体育祭午前中の物語
今日は久しぶりの休みで執筆がはかどりました。
『さあ!ようやく3分の1が終わりました!ここまで長かった!』
確かに長かったけどさ放送部がそれ言うの?
いやいや。それ俺達の台詞じゃね?
俺は男子に解放され自由になったことで今までよく聞けてなかった放送に耳を傾ける。
『さあ!気を取り直して次の競技に行きましょう!』
さっきとは違う人が喋り出した。
『ちょっと何すんのよ!せっかく私が放送してあげてるのに!』
『いや、アンタ放送部じゃないだろ!』
さっき放送してたの放送部じゃねえのかよ。
じゃあいったい何者なんだ。
本当うちの高校普通の学生ってのが少ないな。
まったく高校生にもなって放送をジャックするとかバカだろ。
というか早く競技にうつれよ。
入場門に選手が待機してんぞ。
『えー大変お見苦しい声を聞かせてしまい申し訳ありませんでした。それではプログラム8番障害物競走です』
放送部も大変だな。
さて競技の説明に移ろう。
障害物競走は4つの障害物に挑戦するレースだ。
障害物は毎年、借り物競争だけは固定であり残り3つの障害物は毎年変わっている。
これは4人のリレーで1人1つの障害物をこなす。
ただ障害物は当日まで知らされないので出場者の得意な障害物がくるかどうかは完全に運任せである。
去年は玉運び、平均台、縄跳びの3つに借り物競争を加えた4つの障害物だったらしい。
玉運びはスプーンにピンポン玉をのせて運ぶというものだ。
今年は見た限りではよくわからない。
わかるのは借り物競争と網くぐりの2つだけだな。
『それでは今年の障害物を発表したいと思います!まず1つ目は網くぐり!2つ目はじゃんけんです!3つ目はクイズです!最後に毎年恒例の借り物競争です!』
じゃんけんとクイズだったのか。
全然分からなかったな。
今年の障害物を見る限り運動が苦手な人でも勝てるようだな。
まあ、この競技は愛さんがでてるので1組の1位は期待しないほうが良いだろう。
「これなら森ちゃんでも勝てそうだね」
森ちゃん?誰だっけ?
俺が出場選手の方を見ると会長のファンがいた。
お嬢様の会長ファンだ。
ああ、思い出した。
あの会長ファンの名前森だったな。
ちなみに森は第3走者でクイズに挑戦する。
そして1番の強敵、愛さんはアンカーである。
愛さんがクイズに挑戦するよりかはマシか。
それだけ愛さんは賢い。
ゴールデンウィークに参加したクイズ大会も愛さんの力があったこそ優勝することが出来たのだ。
『それじゃいくよ!よーい……どん!』
ええっ!放送部がそれ言うの!?
普通、空砲鳴らすんじゃないの!?
そして全員気にせず競技を始めている。
ええいっ!もうどうにでもなれだ。
まずは網くぐりだ。
みんな網をくぐるのに苦労しているようだ。
やったことないけどあの網うっとうしそうだな。
まず抜け出したのは2組。
それに続いた7組、5組と続く。
1組は5位で愛さんが在籍する6組は4位だ。
はやくも2組目にバトン代わりのタスキが2走者目に渡される。
2走者目の障害物はじゃんけんだ。
これは運が悪ければいつまでもじゃんけんをすることになるので大逆転が可能だ。
それにしても応援席から見てる分には地味だな。
来賓席からは係りの人と2走者目の人が何の手を出しているかわかるが応援席からは手元が見えないのでどうなってるのが分からない。
ただどのクラスも白熱していることだけが分かる。
じゃんけんって以外に盛り上がるよな。
じゃんけんを終え順位は変化がないものの全クラスほぼ横1列の形になった。
ここで6組が一気に走りで順位を上げ2位に躍り出た。
1組も走りで順位を上げ4位につけている。
さあ第3走者にタスキがわたる。
森がクイズに挑む。
このクイズ形式は床に置かれているフリップに書かれた問題を係りの人の所に持っていき答えを答える。正解なら先へ進めて、間違いならやり直しである。
やり直しの時は同じ問題にしても良いしフリップを変えて別の問題に挑戦することも可能だ。
だがフリップを変えると時間のロスになる。
これは分かる問題が1発目で出るかがカギになるな。
森はフリップを取る。
フリップに書かれていた問題はなんだ?
俺は身を乗り出して確認する。
『1組の問題は「モンテネグロの人口は世界で何位でしょうか」です。いきなり難易度の高い問題を引いてしまった!さあ森選手フリップを変えるか?』
森はフリップを捨てた。
賢明な判断だな。
森なら意地でも答えそうなものだが。
ちなみにさっきの問題の答えは165位だ。
これは世界の国旗データのレポートを作った時にネットで調べたことがあるので覚えていたのだ。
俺はどうでもいいことを覚えるのは大得意だからな。
そのせいでほんとに役に立つのか分からない雑学を知ってしまった。
俺はレイペディア状態だ。
なんか俺の名前を付けたら語呂が悪いな。
ならゼロペディアと呼ぶことにしよう。
若干違和感があるがレイペディアよりマシだろ。
俺が意味の分からない説明をしている間に森は2枚目のフリップを手に取っていた。
書かれていた問題は「校長先生の名前は?」だった。
さっきの問題から急に難易度が下がったな。
森はフリップを係りの人の所に持っていき答えを答える。
「八戸夜桜先生ですわ」
「正解です」
森はまさかの1位で第4走者へとタスキを渡した。
1組は俄然盛りあがる。
これは来るんじゃね。1位でゴールできるんじゃね。
2位は6組だ。
愛さんがものすごいスピードで追い上げる。
愛さんと1組の第4走者は同時に借り物が書かれている紙を取った。
愛さんは紙を一瞥した後、こちらに走ってきた。
「逢坂君、ちょっといいかい?」
「あ、はい」
借り物競争では相手チームの妨害を避けるため貸さないという行為は禁止されている。
俺は愛さんに連れられゴールテープを切った。
「愛さん、借り物って何だったんですか?」
「ああ……野球部の人と書いてあったんだ」
愛さんは少し逡巡した後こう答えた。
「そうなんですか」
俺は愛さんの言葉をあっさり信じた。
しかし応援席にいた美咲は愛さんが引いた紙を偶然見ていた。
「好きな人、ねえ。やっぱり愛ちゃんもそうなんじゃない」
美咲は誰にも聞こえないくらいの声でそう呟いた。
1組はその後、なかなか借り物が見つからず3位でゴールすることになった。
俺はゴールテープを切った後しばらくは愛さんと一緒にいた。
なんでも全員がゴールするまでは一緒にいなくてはいけないらしい。
これは偶然借り物競争を見ていなかった人が疑わないように、とのことらしい。
そもそも疑うやつがいるのか?と思ったのだが7年前に実際にあったらしくそれ以来ずっとこういう方法を取ってるのだとか。
俺は1年生の障害物競走を終わった後にすぐさま入場門に向かった。
次はいよいよ俺が出場するバスケのフリースローであるからだ。
現実でバスケ漫画にはまった時にバスケの練習をしてフリースローの成功率を8割にすることに成功しているのでこの競技は勝てるだろ。
体育館ではなくグランドで行われるのでどうなるかわからないが……
ちなみに上手くなったのはフリースローだけで試合になるとあまり活躍できないのが現状だった。
このゲーム内ではどうか分からないが。
しばらく入場門から2年、3年の障害物競走を見ていた。
2年生では会長が第3走者として出場していた。
あのモンテネグロの超激むず問題をクリアした。
会長化け物かよ。
あの問題をゲーム内の人がクリアできるなんて。
そして運営はマニアックな問題出すなよ。
『次はプログラム9番フリースロー対決です!』
俺は音楽に合わせ行進する。
このフリースローは順位ではなく持ち球が10球で1球入るごとに5点が入るようになっている。
全部決めると5点×10球の50点に加え追加で10点もらえるらしい。
俺の成功率は8割だが午前中を首位に立って折り返したいしパーフェクトを狙ってみるか。
フリースローは外でやるため風の影響を受けるが今は風は吹いていない。
これは絶好の機会だ。
おい、運営。早くやろうぜ。
風が出てくると厄介なことになるからな。
風の影響も計算しなくてはいけなくなる。
だが物理などそんなに得意ではないので大まかにしか計算できない。
そうなるとどうしても外す確率が高くなる。
他のクラスも入らなくなる可能性が高くなるので条件的には五分五分なのだが満点のボーナス点は手に入れることができなくなる。
現在は2位につけているのだが首位で折り返すためには1位の4組には3球以上は外してほしい。
だがもし俺がパーフェクトを取った場合4組が1球でも外したら首位で折りかえせる。
綱引きで一気に差を縮めることが出来たのが大きいな。
フリースローではバスケのゴール数が4つしかないので2つのチームに分けるのだ。
1回目が事前の抽選の結果から1組、2組、6組、8組で2回目が3組、4組、5組、7組である。
それだけに俺が全部決めて4組にプレッシャーを与えたい。
『それでは1回目にフリースローをする選手は定位置についてください!』
俺はフリースローラインに立つ。
フリースローラインは石灰で引かれているので分かりやすい。
『それでは1球目!どうぞ!』
俺は軽く投げた。
ボールはリングにかすることなくゴールへ入った。
よし!まずは1球。
その後7回連続で成功した。
あと2球。
俺は体育でバスケの試合をやってるときより集中している。
『1組はまた決めました!これでパーフェクトまであと2球!』
生徒、来賓共に盛り上がってきている。
まるで全国大会の舞台みたいだ。
『それでは9球目!どうぞ!』
俺はこれ以上ないくらいに慎重に投げる。
ガァン
ここにきて初めてリングに当たった。
その後何度かリングに当たりゴールへ入った。
危ねー。
もう少しで外すとこだった。
風もそよ風程度であるが吹いてきている。
『1組パーフェクトに王手!過去の体育祭で9人しかパーフェクトを取ったことがありません!通算10人目のパーフェクト達成なるか!そして1年生では初めてのパーフェクト達成なるか!』
ちょっ!?
どんだけプレッシャーを与えるの!?
なんか外せない空気になってんだけど!
『さあ!運命の10球目!どうぞ!』
俺は1度深呼吸をしてから投げる。
ボールは弧を描き見事にゴールへ吸い込まれていった。
ボールが地面に落ちた瞬間、俺はガッツポーズをとる。
『決まったー!史上10人目のパーフェクト達成!!1年生では史上初!!』
ものすごい歓声が上がる。
いやまさか本当にパーフェクトとれるとは思ってなかったな。
次の競技は得点が関係ない組み体操なので午前中を首位で折り返すという目標を達成した。
その後1年生の後半組、2年生、3年生と行われた。
4組は8球連続で決めて史上初の1年に2人パーフェクト達成者が出るかと期待されたが9球目を外しパーフェクト記録はとぎれた。
『ここで中間発表!』
親切だな。
というか集計がもう終わったのか?
早いな。
うちの放送部は有能だな。
『まずは1年生から!1位は85点で1組!2位は80点で4組!3位は78点で6組!4位は74点で7組!5位は70点で2組!6位は64点で5組!7位は61点で3組!8位は57点で8組だ!』
予想通りの1位!
前回の中間発表では最下位だった3組が7位になっている。
そして1位と8位の差が20点以内だったのに今回は28点になっている。
ほんのわずかではあるが差が広がった。
『続いて2年生の中間発表を行います!1位は───』
俺が応援席に戻ると俺に対して態度が悪かった男子が急に友好的になっていた。
女子のほうも俺のことを持ち上げている。
チッ!
現金な奴らだ。
俺がパーフェクトを取ったからこその反応なんだろ?
もしパーフェクト取ってなかったら首位にたったとしてもこんな反応はしなかっただろ。
だが態度には出さない。
これで印象力が上がるだろう。
印象力が5上がった。運動能力が3上がった。
よしきた!
次は3年生による組み体操か。
これは今年から実施される競技で来賓の人たちの反応で来年もやるのか今年限りになるのかが決まるらしい。
俺としては今年限りになってほしいな。
組み体操って練習多いから嫌いなんだよ。
それに練習は厳しいし。
「零君すごかったよ!」
美咲だけがいつも通りの反応をしてくれる。
やっぱり美咲は有能だわ。
可愛いし性格も良いし。
こんな最強の美少、女現実でも見たことないぞ。
『それではこれからプログラム10番3年生による組み体操です!』
午前中最後の競技が始まった。
残る競技は後半分。
多いな……




