体育祭の準備の物語
実は携帯を盗まれました。
そのため大変申し訳ないのですが更新速度が大幅に遅くなると思います。
あとみなさんも盗難に気を付けてください。
それでは第16話お楽しみください。
6月2日(月)
「今週の金曜は体育祭だ。みんな出場する競技は決まっているのか?原則といて競技を決めるのは木曜日までだが練習する時間を入れるとそろそろ決めないとやばいぞ」
朝のSHLで先生が言う。
体育祭……?
今週の金曜日……?
出場競技……?
は?まじで?
うちのクラス何も決まってなくね。
教室内も「何も決まってないよ」とか「聞いてねえよ!」とか聞こえてくる。
皆も知らなかったようだ。
良かった。俺だけじゃなかった。
「おいおい、行事を書いた紙を前に張ってるだろう」
先生が暗に「なんで見てねえんだよ。こいつらアホか」みたいな意味を込めて言ってくる。
腹が立つが先生の言うことはもっともだし何より誰一人行事を書いた紙を見ていなかったので言い返すことが出来ない。
「零君。体育祭のこと知ってた?」
「いや、知らなかった」
「だよね。良かった」
美咲が話しかけてくる。
どうやら美咲も知らなかったらしい。
会長も昨日教えといてくれたらよかったのに。
「まったく七草が言ってくれなかったらお前らどうする気だったんだ」
会長が先生に言ってくれたのか。ありがとう会長。そして文句言ってごめん。
それに今日の1時間目はLHRだ。
何とかなりそうだな。
「さすが七草さんですわ」
なんか森だっけ林だっけもうどっちでも良い。
とにかくなんか会長を褒めまくっている。
よく見ると周りの女子生徒もウンウンと頷いている。
一体何が会長をべた褒めにするという状況を生み出しているのか。
「とにかくさっさと決めていくぞ」
先生のこの言葉を合図に委員長の山田くんと書記の佐藤君が教卓の目に立つ。
そういえば委員長とか決めたんだ。
俺知らなかったな。
もしかして俺が爆睡してる時にでも決めたんだろうか。
多分そうなんだろうな。
俺は特に委員とかなる気なかったし寝てたんだっけ。
そもそも生徒会長補佐になった時点で何か委員に入らされていても委員の仕事はしなくても問題ない。
この部分も会長に感謝だな。
「それではこれから体育祭の出場種目を決めたいと思います。書記の佐藤君に種目を書き出してもらいます」
佐藤君は返事をせず一心不乱に黒板に種目名を書き出している。
何に出ようかな?
高校で初めての体育祭だからな……よくわからんし。
さて何々、騎馬戦にリレー、玉入れ、綱引き、障害物競走、ハードル走他にもいろいろあるな。
これはかなり迷うな。
最低でも二種目は出なくてはいけないらしい。
しかしプログラムが連続する競技には出ることが出来ない。
例えばリレー、綱引き、玉入れの順になっていて綱引きに出場することになった場合、リレーと玉入れに出場することが出来ない。
そしてこの高校の有名な競技が男子の人気投票で上位10位になった女子がコスプレしてトラックを1周するミス仮装レースがある。
その後に女子の人気投票で上位10位になった男子がコスプレしてトラックを1周するミスター仮装レースがある。
普通女子が後の方が良いと思うのだが先生の話いわく女子の方が普通のミスコンに成り果てていて面白みがないかららしい。
投票は全校生徒対象で体育祭の午前中に行われ集計は午後の競技中に行われレースは全ての競技が終わった後に行われる。
この競技はレースという名前であるが競技の得点に一切関係ないので仮装レース中に得点集計を終わらせるのである。
効率の良い時間の使い方だな。
好感が持てる。
それにしてもパンフレットが配られていたな。
さっきクリアファイルを確認したら出てきた。
「ねぇ零君。競技何にする?」
「野球部だしリレーかな」
今までなら俺はリレーに出ようとは思わなかったが今回は勝算がある。
以前参加したカップル対抗運動会の予選で走ったときに確信した。
このゲーム内でなら俺はヒーローになれる。
「それではこれから出場競技を決めていきます。出場したい種目に手を上げてください」
委員長の声に教室内がシーンと静まり返る。
この辺りは現実と違い授業時間と休憩時間を区別できる人しかいないので助かる。
現実だといつまでもしゃべり続ける人がいてなかなか話が進まないんだよな。
「まずは50メートル短距離走に出場したい人?」
何人かが手を上げる。
こういう種目は運動の苦手な人たちが出場するようだ。
まあ最低2種目出なくてはいけない以上出来るだけ楽なものを選ぼうとするからな。
さてリレーを決めるまで時間があるので全種目を紹介しよう。
プログラム等は覚えてないので適当に種目名を出していく。
50メートル走、騎馬戦、玉入れ、綱引き、障害物競走、二人三脚、クラス対抗リレー、部活対抗リレー、1200メートルリレー、パン食い競争、ハードル走、バスケのフリースロー、大玉ころがし、応援合戦、組体操、ミス仮装レース、ミスター仮装レース、この全17種目である。
男女ともに仮装レースと部活対抗リレー、応援合戦、組体操の5種目は最低2種目のうちには入らない。
ということで13種目のうちから2種目を選ばないといけないのだ。
しかし大玉ころがしや綱引きでかなりの人数を必要とするので大体全員2種目出場することになる。
ようするに出場枠が埋まってるから俺は1種目だぜ、とかは出来ないわけだ。
ちなみに今更ではあるが1学年8クラスあり、1クラス40人、全校生徒と教師を合わせると1000名は超えるのである。
俺達プレイヤーはクラスが全員バラバラなので必然的に敵同士になる。
美咲は俺と同じクラスで味方、会長はそもそも学年が違うので争うことはない。
結局うまい具合にばらけ俺はクラス対抗リレーとバスケのフリースローに出場することになった。
美咲はパン食い競争とハードル走に出場する。
余談ではあるがうちの高校でリレーと言ったらすべて男女混合である。
◇
放課後
俺はさっそくリレーの練習をするために体操服に着替えグランドに行く。
リレーの順番は俺がアンカーを務めることとなった。
ぶっちゃけ誰もやりたがらなかったので俺の立候補で決まった感じだ。
推薦などでは決してない。
俺はグランドのスタート地点に立ち、走り出す。
練習とは言っても自主練という形なので他に一緒に練習している人もいなければ教師もいない。
俺が10周ぐらい走ったころで恵と愛さん、奏ちゃんの3人がやってきた。
運動能力が5上がりました。
「零さん何やってるんですか?」
「リレーに出るからその練習」
「ええっ!零がリレーとか……体育祭雨で中止になるんじゃない?」
グサッ
奏ちゃんの質問に答えると恵が冗談交じりに俺を傷つけてくる。
言葉という名の刃物で。
確かにリレーとか俺のイメージと合わないかもだけど雨が降るは言い過ぎではないのか?
しまいには泣くぞ。
「恵さんや。それはいささかひどくはありませんか?」
「ごめんごめん」
コイツ全然反省してないだろ。
恵とは30年以上の付き合いなんだ、それぐらいわかる。
「でも逢坂君がリレーとは意外だね。私は二人三脚とかかと思っていたよ」
愛さんも何気に酷いよな。
しかも毒吐いてるって自覚がないのがまた酷い。
「零さん。頑張って下さい。私、応援してますから」
ああ、空気読めるのは奏ちゃんだけだよ。
恵も愛さんも奏ちゃんを見習え。
「ありがとう奏ちゃん。俺頑張るよ」
「私も応援ぐらいならしてあげても良いわよ」
「私も応援はするさ」
恵と愛さんが慌て気味に言葉を足してくる。
なんだかんだ言いつつも応援はしてくれるんだよな。
「そういえば3人は何の競技に出場するんだ?」
「私は1200メートルリレーと綱引きだよ」
「私は玉入れと障害物競走だ」
「私は50メートル走とハードル走です」
俺の質問に恵、愛さん、奏ちゃんの順で答えてくれる。
みんな見事にばらけたな。
プレイヤー同士(女性組)で争うことにならなくて良かった。
社長や後輩君、翔の男子組には別に容赦しないけど。
「みんなも練習か?」
「「うん。そうなんだよ(です)」」
「私は違うよ。みんなの練習を見に来たんだ」
恵と奏ちゃんの2人は練習で愛さんは2人についてきたらしい。
なら俺は十分練習したし教室に戻るか。
練習の邪魔しても悪いしな。
「そうか。なら頑張れよ。俺はそろそろ教室に戻るから」
「「「えっ」」」
3人の声がシンクロする。
えっ何?教室に戻ったらダメなの?
「何だよその反応?」
「えっと……せっかく零と練習しようと思ったのに……」
恵の声は小さすぎて聞こえない。
「いえ別に何でもないです」
奏ちゃんは何もないと言っている。
愛さんは何も言わない。
だんまりを決め込んでいる。
「なら、俺はいくわ」
俺はグランドから出ていく。
3人が気になり時折振り返りながら。
俺が教室に戻るとペンキのにおいが充満していた。
教室には数名の生徒が残っており布に書いた絵にペンキで色を塗っているようだ。
絵は学ランを来た生徒が蹴り上げていて背景にはクラス名と目指せ優勝!という文字が書かれている。
絵はほとんど完成している。
「あれ?零君どうしたの?」
手をペンキまみれにした美咲がやってくる。
そのペンキまみれの手が先ほどまで絵の色塗りをしていたことを物語っている。
「ああ、練習が終わったから戻ってきたんだよ。それよりこれなんだ?」
「ふふーん。これはね旗なんだよ」
「旗?」
「そう。各クラス体育祭で飾る旗を作るんだよ。正直今週の金曜が体育祭と聞いて焦ったけど今日居残りで頑張ってたからなんとかなりそうだよ」
居残って旗を作ってたのか……
旗を作ってたことすら知らなかった。
「人足りてるのか?」
「結構ギリギリの人数だよ。1人でもいいから手伝ってほしいよ」
俺の見た限り教室内にいるのは14人。
しかし真面目に作業してるのは8人だ。
残りの8人は作業をしてないくせにここが塗れてないとか言っている。
ったく自分でやれよ。
「俺は手伝うよ」
「本当!?ありがとう零君」
美咲はペンキまみれの手のまま俺に抱き付いてくる。
俺はそれを間一髪のところで避ける。
「何で避けるの?」
「まずその手に着いたペンキをなんとかしろ!」
不思議そうに首をかしげている美咲の手を指差し抗議する。
自分の手を見た美咲は慌てて近くの水道で手を洗っている。
そして5分ほどして戻ってきた。
「今度は手は綺麗だよ。だからいいでしょ?」
「分かったよ」
俺が両手を開き構えると勢いよく抱き付いてくる。
男子から嫉妬の視線を向けられるが最近この視線も気にならなくなってきた。
慣れって恐ろしいな。
「あ、桜さん。何、逢坂君に抱き付いてるんですか!?」
見回りをしていたと思われる会長が美咲に詰め寄っている。
いつの間にやってきたんだ?
いろいろと規格外の人だな。
「別にいいですよね?零君は誰とも付き合ってないわけですし、ましてや会長が零君の恋人ってわけではないようですし」
「桜さん……あなた逢坂君を下の名前で呼んでるなんてなんて羨ましいことを……」
「なら会長も下の名前で呼べばいいじゃないですか?」
ちょっと人いっぱいいるんだよココ。
それと美咲はなんでそこまで攻撃的なの?
「………れ……零君………やっぱり無理です!しばらくは逢坂君で」
会長が諦めた。
そして美咲は勝ち誇った顔をしている。
「2人ともそこまでにしよ?ほら人もいっぱいいるしさ」
「スイマセン。逢坂君すぐ次の教室に向かいますので」
「今日は零君に免じて見逃してあげますよ」
会長と美咲の間に火花が散って見える。
そして美咲はなんでそんなに上から目線なの?
会長はそのまま次の教室に行ってしまった。
「なあ美咲……なんで会長にあんな攻撃的なんだ?」
「だって零君を生徒会補佐にして独り占めしようとしたんだよ?」
えー……なにその発想。
明後日の方向に飛びすぎだろ。
なんでその発想に行きついちゃったんだろう。
「いや別に生徒会補佐になってから生徒会室に行ったのって1回だけなんだけど」
「えっそうなの?」
「ああ。だからそこまで会長に攻撃的にならなくても……」
「分かったよ。なら会長と仲直りしてみる」
「それがいいよ」
なんとか美咲を説得することに成功した。
会長はもともと好戦的ではないので仲直りは出来ると思う。
その後、俺は絵の色塗りを手伝った。
そしてなんとかすべての作業を終わらせることが出来た。
時計を見ると18時30分だった。
もう遅い時間なのでこのまま布を乾燥させて明日の朝に片付けるそうだ。
俺はようやく寮に帰ってくることが出来た。
夕飯を食べ風呂に入り布団の中にダイブする。
そして10分もしないうちに寝息を立てる。
◇
あれから早くも体育祭の朝を迎えていた。
天気は快晴で絶好の体育祭日和だった。
さて今日は優勝目指してがんばるぞ!!




