女性陣の気持ちの物語
5月10日(土)
「あー、休みって素晴らしい」
俺はしみじみ呟く。
ゴールデンウィークは全てデートに費やし、学校が始まってからも男子に門を塞がれたり、生徒会長の提案で鬼ごっこやったりと激怒の1週間であった。
今日は一日だらだら過ごすことにしよう。
さて今は7時である。
よし!
二度寝しよう!
俺は布団に戻る。
俺の家は布団である。
ベッドでも良いのだが、俺は子供の頃から布団で寝ていてベッドで寝るのは旅行に行ったとき位なので布団の方が寝やすい。
やっぱり慣れだよな。こういうのって。
俺が次に起きたのは午前9時。
疲れも大分取れた。
疲れが取れると今度は暇になってくる。
何をしようかな?
印象力と効率力をなんとか上げたいところだ。
俺は数学の勉強で効率の良い計算式で問題を解いてみる。
効率力が1上がった。
たったの1か……
他に何かないかな?
俺は机の引き出しを効率よく物を取り出せるように整理する。
効率力が2上がりました。
上がりはするが、今ひとつだな。
よし!
なら今日は部屋中片付けてしまうか。
これで効率力が5以上上がれば儲けものだな。
まずは本棚の整理をする。
巻数を綺麗に並べ、さらに五十音順に並ぶようにしてみた。
効率力が2上がりました。
次にキッチン回りを整理する。
食器を全て棚にしまい調理器具を壁にかけたり引き出しにしまったりと綺麗にしていく。
効率力が2上がりました。
少しずつ効率力が上がってきたな。
やはり片付けての極意のお陰だろうか?
片付けの極意とは片付けの要点をまとめた5つの工夫である。
1つ目―モノを捨てる、だ。
災害が訪れたとき何を持ち出して逃げるのか?
これを意識すると大抵のモノは捨てることが出来るそうだ。
後は優先順位を決めて最後に残ったモノから捨てていくのだそうだ。
2つ目―時間を掛けない、だ。
捨てるのか残すのかパッと決めてしまうことが大事らしい。
迷いが生じた場合は一時的に保管して後で決めると良いようだ。
3つ目―ポジションを決める、だ。
それぞれの収納する場所を決めるといいらしい。
場所を固定して使ったら元の場所に戻すのが良いらしい。
4つ目―特に重要なモノをキープする、だ。
災害が訪れたとき何を持ち出して逃げるのか?
1つ目と同じ問いだが、これを考えたとき1番最初に頭に浮かんでくるのが特に重要なモノらしい。
5つ目―期限を決める、だ。
1度にやるよりも期限を決めてやると良いらしい。
勉強とかと一緒で続けることが大事らしい。
この5つの工夫を守ればかなり効率よく片付けが出来る。
5つ目はやらなかったもののそれでもかなり綺麗になった。
俺は時計を見ると12時だったのでお昼ご飯を食べる。
今日のメニューは昨日の残りのから揚げだ。
ご飯と卵焼きはちゃちゃっとさっき作った。
ピーンポーン
誰か来たみたいだ。
俺は片付けてを終わらせ扉を開ける。
「はーい」
「こんにちは零君」
「あれ?美咲。どうしたんだ?」
「疲れてるんじゃないかと思っていろいろとお世話しようと思って」
「別にそんなことしなくても大丈夫だよ!?」
俺は美咲のセリフに慌てる。
「何をそんなに慌ててるの?」
俺は改めて美咲を見る。
美咲はいろいろと材料の入った鞄を持っていた。
あ、世話ってそういう意味か。
てっきり看病イベントかと思ったじゃないか。
まあ手料理が食べられるならそれもアリか。
そういえば美咲のお姉さんの料理は美味かったけど美咲はどうなのだろう。
ピーンポーン
また誰か来た。
俺の家に来てくれるような人いたっけ。
「はーい」
「零、元気?」
「逢坂君大丈夫かい?」
「零さん生きてます?」
そこにいたのは恵、愛さん、奏ちゃんの3人だった。
奏ちゃんは毒舌だな。
2人は心配してくれてるのに奏ちゃんだけ「生きてます?」だもんなぁ。
「零さんなんですか?その目は」
おっとついジト目で見てしまった。
「いや、別に。それより3人とも何しに来たの?」
「ほら、うちの会長が迷惑かけたからそのお詫びよ」
あ~恵は生徒会役員だもんな。
単純に俺を心配とかないよな。
「私は純粋に君を心配してきたんだよ」
さすがは愛さんだよ。
優しいな、本当に。
「私はその……零さんが男子に目をつけられたのって私にも原因があったみたいだし」
奏ちゃんは罪悪感を感じてたっぽい。
一概には奏ちゃんだけが悪いってことはないんだけどな。
「零くーん。いったい誰が来たの?」
そこで美咲が顔を出す。
「「「!!」」」
三人がなんか衝撃をうけている。
もしかしてあれか?俺を心配してくれている女子がいたことに驚いてんのか?
余計なお世話だよ。
「ちょっと零。なんで桜さんだっけ?がいるのよ」
「なんでって、そりゃあ心配してきてくれたに決まってんだろ」
恵の少し非難のまじった質問に即答する。
するとなんか小声で「先を越されたか」などと口走っている。
「まさか、ここまで好感度を上げていたとは……」
「零さん抜け目ないですね」
2人もなんか冷たい気がする。
3人の様子が少しおかしい。
そんなにクラス1の美少女が俺の家にいるのがおかしいのか。
「もしかして嫉妬してるのか?」
俺が冗談で言うと空気が凍った。
え、地雷踏んだ?
なんで?
「はぁ、零はたまに冗談で核心ついてくる時があるよね」
「確かに…逢坂君はあれで無自覚だから恐ろしい」
「零さん絶対今もなんでこんな空気になってるのか分かってませんよ」
3人が後ろを向き話し合っている。
俺には何がなんだかわかんない。
「零君。もう少し空気読もうよ」
美咲にまでよく分からないことも言われた。
空気を読め?
俺は空気を読んで重い空気を吹き飛ばそうとしたんだぞ。
ちゃんと空気読んだのになんでそんなことを言われないといけない。
「そもそも零に空気を読めってほうが無理あるのよ」
「そうだね。ここはさっきまでの一連の流れをなかったことにしたほうが良さそうだ」
「ですね」
3人は突然こちらを振り向いた。
「零、家に上がらせてもらって良い?」
「ああ、それは構わないけど」
そういうやいなや3人が俺の部屋に上がっていく。
一体何なんだ。
態度がコロコロ変わりやがって。
「零君。私たちも部屋に戻ろう?」
「そうだな」
俺と美咲も部屋に戻る。
そこには四角い机を囲んでいる恵、愛さん、奏ちゃんの姿があった。
残り1人しか座れない。
美咲が空いている所に座る。
俺がどこにも座れない。
俺はとりあえず飲み物を取りにキッチンへ向かう。
うーん。オレンジで良いか。
俺はコップを4つ用意してオレンジジュースを順に入れていく。
それをトレイに乗せみんなの所に運ぶ。
「はい。オレンジジュースだ」
俺は順にコップを机の上に置いていく。
「ありがとう」
「ありがたくいただこう」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
4者4様の答えが返ってくる。
俺はみんなから少し離れたところに椅子を持ってきて座る。
沈黙が重い。
誰かしゃべって。空気が重いんだよ。
「ねえ零。高級ケーキが食べたい」
はぁ!?恵は何を言ってんだ!?
やっとしゃべったと思ったら高級ケーキを食べたいだと。
「そんなものこの寮にはないぞ」
「なら、買ってきて」
「なんで俺がそんなこと……」
「良いじゃない!さっさと行ってきて」
「だいたいどこに売ってんだよ?」
「えーと駅前にある店よ」
「まあ、ここからなら往復30分くらいだし良いか……」
「ちなみにその店超有名だから今の時間帯だと1時間待ちよ」
「はぁ!?なんでそんなとこ選ぶんだよ!?」
「良いじゃない。とにかく買ってくるまで帰ってきちゃ駄目よ」
「理不尽だ!」
「逢坂君、行ってくれないかな?」
「零さんお願いします」
「零君お願い」
な、ここで援護射撃だと!?
これではもう行くしかないではないか。
「くっ分かったよ」
俺は駅前のケーキ屋を目指して出かける。
◇
「やっと行ったわね」
「それで零君を出掛けさせて何をしようとしてるの?」
「自己紹介とかどうかと思ってね」
恵と美咲が火花を散らしている。
それを見かねた愛が止めに入る。
「まあまあ、そこまでにしてさっさと要件を済ませましょ」
「愛さんの言う通りですよ。零さんがいつ帰ってくるのか分からないんですから」
「それもそうね。私は一色恵よ。零とは幼馴染なの。よろしくね桜さん」
「私は六角愛だ。逢坂君とはバイトの先輩後輩の関係だ」
(愛さんさらっと嘘をついたわね)
恵と奏は同時にそう思った。
いうなれば六角愛は逢坂零の上司でありバイトの先輩後輩の関係ではない。
「私は四ツ原奏よ。私は零さんの親友の翔の親戚なの」
(奏ちゃんもさらっと嘘ついてるじゃない)
恵はそう思ったが口には出さなかった。
なぜなら兄妹なのに名字が違う理由を説明するのがめんどくさかったから。
「そうなんだ。私は桜美咲。零君とは同じクラスで仲良くしてもらってるよ」
「フーン。そうなんだ。それにしては休日も零の家に来るとか世話を焼きすぎな気がするけど?」
「えっ!それはその……だって零君のこと好きだし……」
「「「!!」」」
三人はまたもや衝撃を受けた。
あのゲーム作りにしか興味を示さなかった逢坂零が美少女を落としていたから。
自分たちしか逢坂零を見ていないと思っていたから。
「そういう反応するってことはみんなも零君のことが好きなのかな?」
「う、うん……」
「まあ気にはなってるかな……」
「そ、それは……」
この時奏だけが口ごもった。
それは恥ずかしさからではなく夫への罪悪感から。
奏は夫はロクでもない人だと考えている。
結婚した途端浮気を始め、さらにリストラされたのをきっかけに働かなくなっていた。
それでも離婚もしてないのに零に思いを寄せるのは罪悪感が許さなかった。
しかしここはゲームの中「ロクでもない夫もいないし零は優しくしてくれる」そんな状況が奏の心を素直にし始めていた。
しかし零を好きかと聞かれ現実を思い出してしまった。
それゆえに口ごもってしまった。
恵と愛はそんな奏の心情を知っている。
だから何も言ってこない。
しかし美咲は違う。
美咲は何も知らない。
「四ツ原さんはどう考えてるの?」
だからこの質問は奏の心情を聞いただけのもの。
が、結果的に奏にはこう聞こえてしまった。
「夫がいるのに零君に思いを寄せるなんてなにを考えてるの?」
正常な状態ならこうは聞こえなかっただろう。
しかし奏は正常ではなかった。
この言葉に耐え切れなくなった奏は部屋を飛び出してしまった。
「奏ちゃん!?」
恵が叫ぶが奏は止まらない。
◇
俺はケーキを持ち寮に帰っていた。
すると奏ちゃんがこちらに向かって走ってくる。
何があったのか分からないが泣いてるようだ。
「奏ちゃん!」
俺が呼びかけると奏ちゃんはようやく俺に気づいたようだ。
「零さん……」
「どうしたの?」
俺はなんとか粘り奏ちゃんから話を聞き出すことに成功した。
要は夫がいるのに別に好きな人が出来たことを責められたようだ。
「ねえ奏ちゃん。別に他の人を好きになっても良いんじゃない?」
「えっ」
「ここはゲームの中だよ。法律で一夫多妻制が認められてるんだ。愛さんに聞いたことあるけど多夫一妻制も多夫多妻制もあるらしいよ」
「あっ!」
奏ちゃんは思い出したように声を上げる。
「だからさゲームの中くらい正直になっても良いんじゃない?現実でも離婚しちゃえば浮気にはならないし」
「そうですね……。私、自分にもう少し正直になります」
「うん。それがいいよ」
「それで零さんにお願いがあるんですけど……」
「何かな?俺にできることだったら何でもするよ」
「ならもう少し寮に帰らないでください」
「うん分かったよ」
◇
「どうしよう?探しに行ったほうが良いんじゃない?」
美咲がオロオロしている。
「大丈夫だよ」
ただ恵と愛は余裕すら見える。
そこに奏が戻ってきた。
「みんな、ごめん」
「四ツ原さんごめんね。何か私余計な事言ったみたい」
「ううん。別に桜さんは何も悪くないよ。それよりさっきの質問なんだけど私も零さんのこと好きだよ」
そういった奏は輝いていた。
同性である、美咲や恵、愛さんが見とれるくらい。
「そっか。ならみんなで零君のお嫁さんになろうよ。この国一夫多妻制なんだから」
「「あっ」」
そこで奏と愛が声を上げる。
「そうだった。多夫多妻とか一夫多妻が認められてるんだった」
「そういえば、自分でプログラムしたハズなのにすっかり忘れていたよ」
「ならこれからはみんなで同盟を組もう」
「あっそれ良いね」
「逢坂零君を落とそう同盟結成だね」
そういって4人の絆が深まったのでした。
◇
「はぁいつまで外にいれば良いんだろ?」
俺はみんなに思い出してもらい迎えに来てもらうまで寮の近くにある公園でため息を履き続けたのであった。
いやーシリアスっぽいの書くの難しかった。
ちゃんとシリアスになってるかわかりませんが楽しんでくれたのなら幸いです。




