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お出かけの物語 七草御影編

 5月31日(土)


「あ~よく寝た」


 今日は学校は休みだ。

 宿題もないし面倒事は昨日解決したしゆっくりできるな。

 

 そう昨日、ゴールデンウィークから始まった『噂から嫉妬事件』が完璧に解決したのだ。

 男子に勝負で勝ちいじめみたいなのは一切なくなった。

 噂を流した会長の方も噂を流すようなことはもうないだろう。


 そんなわけで昨日はぐっすり眠ることが出来た。

 俺は7時に起きたが疲れはまったくと言っていいほどなかった。

 今日はどこかをぶらつこうかな?


 あ、やばい。俺がぶらつこうとすると大抵なにか起こるんだよ。

 俺は周りを見渡し外に誰もいないのを確認する。

 おかしいな。

 考え過ぎか?


『メールだよ♪メールだよ♪』


 やっぱり来たな。面倒事。

 俺はメールを読む。

 差出人は会長だった。

 

 なんであの人俺のメールアドレス知ってんの?

 それより今回は会長か。

 また変なことにならなければいいけど。


『逢坂君へ

 もう起きてますか?

 私は昨日あなたの言う通りに堂々としていました。

 なのでご褒美が欲しいです。

 とりあえずメールを見たら返信ください』


 と、書かれていた。

 いやいやご褒美って……会長今高2ですよね。

 小学生みたいなこと言ってんじゃねえよ。


 はぁ


 とりあえず返信しないとな。

 俺は挨拶と気になることをメールに打つ。


『おはようございます。

 それよりご褒美ってなんですか?

 俺に何をやれって言うんですか?』


 メールを送信!

 さて、今のうちに朝飯食べるか。

俺は食パンにスライスチーズをのせて焼く。


『メールだよ♪メールだよ♪』


 早っ。

 まだパン焼けてないんだけど。


 チーン


 あ、焼きあがった。

 俺は一泊遅れて焼きあがった食パンをお皿に乗せてスマホを確認する。


『デートです。

 ご褒美と言えばこれですよ』


 いやなんでだよ。

 まあデートを拒否して無茶ブリされるよりましか。


『分かりました。

 それで何時のどこに集合ですか?』


 スマホを横に置きながら食パンを食べる。

 チーズが美味しいわ。

 俺は食パンを食べ終え着替える。

 どうせ着替えなくてはいけないので今のうちに着替える。

 

『メールだよ♪メールだよ♪』


 早い。

 なんでこんなに早いの?

 まだ1分くらいしか経ってないよ。

 それとも俺が遅いのか?


『今日の10時に学校の最寄り駅に集合です。

 遅れないで来てくださいね』


 10時か………

 まだかなり時間に余裕があるな。

 今の間に風呂に入っておくか。


 昨日はめんどくさかったので入らなかったんだよな。

 さすがに会長と出かけるのだし入ったほうが良い。

 まだ着替える前だったので着る予定だった服を脱衣所に置いておく。


 軽くシャワーを浴びる。

 朝っぱらからシャワーを浴びるというのも乙なものだ。

 シャワーを浴びさっぱりした俺は服を着て、今まで着ていた服を洗濯機に放り込む。

 洗剤を入れ動かす。

 この洗濯機は羨ましいことに全自動で乾燥機付きなのだ。

 現実でも買おうかな?


 俺が時計を見ると9時30分。

 そろそろ寮を出たらだいたい10分前には駅につくだろう。

 俺は財布を持ち寮を出る。

 現在の所持金は先日バイト代が入ったので8万円ある。


 高校生から見たらものすごい金持ちだぞ。

 危険度0に設定してるとはいえやはり気を付けておこう。


 9時45分

 なんとか約束の15分前に着くことが出来た。

 会長はまだ来てないな。


 まあまだ15分前だからな。

 とりあえずエスコートしろと言われてもいいようにスマホでデートスポットを捜す。

 これがスキル『デート』の効力か…………

 いかなる場合でも対応できるようになるのか。


 2~3分待ってると会長がやってきた。

 会長はおしゃれをしている。

 意外だな。

 会長でもおしゃれをするのか。


「逢坂君待ちましたか?」


 いや2~3分待ったぞ。

 そう言おうとして口を開いたがその言葉を発することは出来なかった。


「いや、今来たところだ」


 これはデートでの定番のセリフ。

 これもスキル効果か。

 さすがに待ったと馬鹿正直に言うのはマイナスになるということなのだろう。


「そう、良かったです。待たせたのではないかと不安でしたよ」


「そもそもまだ約束の時間がまだなんだから俺が待ってたって会長が悪いわけじゃないだろう?」


「ねえ逢坂君、今日は御影と呼んでほしいんですけど……駄目でしょうか?」


 上目使いで俺に頼んでくる。

 それは反則ではないのか。

 可愛いじゃないか。


「今日だけだからな…………御影」


「はい!」


 かいちょ……御影はものすごい可愛らしい笑顔を見せる。

 こんなの男子に見られたら第2次俺vs男子が勃発するぞ。

 極力気を付けることにしよう。


「御影はどこか行きたい場所とかないのか?」


「そうですね……特にないです」


「そうか。なら少し遠いんだけど大学で学園祭やってるみたいだからそこに行かないかい?」


「ええ、ならそこに行きましょう」


 俺達は一度天王寺まで行きそこで地下鉄に乗り換える。

 そして終点まで行く。

 電車の中では何でもない雑談などを交わした。


「私こちらの方に来たのは初めてです」


「まあこの辺は俺の地元ですから」


 俺達は駅を降り徒歩で大学まで歩く。

 だいたい20分くらいで着く。

 少し遠いがいい運動になる。

 着いた時には人がかなりいた。

 10メートル進むだけでも苦労するほどだ。


 ここの大学の学園祭及び文化祭は毎年人が多い。

 しかし午前中からここまで集まるのは珍しい。

 なにかイベントをやるのか?


「ここの大学は秋にも文化祭をやっていてそこのフリーマーケットに行くのが好きだったんだ」


「いろいろなイベントや行事があるのですね。うちの高校も行事とかイベントをどんどん増やしましょう」


 あ、地雷かも。

 イベントの対象に俺が入る可能性が高い。

 いろいろと悪目立ちしてるし。

 会長になんか気に入られちゃったし。


 てゆうか、気に入られてるよね?

 気に入られたからデートやってんだよね?

 なんかその辺不安になってきた。


「あ、逢坂君。あれ見てください」


 御影が指差したのは有志団体によるお笑いのステージだった。

 素人の大学生がやるにしてはおもしろい。

 そのステージの席はかなり埋まっていた。

 席に座らずとも周りの屋台で買い物したり食べ物を食べたりしながら見ている人もいる。

 かなり人気なのかそれとも面白いのかどちらかわからないがここから見る限り後者のような気がする。


「なかなか面白いな」


「ねえ見ていきましょう」


 御影はお笑い好きなのか?

 気になる。

 休憩がてら見るのも良いかもしれない。

 

「御影はお笑いとか好きなのか?」


「好きですけどこれはイベントに使えるんじゃないのかなって思いました」


 これは俺ピンチだ。

 危機察知レーダーが反応している。

 地震に例えると震度5弱くらいだ。

 かなり強いぞ。

 

「まさか俺にお笑いをやれ、なんて無茶ブリはしませんよね?」


「えっ!そんなわけないじゃないですか」


 ものすごく動揺している。

 目線もこちらに合わせようとしない。

 俺にやらせる気満々だったな。


 危なかったぜ。

 気づいてよかった。


「ではそろそろ次に行きましょう」


 あ、話をすり替えやがった。

 まあ俺がお笑いをやらされるということはなさそうなのでここは見逃してやろう。


 次に俺達がやってきたのは食べ物の屋台が並ぶ通りだ。

 相変わらずいろんな店を出している。

 焼きそば、たこ焼き、フランクフルトなど屋台の定番に加えカレーとかハンバーグとかも売っている。 俺達は屋台でハンバーグというのが珍しく思ったので買ってみた。

 普通のハンバーグだった。

 美味しかったけど普通だったよ。


「なんか普通のハンバーグでしたね」


「言ってやるな。大学の学園祭なんだ。簡単に超美味いとか珍しいものを作るのは無理があるだろう」


「それもそうですね」


「さて、腹も膨れたし次はどこに行くんだ?」


「そうですね……」


 御影はそう言いながら近くにあった案内板に目を通している。

 俺も見てみる。

 校舎内にはメイド喫茶とか執事喫茶というのもあったらしい。

 メイド喫茶は行ってみたかったな。

 それにしてもアニマル喫茶とかコスプレ喫茶とか喫茶店多いな。


「あ、逢坂君、私お化け屋敷に行きたいです」


 御影が案内板を指差ししながら言う。

 お化け屋敷か……

 面白そうだな。

 俺達は人ごみをかき分けようやくお化け屋敷にたどり着いた。

 中からは悲鳴が聞こえてくる。

 意外に怖いのかな?


 俺達は中に入る。

 お化け屋敷の中は薄暗くこんな時期にエアコンをかけているのか肌寒い。

 これはなかなかリアルだな。

 俺達は慎重に進んでいく。


「きゃっ!」


 会長が小さな悲鳴を上げる。

 どうやら上から水滴が落ちる仕掛けらしい。

 

「御影…大丈夫か?」


「ううっ………手を繋いでてください」


「分かったよ」


 俺は御影に右手を差し出す。

 御影はそっと俺の手を握る。

 これは貴重なシーンだ。

 

 俺達が歩いているとお化けに扮した大学生が脅かしてくる。

 なかなか怖いな……


「きゃあ!」


 御影が俺に抱き付いてくる。

 これで俺の恐怖が吹っ飛んだ。

 意識のほとんどが右半身にいっている。

 特に胸が当たっている腕にいっている。

 柔らかい……


「逢坂君、すいません」


「いや、別に気にする必要はないさ。俺も少し怖かったからむしろ助かったよ」


 御影が慌てて離れ謝る。

 またスキル『デート』が発動する。

 御影は恥ずかしそうにしているが俺の言葉は本心だ。

 スキルの効果もあるが……

 胸の方に意識がいって怖がる暇がなかったんだよ。

 

 その後も脅かされては御影が俺に抱き付いては恥ずかしがるの繰り返しだった。

 そのたびにスキル『デート』が発動し御影の好感度を上げていった、と思う。

 でもまあ俺としては御影の意外な一面が見れたり胸の感触を楽しんだりと役得であったので好感度が上がってなくても良い。

 しかし御影のおかげで特に怖いとかは思わなかったな。

 

「怖かったです」


 お化け屋敷を出て開口一番にそんなことを言っていた。

 まあ何度も悲鳴を上げていたからな。

 こうして話してる今もお化け屋敷内から悲鳴が聞こえてくる。


「まあ楽しかったけどな」


「そうですね。逢坂君がいてくれたので最後まで行けました」


「それは良かったな」


 実際御影は凄く嬉しそうである。

 喜んでくれたのなら何よりだ。

 というかあのお化け屋敷はレベルが高かった。

 

 俺達は体育館でやっているバンド演奏を見に来た。

 体育館は既に人が多く席は満席である。

 俺達は人が少ないところを探し出しそこから見た。


 バンド演奏は圧巻の一言であった。

 それに普段アニソンしか聞かない俺でもわかる超有名ソングでもあった。

 これはまねできねえわ。

 うますぎる。

 隣でステージを見ている御影も呆気にとられていた。


「凄い………」


 御影からそんな呟きが聞こえてきた。

 周りの客も呆然としている。

 そして次の瞬間割れんばかりの大歓声が起こった。

 まるでプロがやるライブのようだった。


「いやー、凄かったな」


 俺達は帰りの電車の中で今日の出来事を話していた。

 あのバンド演奏の後、そのままライブ演奏などを見ていたら17時になっていた。

 それにお客もだいぶ減ってきていたし店じまいするところも多かった。

 なので俺達は帰ることにしたのだ。


「はい。あれは凄かったです」


「だよな。そういえば軽音部とかどうなんだ?あるんだろ、うちの高校に」


「そういえばうちの高校の軽音部は全国レベルでしたね。確か去年は全国5位でしたね」


 凄いじゃないか。

 なんでライブとかしないんだろ?

 大会以外で演奏したくないとか?


「でもさライブとかやってなくないか?」


「それは軽音部が勧誘のため私の前で演奏しまくってうるさかったのでライブ禁止にしました」


「それっていつ頃のこと?」


「私が生徒会長になってすぐですね」


 ちょっ!なにやってんの。

 演奏してただけでライブ禁止って……

 確かに迷惑になることは駄目だけどさ。

 生徒会長になってすぐにライブ禁止にするのはちょっとな……

 それに1年は長くね?


「それはマズくないのか?」


「今日のライブを見て軽音部のライブ禁止をやめることにしました」


「そうか……それが良い」


 これで時たま軽音部のライブ演奏を聴くことが出来るな。

 全国レベルの演奏というのを聞いてみたい。

 楽しみだな。


 おっと駅に着いたようだ。

 ここからは迂闊に会長を名前呼び出来ねえぞ。

 誰かに見られてるかもしれないからな。

 それに会長と呼んでおけば俺は生徒会長補佐なのでなんとでも言い訳はつく。


「それでは会長、また月曜日に」


「ええ、月曜日に」


 俺が敬語にしたのと呼び方を会長に戻したのが不満そうであるが俺の考えを分かってくれたのか特に文句を言うこともなく俺に合わせてくれた。

 こういう機転が会長は利くので非常に助かる。


 財力が75000になりました。コミュ力が5上がりました。





 

 

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