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聖女と勘違いしてなぜ覚醒しないと責めた側があとになって後悔することになるが知るものか  作者: リーシャ


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7/8

07詰めが甘いのだ、なにもかも

人選を間違えたというやつではないか。曖昧な言葉で終わらせる妖精の隣に、愛し子の恋人でもある妻が現れる。


「え?なぁに?ヤミン?」


 恋人の愛し子はルフェインとパルミティアを不思議そうに見る。今まで凄く妖精に大切にされてきたのだろう。そのために与えられたものの対価を知らずに。


「闇の妖精の人型の剥奪と、愛し子の妖精の加護の剥奪が決定した」


「えっ、彼女の加護までっ?」


「お前なぁ、少し考えればわかるだろ。妖精の加護は精霊のお前の魔法だろ。お前が下級になったら加護は勝手になくなる」


「あっ……そ、そうだった」


 今まで恋人が、妖精の愛し子だったのは闇の精霊に愛されていたから。ただの妖精に愛されたところで、加護を与える力も消失するってことだ。恋人はきょとんとした顔で闇の精霊の方を見ると、不安そうに腕を掴む。


「どういうこと?ヤミン」


「あ、いや、その……」


 ルフェインが説明しようと最初から最後まで彼女へ教える。愛し子に嫌なところを教えたく無さそうな男では、肝心なところを言わないまま終わるだろうしなと。説明を終わらせてすぐ、愛し子の女性はこちらに平謝りしてきた。


「すっすみませんでした!まさか、私を助けるための対価をもらっていたのに、放置してなにもしなかったなんて……!」


 本当にすまないという気持ちがこもっていた。本当に悪い男とは大違いの、心のこもり方だなあ。


「いや、謝らなくていい。お嬢さんは全く関係ない。妖精の加護がなくなるが、どうする?こいつとは引き離すが。どこか治安のいい土地に移してやれるぞ」


「わかりました。それでお願いします」


「ま、まって!まってレシィ!」


「さようなら、ヤミン。助けてくれてありがとう。この結末はきっと決まってたのよ」


 レシィは泣き笑いを浮かべてヤミンの手を握る。


「れ、レシィ!いやだ!どこにも行かないでっ!」


「ヤミン、お仕事を放棄したらこうなるのよ。次は忘れないで」


 最後の最後に一言、助言を与えて彼女は消えた。安全な土地に移動したらしい。暫く闇の精霊はぶつぶつ泣いていたが、こちらを見る。


「低俗な人間を助けなかっただけなのにあんまりだ」


「お前の恋人も低俗な人間だぞ」


 お前の言うな、とルフェインが反撃する。


「おれのレシィとそこの女を一緒にっ!うぐああああああ!!?」


 突然ヤミンが頭を抑えて地面に転がる。


「はぁ、逆ギレは感心しないぞぉ?」


 相手は目は笑っているのに、瞳の中は真に笑ってない。それに気付かない相手は言いたいことを言う。やめておいた方がいいのでは?


 男神は冷めた目でやつを見る。パルミティアも子供を見る目を向けた。塩対応する。それについて来れない精霊は戸惑って正気を保とうと瞳を揺らす。馬鹿だ。


 別に別れは一時的なだけで、この世から消えたわけではないのに。なぜ自虐的になるのか。一時的でもほんの少しでも彼に感謝してありがとうと言えばよかったのに。こちらへ悪態をつき、必要のない醜い言葉で酷く罵倒した。


 本来ありえないはずの人型になって、欲が出てしまったのかもしれない。しかし、彼女は人型になって救われたのだからそれでいいと納得するべき。


 優しそうな彼女は少なくとも感謝していた。自分を助けた男の詰めの甘さに後悔しているが、それだけではダメだって気づけばよかったと愛し子は謝った。


 知るよしもないのに、こちらへ謝ってきた。それは本来、男がしなければならないこと。それで許されたのに、彼は最後の最後に地雷を踏んでしまった。

 彼女の愛を踏みにじった。今まで築き上げ注いできた絆は、どこに行ったのだろうと悲しみにくれるに違いない。


 精霊は普通の妖精なった場合、なにもせずにいると空気と共に消えるとの事。寿命らしい。

 精霊ならば人よりも長く生きられるが妖精の場合魔力と同じくらいの儚さらしい。何故、そんな妖精が女の子を心配したりできたのかというと、妖精から精霊に進化すると賢くなり自我を持つんだそう。勉強になるな。


 闇の妖精になる彼は目を伏せて人型を光の粒と共に消失させていく。残ったのは、小さな光の玉。ルフェインは目を平坦にさせ、穏やかな顔を浮かべる。


「お前だけのせいじゃない。限りある命でまたあのお嬢ちゃんのとこに行けばいい。言葉なんてなくてもいいだろ。本来、妖精でも精霊でも……そういう存在だったんだ」


 ルフェインは女の子の記憶は決してないけれど、闇の妖精の記憶は消すからなと告げる。それは、女の子のことになにかあればすぐに手を出してしまいそうになるだろうからということだ。


 自我が無くなるだろう妖精は震えて森の向こうに進み、二人の前から消えた。会えなくなるのは会えるまでの話にした。と、ルフェインはこちらを向いて謝ってくる。


「私は妖精のことは知らなかったからあんまり恨みとかないよ。もう終わってることだし」


 だから、ルフェインの好きにすればいいと頷く。


「いいのか?甘いと怒らないんだな」


「今度はルフェインの報酬なしでまた会うんなら、あとは当人達の問題かなあって」


 ルフェインは最後、震えた時にパルミティアに謝っていたことを教えてくれた。よくわからない罵倒をされた。


 なんせ、パルミティアは別に妖精を蔑んだり馬車馬のように働かせた人とは別人であるし、さらにいうと世界まで違うからすごく他人事。例えばファンタジー生物のゲームによく出るエルフにゲームの中のキャラクターに罵倒されたとして、異世界設定のゲームであって。

 現実にはエルフがいないから自分ごとじゃない。みたいな、別世界のことだし関係ないって感じだ。

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― 新着の感想 ―
助けなかった妖精へのざまぁは新鮮。これがあと4人分か。
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