男子vs零の物語
昨日は投稿できなくてすいません。
いろいろと忙しかったもんで……
それではちょうど10話目お楽しみください。
5月8日(木)
ピピピピピピ!
目覚ましが俺の意識を覚醒させる。
現在の時刻、午前4時。
なぜ俺がこんなに早く起きたのかといえば昨日の出来事が原因だ。
昨日、生徒会長七草御影にゴールデンウィーク中の出来事を噂として広められ、その際俺が可愛い女の子と日替わりで出かけていたことが男子に知られてしまう。
放課後には正門と裏門を男子生徒で固め俺を捜そうとしていたほどだ。
今朝も寮の前で男子生徒が待ち構える可能性がある。
故に俺は正門が開く午前6時には学校についていようと考えた。
昨日も正門に固まっていたところを先生に注意されていたので学校なら安全なハズだ。
俺はまだ暗い中、学校へ行く準備をし近くに男子生徒がいないか確認してから学校へ向かう。
俺は念のため遠回りをしいつもより時間をかけて学校まで行く。
午前5時、学校に到着。
門はまだ閉まっている。
俺は誰も見ていないことを確認し門を乗り越える。
そして泥棒などがよくやる針金を使ったピッキングで校舎の鍵を開ける。
スキル『ピッキング』を手に入れました。
俺は校舎内に入り込むと誰も来ないであろう空き教室に身を隠す。
この空き教室は幽霊騒ぎなどがあったらしく誰も近寄らなくなったのだとか。
俺は幽霊とか信じないタイプなので平気だ。
俺はそこで一眠りする。
さすがに4時起きはきつかった。
次に目覚めたのは7時50分であった。
午前8時
だんだんと生徒数が増えてきた。
それもそのはず。なぜなら8時20分を越えて登校すると遅刻になるからだ。
皆少し早目に来るのでこの時間帯が登校してくる人が多い。
俺は自分の教室へ向かう。
教室に入った瞬間、クラスメイトの男子全員から睨まれる。
視線で人が殺せたなら俺はすでに死んでいるだろう。
それだけの数の視線が俺に集中していた。
「おはよう零君」
「おはよう美咲」
美咲が笑顔で挨拶をしてくれる。
男子からの視線が強まる。
勘弁してくれ。
「ねえ零君。今日はどうやって学校にきたの?」
「普通に歩いてきたけど……」
何、当たり前のことを聞いているんだろ?
「どうしてそんなこと聞くんだ?」
「だって今朝男子寮に行ったら零君の部屋、包囲されてたんだよ!?」
やっぱりか……
用心して朝早く寮を出たかいがあったな。
もしいつも通りに学校に行こうとしていたらどうなってたことか。
「今日はいつもよりかなり早く家を出たからな」
「もしかして予想してたの?」
「まあ、用心の為に一応早く家を出たって感じかな。まさかこんなことになるとは思ってなかったさ」
「でも良かったよ。零君が無事で」
「心配してくれてありがとう」
近くの男子が舌打ちしたのを見た。
明日からまた別の作戦を考えないとな。
もう早起き作戦は使えなさそうだ。
俺はその日ほとんど寝て過ごした。
朝4時起きで学校来てとかハードすぎる。
放課後には眠気はとれていたが、疲れはまだ残っている。
今日は昨日の先生の言葉が耳に残っているのか誰も俺に接触してこなかった。
そして生徒会長がやると言っていたらしいことも起きない。
先輩に騙されたのか?
俺が帰り支度をしていると放送が流れてくる。
『みなさん。生徒会長七草御影です』
生徒会長?なんで今頃?
『みなさん既にご存知の方もいるでしょうが、昨日男子生徒が正門と裏門を塞ぐという事件が起きました』
あれを事件と呼んでいいのか?
甚だ疑問の残る説明だ。
『男子生徒に理由を聞いたところ、ある1年生に嫉妬したという動機で事に及んだという説明を受けました』
うん。誰のせいかなぁ?
100%アンタの仕業だよな?
『そこで!ただいまより男子対嫉妬を受けた1年生逢坂零君で勝負をしてもらいましょう』
はぁ!?
俺なんも悪いこととかしてないのに。
俺被害者なのに。
『勝負内容は校舎すべてを使った鬼ごっこ!鬼は男子生徒全員!逃げるのは逢坂零1人!』
意味分かんね。
不公平すぎる。
一体この学校に何人男子生徒がいると思ってんだ!
『ちなみに学校側の許可は取りました。これで何も問題ありません!』
問題大ありだ!
まず逃げ切れねえし。
俺が参加するメリットがない。
負けた時のリスクが大きすぎる。
「何をさせられるのか分からない」
これが一番のっちゃいけないパターンだよ!
それに勝利条件が分からない。
なにより時間の無駄だ。
『制限時間は下校時刻までの1時間!』
長すぎだろ!
そもそも囲まれた時点で俺終わりだろ。
『男子生徒が勝った場合零君になんでも1つ命令出来ます』
なんでもとか最悪だ。
結局なにされるのか分からんままだし。
『対して逢坂君が勝った場合は生徒会に入れてあげましょう』
俺にメリットがないことが決まりました。
生徒会とか入る気がねえ。
勝っても負けてもメリットがないとかますます参加する意味が分からん。
馬鹿馬鹿しい。
帰ろう。
俺が荷物を持って教室を出ようとすると男子生徒に囲まれている。
しまった。
教室内にはこいつらがいるんだった。
『ちなみに勝負中に逢坂君が寮に帰った場合無条件で男子側の勝ちになります』
しかも男子に囲まれ生徒会長の言葉で追い詰められた。
既に退路は断たれている。
とにかく今は逃げの一択だ。
『女子の皆さんは男子側、逢坂君側どちらについてもらって構いません。もちろん参加しなくても構いません』
女子まで巻き込む気か!
俺は男子を躱して廊下に出ながらツッコむ。
『ただ参加される場合は生徒会室前に置いてある参加の証であるバッチを胸に付けてくださいね』
俺は廊下を走り続ける。
途中男子が俺を足止めしようと追いかけてくるが、すべて撒く。
そして現在俺は図書館にいる。
校舎を出てから放送が聞こえなくなったのでどうなってるか分からないがすでに鬼ごっこは始まっていると考えて良いだろう。
俺は本棚に身を隠しながら入口を窺う。
まだ男子生徒はやってきていない。
このまま1時間たってくれないかな。
しかし俺の願いはかなわかった。
男子生徒が20人ほど入ってくる。
まだこちらに気づいてないようだが時間の問題だろう。
俺は男子に気づかれないように図書館を出る。
次に校舎の陰に身を隠す。
「零?何やってるの?」
俺は慌てて振り返る。
そこにいたのは書類らしき紙束を抱えてる恵だった。
バッチはついてない。
つまり鬼ごっことは無関係の人物だ。
「何だ。恵か」
俺は周りを警戒しながら言う。
「何だとは何よ」
恵は文句を言ってくるが俺はその言葉に軽口を返す余裕はなかった。
俺は簡潔に恵に説明する。
「遊園地にいった帰りに俺に…その……キス、しただろ?」
俺は言ってて恥ずかしくなってきた。
「うん」
恵は顔を真っ赤にしながら肯定する。
「それが生徒会長に見られていてな噂としてばらまかれたんだ」
「うそっ!御影さんに見られてたの?」
恵も気づかないとかステルス機能高すぎだろ。
「それでその噂のせいで男子生徒に恨まれてな。なぜか鬼ごっこをすることになったんだ」
「何それ?」
「知るか!会長に聞いてくれ」
「なんで御影さんが出てくるの?」
「この鬼ごっこの発案者が会長だからな」
「昨日何かやってると思ってたけどそんなことしてたのね」
「それより恵はなんで放送聞いてないんだよ?」
「私図書館で仕事してたのよ。それでこそこそ出ていく零を見かけたから追っかけてきたのよ」
そういうことか。図書館は放送流れないもんな。
俺はこちらに近づいてくる男子生徒を発見し早々にその場から離脱する。
「悪い恵。追手が来た」
「はぁ?」
混乱している恵を置いてけぼりにし俺はコンピュータールームに逃げ込んだ。
俺は電気をつけず机の下に隠れる。
俺はスマホで時間を確認する。
残り40分。
「見ーつけた」
ビクッ!
俺は恐る恐る声のしたほうを見る。
そこにいてのは俺の味方を表すバッチをつけている愛さんだった。
「愛さんですか。驚かさないでくださいよ」
「面白いことになってるね」
「逃げてるこっちは必死ですよ」
本当に面白そうにしている愛さんにツッコミを入れる。
しかし愛さんはこちら側についてくれるのか。
これは心強い。
「ははっそうだろうね。さて、現在男子生徒は1年校舎を中心に君を捜している」
1年校舎か…
ここにいれば10分くらいは稼げるか。
「現在、社長と三上君が男子生徒の足止めに動いてくれている」
「社長と後輩君が、ですか?」
社長はともかく後輩君が協力してくれるとは……
「そうだ。だが長くはもたない」
「翔は?」
もし翔も味方に付いてくれるのら百人力なんだが。
「二神君は帰ったようだ」
おおいっ。
いや、まだ敵にならなかっただけマシか。
「とりあえずここを移動したほうが良い。見つかったら終わりだぞ」
「分かりました。それでどこに行けば?」
「そうだね……生徒会室に乗り込むのも悪くはないがあの会長さんが勝負を取り消してくれるとは思えないし……男子禁制女子更衣室あたりが現実的だろう」
えっ女子更衣室?
それ俺が社会的に死んだりしないよね?
「それ大丈夫なんですか?俺も男子なんですけど……」
「大丈夫さ。君が思っている以上に女子は君に協力的だ」
そうなのか……
意外だった。
まさか俺に女子が味方してくれるなんて。
「まったく入学してまだ1ヵ月だぞ。どうしたらここまで好感度を上げることが出来るんだ?こうなるなら好感度のパラメーターも作っておくべきだったか……」
愛さんが本気で悩み始めた。
今はマズすぎる。
「愛さん。今はその辺にしてとりあえず移動しましょう」
「おっとそうだった。それでは行こう」
俺達は女子更衣室に行く。
うっ本当に俺が入っていいのか?
「何をしている?早く入れ」
「は、はい」
俺は愛さんに押し切られ女子更衣室に足を踏み入れる。
愛さんに押し切られて。
決して自発的に入ったわけじゃない。
扉からは見えないところに移動する。
ふぅ。
ようやく一息つけた。
「はぁ~疲れた」
誰か入ってきた。
えっ
これってマズくない。
俺は入ってきた女子生徒の前に出ようとするが、時すでに遅し。
女子生徒はすでに着替え始めていた。
俺は出来るだけ見ないように部屋の隅で息をひそめていた。
布をこする音だけが聞こえる。
なんか見るよりエロく感じる。
しばらく息をひそめようやく女子生徒は出て行ってくれた。
「あっぶねー。あやうく社会的に死ぬところだった」
「今のは予想外だったね」
俺は隣を見る。
愛さんの存在忘れてたー!
マジで死んだ!?(社会的に)
「大丈夫さ。今のは私も想定してなかったし君はちゃんと見ないようにしていたからね。黙っておこう」
た、助かった。
愛さんが理解のある人で良かった。
これが恵だったら1週間は口もきいてくれなくなるところだった。
俺は時刻を確認する。
残り15分だった。
あと少しだ。
がんばれ俺!
そんな決意とは裏腹に女子更衣室に入るような勇気のある男子はおらずそのまま勝負は終わった。
あっさり終わり過ぎだろ。
今までの苦労はなんだったんだ!
『鬼ごっこ終了ー!勝者は見事1時間逃げ切った逢坂零君です!』
放送で勝者がコールされる。
これで男子が大人しくなってくれたらな。
『それでは逢坂君は生徒会会長補佐として生徒会入りをしてもらいます』
そ、そうだった。
なんかそんな景品だった。
『逢坂君がこの放送を聞いてるとして説明します。生徒会長補佐はその名の通り生徒会長を補佐する仕事です。しかし私はほとんど補佐を必要としません。なので形だけです。生徒会室にきて仕事をしなければいけないとかはありません。我が高校の生徒会という肩書はそれだけで大学受験および就職に有利になりなす』
それってこのゲームの大学編をやることになったときメッチャ良いオプションになるんじゃないか?
肩書『生徒会長補佐』を手に入れた。スキルの他にも肩書なんてあったんだな。
「逢坂君これは凄いことだよ!」
愛さんが珍しく興奮している。
「何がですか?」
「今肩書を手に入れたでしょ!」
「ええ」
「その肩書は恵ちゃんも持ってるんだけど肩書ってなかなか手に入れることが出来ないんだよ!」
愛さんの話は長かったので要点をまとめるといちばん簡単な肩書の取り方が生徒会に入ることらしい。その中でも『生徒会長補佐』と言うのは会長に指名されなければいけないので取るのが困難らしい。ちなみに肩書で1番取るのが難しいのが『勇者』らしい。これはゲームの設定を危険度MAXにしてさらに大事件を解決するか、たまに危険度MAXで発動するという異世界召喚で魔王を倒さないといけないらしい。つーかゲーム内に異世界召喚があるとは思わなかったな。
とにかくこうして2日間にわたる『噂から嫉妬事件』は幕を閉じた。




