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会長の物語

ああ~忙しい!執筆する時間がない~

というわけで14話です

 5月29日(木)


 放課後


 あー今日も疲れた。

 しかし昨日の撮影は楽しかった。

 でもまあそんなことを言ってられるのも今のうちだけだろう。

 そのうち忙しくなりすぎて撮影なんて嫌だと思うようになる。


 俺はさっさと帰り支度をする。

 部活を週2にしてから運動会能力は上がらないものの下がることもなく時間に余裕を持たせることが出来るようになった。なので今日も部活を休む。


 さて今日は何をしようか?

 俺が考え込んでいると放送が鳴る。


『生徒会長補佐の逢坂零君。至急生徒会室に来てください。繰り返します。生徒会長補佐の逢坂零君。至急生徒会室に来てください』


 会長が俺を呼んでいるようだ。

 なんか面倒ごとの気配がする。

 ここは無視だ。


 俺が教室を出て帰ろうとすると女子生徒が俺の行方を阻んでくる。

 なんか前にもあったな。

 確かあれは恵と愛さんと奏ちゃんそして美咲、この4人と出かけていたことが噂になったときだ。

 それで俺が会長に問い詰めようとしたときだな。


 その時と同じ人だ。

 えーと名前なんだっけな。

 なんか木に関係のある名前だったんだよな?

 木下、木村、小林、森田、森本、林田、どれもしっくりこない。


「逢坂さん。いったいどこへ行くおつもりですか?生徒会室はこちらではありませんわよ」


 やばい。何か喋らないと……

 マジで何だったな、コイツの名前。

 確か漢字一文字なんだよ。

 そこは覚えている。


「えーと……あっ!林さんだ!」


「違いますわ!やっと思い出したかと思えばあなた同じ間違いを2度もなさらないでください。私の名前は森です。森明日香!」


 あれ、なんか喋り方変わったか?

 俺が首をかしげるとその……林だっけ?の隣にいた女子生徒が説明してくれる。


「森さんは先日お父様が大富豪の女性と再婚され本物のお嬢様になったのです。それに伴い上品な振る舞いや喋り方を身につけたのです」


 なるほどな。それと名前森だったか。

 また名前を間違えてしまった。

 森さんの隣にいた女子生徒ファインプレーだ!


「いや俺今日予定あるから」


 俺が森さんの隣をすり抜けようとすると腕を掴まれる。

 いや今の完璧な言い訳だっただろ。

 なんで止められるんだ。


「逢坂さん嘘はいけません。あなたに予定がないのは調査済みです」


 いやなんで知ってんの?

 俺のストーカーかなにか?


「なんでそんなこと知ってるんですか?」


「私をなめてもらっては困ります。そんなものお母様に頼めば簡単なことですわ」


 ドヤ顔だ。ものすごくドヤ顔だ……

 いやそれお前の力じゃねえじゃん。

 100パーセントお前の母さんの力じゃん。


 何をドヤ顔で言ってんの?

 お前何一つ凄くないからね?


「とにかくそこを通してくれ。俺は帰るんだ」


 俺は振りほどこうとするがなかなか手強い。

 くっ!強い!

 しかしこれ以上力を込めるのはまずい気がする。


「駄目ですわ。生徒会室に行きなさいな」


 しつこいな。

 だが俺に打つ手はない。

 諦めるしかないのか?

 

 諦めるしかないんだろうな。


「分かりましたよ」


 俺は踵を返し生徒会室に向かう。

 嫌な予感しかしないんだけどな。

 後ろから「それで良いのですよ」と聞こえてくるが無視だ。

 全く森さんはなぜあそこまで会長の味方をするのか。


「会長、逢坂です」


 俺は扉をノックする。

 そういえば声とかは聞いたことがあるけど会長に会ったことないな。

 生徒からは人気みたいだけど……


「やっと来ましたね。どうぞ入ってください」


 俺は扉を開け中に入る。

 俺から会長は見えない。

 書類の山で顔が隠れている。


 というか他の役員がいない。

 確か恵は会長に頼みごとをされたらしいからいないのは分かるが他の役員はどうしたんだ?


「会長それでどのようなご用件なのですか?」


「見ての通り今、誰もいないのよ。だから生徒会長補佐として私の話し相手になりなさい」


 いや仕事を手伝えって言うなら分かるんだけど話し相手になれってのは分からないな。

 そんなことの為に俺を呼んだのか。


 つーかいい加減出てこいよ。

 なんだ?俺に顔を見せることが出来ないのか?

 いったい何で?


「それで何の話をするんですか?」


「そうね……昨日の撮影の話とかどう?」


「分かりました」


 俺は昨日の撮影について話をした。

 プロローグシーンとか、演出とかの話をした。

 会長が反応を見せたのは俺と翔が出会うシーンだった。


 まああの早送りとか、セリフとか迫力があったしな。

 俺も迫真の演技が出来たしな。


「逢坂君の演技見たかったですね」


 どのような表情をしているのか分からないが、声はとても楽しそうである。


「あの演技は良いできでしたよ」


 俺は自慢気に答える。

 今思い出しても素晴らしい演技だった。


「私のシーンはどうなりましたか?」


 会長も気になるようだ。

 まあ無理矢理会長権限を使ってまで撮影に参加したのに昨日は来なかったからな。


「会長のシーンは後回しになりました」


「そうですか……みなさんには申し訳ないことをしましたね」


 声は少し落ち込んでいる。

 やはり申し訳ないと思ってるのだろう。

 こういう所は真面目なようだ。

 

「大丈夫ですよ。会長のシーンと言っても1番始めのプロローグ部分だけですから」


 俺がそう言うと安堵のため息が聞こえてきた。

 ぶっちゃけ会長のシーンなんて30秒くらいのもんだ。

 それに撮影は順調に進んでいるからな。


「良かった」


「会長聞いても良いですか?」


 俺は気になっていたことを聞く。


「何でしょう?」


「ゴールデンウィーク3日目ってどこかに出かけました?」


「ええ、出かけましたけどそれが何か?」


「もしかして俺と恵を見たのはその時かな?と思いまして」


「ああ!そういえば生徒会長補佐にしたのも私の流した噂が発端でしたね。」


 おい、忘れんなよ!

 俺があの噂でどれだけ被害を被ったと思ってんだよ!

 男子に追いかけ回され、愛さんが不問にしてくれたからよかったものの危うく社会的に死ぬところだったんだぞ!

 

「ええ。その時に貴方達を見ました」


 これであの時この人がいたのは確定だ。

 愛さんの言ったとおりだったな。

 だがまだ謎は残っている。


「それではもう一つ良いですか?」


「何でしょう?」


「恵のことはその時知ったとして他の人はどうやって知ったんですか?4日連続で俺の行動を知っていたのは不自然すぎます」


「さすがね逢坂君。でもその方法を見破ったり動機が分かっていれば名探偵っぽかったんですけどね」


 うっせ。

 大きなお世話だ。

 俺は別に名探偵じゃねえし。


「あなたの言うとおりあなたの行動を知っていたのは偶然ではありません。私は入学当初からあなたに注目していました」


「なぜですか?」


「そうですね…きっかけは野球部に大型ルーキーが加入したと聞きました。さらに同時期に生徒会に入った恵さんの話を聞いて本格的にあなたを調べてみることにしました」


 確かに歓迎会でホームラン打ったり目立ってたよな。

 あと恵か、俺のことを言いふらしたのは。

 なるほど。

 会長が調べていたときに俺が何人ともデートをしていたから噂の餌食になった訳か。


 俺にも原因があったっぽいけどあれはないよな。


「会長はどうしてそうも噂を流すのですか?」


 これが分かれば目をつけられないように出来るかもしれない。

 俺は一途の望みをのせ会長に問いかける。


「それは……」


 会長が言いよどむ。

 よっぽど喋りたくないのか?


「何か言いにくいことでもあるのですか?」


「そういうわけではないのだけろれど……」


 うーん。

 あと一手なんだよな。

 何かないか?

 会長に喋らせる起死回生の一手が……


「何かあるなら言ってください!たとえどんなことだろうと笑ったり、怒ったりしませんから」


 俺はにっこりと微笑む。

 書類に阻まれお互いの顔は見えないが、反応した。


「嘘の可能性だってあるでしょう?」


 なかなか用心深いな。

 だがこれでチェックメイトだ。


「ならもし俺が喋れば俺が中学の時ものすごい中二病だったと噂してもらって構いません」


 俺の封印されし黒歴史まで喋ったんだ。

 これで終わりだろう。


「分かりました」


 会長はそう言うと席を立ち俺の方へ歩いてくる。

 その際今まで見えなかった顔がはっきり見えた。


 会長は銀髪ロングでキリッとした顔立ちであった。

 胸もでかくスタイルが良い。

 スゲー銀髪って本当にいたんだ。

 アニメの中だけかと思ってたわ。

 まあここもゲームの中なんだけど……

 

「それでどうして噂を流したのですか?」


「この容姿を見てもわからないのですか?」


「ええ。全く、これっぽっちも」


 なんだ。普通に美人じゃん。

 何をそんなに隠してんだ?


「私はこの銀髪のせいでいじめられてきたのです」


「ふ~んそうだったんですか」


 どんな理由かと思ったらありがちなことだったな。

 拍子抜けだ。


「ふ~んって、軽くないですか!?」


「いや要するに自分に注目が当たらないように噂を流して注意を分散させてたんでしょう?」


 憤る会長に正論をぶつける。

 ようするに会長は俺達噂の被害者を隠れ蓑にしてたわけだ。


「それは……申し訳ありませんでした」


 会長は俯きがちに呟く。

 だが俺はそこまで怒っていない。

 会長だって人間だし、嫌なことを言われたら気分も下がるだろう。


「俺はそこまで怒っていませんよ。ただどうしてもっと堂々しなかったんですか?」


「えっ?どうゆうことですか?」


「会長は美人なんですからもっと堂々としてれば良いんですよ」


 会長は顔を真っ赤にして俯く。

 こうしてると可愛いな。


「なるほど……恵さんの話してた通りですね。無自覚でこれは恐ろしいですね」


 なぜそこで恵が出てくる?

 あいつは一体会長にどんな話してんだよ。

 俺の表情を読み取ったのか慌てて弁明してくる。


「恵さんが悪いわけではありません。恵さんは私の為に噂を流す許可をくれただけです」


「許可?」


「はい。奏さんはあなたと奏さんの噂を流す許可をくださいました。そこで恵さんはあなたなら噂を流しても許してくれるから大丈夫だとおっしゃってました」


 恵がそんなことを……

 どうりで噂が流れたとき俺に詰め寄らなかったわけだ。

 恵は知ってたんだ。

 俺に1言くらい言っとけよ。


「そうだったのか。恵が許可を出したのなら仕方ないな」


「本当に許してくれるんですね?」


 会長が心底以外そうにしてる。

 俺は何の理由もなく人を傷つける行為はどんなことがあっても許さないが何か理由があった場合は問答無用で責めたりしない。


「ああ、もちろんだとも」


 あっ喋り方敬語にするの忘れてた。

 やっちまったな。


「やはりあなたはため口の方が活き活きしてますね」


「そうか?」


「ええ。その喋りかたの方が良いです」


 そんなに敬語は似合わないのか。

 そして今も顔に出てんだろうな。


「じゃあ会長もこれから堂々としろよ」


「えっそれはちょっと……」


 いやそこは頑張ろうぜ。

 勇気をもってさ。


「頑張れよ。そこは」


「でも……」


 なんか急に弱気になったな。

 こんなんが会長って大丈夫かよ。


「会長なら大丈夫だよ。自分に自信を持てよ」


「本当ですか?」


 自信なさげだな。

 

「たとえ批判されても俺はずっと会長の味方だから」


 俺は笑顔でアニメの主人公が言うようなセリフを言ってみた。

 このシーンで言ったら効果覿面じゃね。


「………」


 ほら、会長顔真っ赤。

 これは落ちたんじゃね。


 キーンコーンカーンコーン


 あっ下校時刻だ。

 そろそろ帰るか。


「会長。そろそろ帰るわ」


「はい。分かりました」


 友達が7人に増えました。印象力が5上がりました。


 よし!少しずつ印象力が上がってきた。

 俺は寮へ帰った。

 帰った後にスマホで恵に電話する。


『もしもし零?どうしたの?』


「おい恵。お前会長に噂を流して良いと言ったそうだな」


『あ~聞いちゃった?』


「ああ、聞いたよ」


『ごめんね。黙ってて』


「はぁ~もういいよ。とにかく今後こういうことはやめてくれ」


『はぁ~い』


「それじゃ切るぞ」


『うん。またね』


 とりあえず恵と話すことは出来た。

 今日はさっさと寝よう。

 俺は晩飯を食べ風呂に入り寝る。


 5月30日(金)


 今日はなんか緊急集会があるらしい。

 多分あれだな。遅刻指導だろ。


 恵が「今朝遅刻指導とかめんどくさい。なんでみんな遅刻するかな」とぼやいていたからな。


 俺は体育館に行く。

 集会は基本体育館でやる。


「みなさん!早く集合してください!」


 会長が舞台上で声を張り上げていた。

 生徒の中には会長を見てどよめいてる人もいる。

 まあ銀髪は珍しいからな。

 それに集会のときに会長が前に立つのは珍しいというより俺の知る限りでは初めてだ。


 俺が会長を見てると目があった。

 俺は会長に笑顔を見せ頷く。

 会長は笑顔を見せ手を振る。


 うわっまた目立つことを……

 ほら皆気づいちゃったじゃん。


 男子の視線に居心地の悪さを覚えながらも会長の変化に俺は笑顔を見せるのであった。

  





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