかにもリア充ですって雰囲気出してるもの。それなら翔も何ら変わらないんだろうけど副会長はこの学校である程度、権力を持ってるからな。


待つこと3分。時刻としては12時53分。約束の時間まであと7分というというところで生徒会副会長の天野雷斗と残り1人の生徒会である小林真司がやってきた。


 どちらも以前、仮装レースに出ていたな。というか小林って生徒会だったんだな。知らなかったよ。というか男子3人、女子2人っておかしいと思う。


 普通こういうイベントってヒロイン勢揃いで男子は俺1人か友人の翔の2人ってパターンだろ?なんで生徒会副会長がいるんだよ。お前はお呼びじゃねえんだよ。


「おい会長。誰だコイツ?」


 副会長がいきなり俺のことを指さしながら会長に問う。おいおい同じ生徒会だろうが。なんで知らねえんだよ。だいたい俺だって体育際の仮装レースに出場してただろうが。あと校内新聞にも載ってただろうが。


「彼は逢坂零君です。彼は生徒会長補佐なんですよ」


「ああ。コイツが……。なんかパッとしねえな」


 うっせ。自分の顔がちょっといいからって上から目線ですよ。本当マジで誰だよコイツ連れてきたの。


「大体よ。可愛い女の子集めてくれるって言うからわざわざプール掃除なんてメンドクサイ行事に参加してやってるんだぜ」


「それなら連絡してますからもうすぐ来るハズです」


「本当だろうな?もし来なかったら俺は帰るぞ」


 うへー。嫌な奴すぎる。前々から嫌な奴だとは思ってたけど直に会ってよくわかった。コイツは女子好きの屑で変態な残念イケメンか。


「すいませーん。遅れました」


 時刻は55分。全然遅刻でも何でもないのにわざわざ謝るとは律儀な奴って奏ちゃんかよ!?


「奇遇ですね。零さんも呼ばれてたんですか?」


「ああ」


 いやこれは確信犯のような気がする。会長のほうを見ると顔を背けられた。うわー。会長が奏ちゃんだけに連絡するとは思えない。


 ということは今日くる可愛い女の子ってもしかして……。後ろからものすごい聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「こんにちはー」


「待たせたね」


「零さん。私に感謝するのですわ」


 これは確実に美咲と愛さんと森だな。そう言えば最近は森の名前を忘れずにいえるようになったよな。これも成長ってやつか。俺も少しずつレベルアップしてるな。


「それではプール掃除に行きましょうか」


 どうやらこれで全員のようだ。ロリっ子校長が足りない気がするがまあいいだろう。とりあえずヒロイン全員集合だな。男子は余計なのが引っ付いてるけど。それも2人も。


「可愛い女の子がいっぱいじゃねえか。しかも仮装レースに出場した美人ぞろいだ。これはやる気が出てきたな」


 なるほど。会長の作戦が分かった。ようは俺は副会長を呼ぶ餌にされたってことだな。おそらく奏ちゃんとか美咲とか愛さんとか森とかは俺が来ないと来なかっただろう。


 つまりは彼女たちをここへ呼び副会長を働かせるために俺が呼ばれたというわけか。マジで俺いらなくね?休日返上してまで来たというのになんだこの仕打ち。まあきてしまったものは仕方がないのでさっさと終わらせてしまおう。


 プールにやってきた俺達は着替える前にどの程度汚れてるのか確認する。プールは去年の水が濁って悪臭を放ち、苔がいたるところにこびりついている。しかもよく見るとオタマジャクシが何匹か泳いでいる。


「おいおい。こんなプール掃除すんのかよ……」


「確かにこれはひどいよね」


「うん」


「去年の人達は何をやってたんですかね」


 俺、美咲、恵、奏ちゃんが順に正直な感想を漏らす。愛さんは何も言わないが顔をしかめているし、森に至ってはプールから3メートルは離れている。会長は不平不満を漏らさず笑顔を保っている。


 若干笑顔が引きつっていたのは見なかったことにしよう。こんだけ頑張って笑顔を取り繕ってるのだからその頑張りを台無しにするようなことは言わないでおこう。


「まずはプールに住み着いたオタマジャクシを取り除くことから始めます。皆さんは着替えてきてください」


 やっぱりやるのか。嫌だがここで活躍すれば女子の好感度5アップは確実だな。そのために水着を持ってきたり入念な準備を行ってきたのだ。ここでやらずいつやるんだ。

 

 というわけで更衣室で着替える。当然ながら男女別でここには俺、天野、小林の3人しかいない。必然的に副会長が絡んできた。


「おい。お前、逢坂だったか?」


 まあ、こいつは女子が大好きな変態残念イケメンである。男子だけの空間で本性を現すだろうと思っていたが、まさかこんなにも早く絡んでくるとは思わなかった。


「おい聞いてんのか?」


「はい。聞いてますよ」


 ここは後輩らしく丁寧な言葉遣いを心掛けるべきだな。ここで目を付けられてしまうとものすごくメンドクサイことになりそうだし。


「お前調子に乗ってるんじゃないか?」


「何の話ですか?」


「とぼけるなよ。お前ばかりが仮装レースに参加した女子たちと仲良くしてるじゃないか」


「誤解ですよ。俺は仮装レースに参加した女子と仲良くしてるわけではなくて、俺と仲の良かった女子が仮装レースに参加しただけですよ」


「同じことだ!」


 どうやらコイツは可愛い女子と仲がいいからってだけで俺を目の敵にしてるようだな。これはもうどうしようもなくないか。だって俺が多少冷たい態度を取ろうが話しかけてくるだろうし。


 このままコイツの相手をしていても時間の無駄だな。さっさと女子陣と合流しよう。そうしたらこの残念野郎も手出しができなくなる。


「おいちょっと待て!どこに行くつもりだ!」


「着替え終わったんでプールの方に行こうかと……」


 その後は残念野郎の話は聞かずプールの方へ歩いていく。ここで水がきれいだったらテンションが上がってくるのだろうがいかんせんこの水じゃな。


 それに6月とはいえ水着姿は少し寒い。制服姿なら暑いくらいなのだがな。とりあえずプールの様子を見て回るフリをしながら男子更衣室から離れていく。


 なぜなら女子陣がまだ着替え終わってなかったからだ。このまま残念野郎が出てくるとまためんどくさくなりそうだからな。出来るだけ男子更衣室から離れていて損はない。


 それにたとえ残念野郎が先に出てきても奴がこっちに来るまでに女性陣が来てくれたらこっちの勝ちだしな。こういう場合は1秒の差がものを言うしな。


「覗きこんでみるとますます掃除が嫌になるな」


 一旦残念野郎のことは置いておくとしてこの汚さは尋常じゃない。俺は新入生、つまりは1年生なので去年の水泳がどのようなものかは知らないのだがロクな授業じゃない気がする。


 そもそもこんなになるまで置いておくなよ。これは学校側の責任。つまりはあとで校長に文句を言いに行けばオッケーということだな。


 というか底が見えないほど濁り切っている。水深的には1.2メートルくらいの深さらしいけどとてもそうは思えない。


「そう言えばみんな遅いな」


 多分俺がプールの方に来てから5分くらいは経過しているはず。いったい何をやってるのだろうか。男子更衣室を睨みながらしばらく考え込む。


「こうなっては仕方がないか……」


 残念野郎がいる男子更衣室に行きたくないのだが逃げられては敵わないし様子を見に行くか。ものすごく憂鬱な気分で男子更衣室に入っていく。


 するとそこには残念野郎の姿も小林の姿もなかった。あいつら逃げやがったのか……。いや服が置いてあることから逃げてはいないようだ。


 だとしたらいったいどこへ行ったんだ?考え込みながら男子更衣室から出ていく。更衣室から出てあたりを見回す。そして見つけた。


 いや、見つけてしまったというべきかもしれない。なぜなら残念野郎と小林は女子更衣室の方へこそこそ入って行ったからだ。まさか覗く気か。


 なんという自殺行為。覗いた暁にはどうなるか知らねえぞ。だがこれは俺にとってもビッグチャンスだ。あの残念イケメンが変態だという証拠をつかむチャンスだ。


 男子更衣室から慌ててカメラを持ってくる。このカメラは掃除が終わって遊べることとなった時の撮影用として持ってきたものだったがまさかこんなところで役に立つとはな。


 俺は女子更衣室を示すマークと残念野郎と小林の姿を一緒に写す。これであいつらの弱みを握ったぜ。しかしこういう時に限ってカメラが壊れてとかそういうことになるかもしれないので、スマホのカメラでも証拠写真を撮影しさらに写真をパソコンに送っておいた。


 カメラを男子更衣室にしまい更衣室から出てくる。いまだに誰も来ていない。いったいどうなってんだ。もう10分は立ってるぞ。


「死ね!このド変態!」


 聞き覚えのある声が聞こえてきた直後に見覚えのある二人が飛んできた。飛ばされていた残念野郎と小林は完璧に気絶していた。


 女性陣を怒らせるのは絶対にやめよう。そんなことを固く心に誓うのであった。

再来週に東北に行くことになりました。

その準備などに追われているので来週と再来週の更新をお休みさせていただきます。

次は9月26日にお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ