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聖女と勘違いしてなぜ覚醒しないと責めた側があとになって後悔することになるが知るものか  作者: リーシャ


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05出来損ない嘘つき聖女はいなくなりますね

誰に向かって訴えようとしたのか、漸く理解し始めたみたい。遅いが。

 うっそりと闇を抱えた笑みを浮かべたパルミティアは、ぞくりと背筋を震わせる。世の中に出回っていた懲悪を、ばっさりする物語が流行った片鱗に納得したのだ。


「ルフェイン。ありがとう」


 罪の文字を刻んでくれた彼。協力的で大変助かる。


「嫁さんの願いならなんでも叶える」


 その言葉は本当に蜜だ。いけないいけない。下手するとなんだか線引きを飛び越えそうになる、甘美な言葉。


「これからに期待するね。まだまだ色々やりたいことあるし、やり返したいし。報復色々考えたい」


 物理的に痛めつけてなくても、精神的に痛めつけてきた人は沢山居る。出来損ない聖女とか、嘘つき聖女とか悪口を言われていた。平民だったから余計に言いやすかったんだろうさ。


 他にも好き放題言われてきた。恐らく魔法教会や王家はパルミティアが、父親の暴力に日々晒されていることを把握していたのではないかと、思う。


 大体にして、顔が腫れていたりボロボロになっていたのを皆知っていた。近所では知らない人はいなかったと自分も肌で感じ取り知っていたし、コソコソこちらを見る目は哀れみ。


「なっ、まだ終わらないと」


「そんなぁ。なんでっ?」


 王家には悪いところが多い。聖女認定はなんのためにある?保護するため。その保護の部分が機能してない。赤ん坊の自分には説明されなかったが、親には説明されただろう。


 甘い言葉に期待がザクザク掘り出されたからこそ、聖女認定された娘が聖女としての力を覚醒しないことに焦れて、腹が立って仕方なかったのだろう。


 目の前にニンジンをぶら下げられた馬。待たされた馬の状態で興奮させておいたのちに、馬はどんな行動を取る?我慢する?

 いいや、ない。ニンジンにかぶりつこうと、すごい形相で食べようとする。しかも、そのニンジンを十年以上ぶら下げられた人間はどうなる?


 ニンジンをくれない相手の手を噛むか。答えはニンジンをもらえない原因の相手に発破をかける。または、覚醒するように追い詰めていく。

 ご褒美が提示されている、見えるのにもらえない悶々とした日々に精神が崩壊し出し、こいつのせいだとパルミティアに手をあげだしたと推測する。


 本当はなんなのかなどパルミティアには関係ないが。ないからこそ、父親のことを見捨て家族を見捨てる。男神のルフェインはにこにこ笑ってパルミティアの肩を緩く持つ。


「償わせて」


「はいよっ」


 ルフェインは景気良く答える。


「ま、まままま、待ってくれ!」


「そうよっ!私、私達は関与してないのっ」


 王女、王子達が逃れようとするが、ルフェインが映像をさらに流す。


『あの聖女、今どうなってるの?』『あの出来損ないか?ははっ、おいおい、聞こえて来ないんだから平民らしく地面を歩いてるだろ』


「あ、あ、ちがっ、違う!」


『出来損ない聖女、このまま覚醒しなかったらどうするの?』


「ひいいい!や、やめっ」


『パーティに呼んで見せ者にしようぜ?』


『あの偽聖女を?悪趣味ですわ。クスッ』


「あああああ!!違う!違うのですっ!これは、ちが、違うの!」


『愛人にでもするつもりか?』


「ぐ、お、おっ、ぐおおおおおお」


 大声でかき消そうとするけど、頭に声が入っているから全員に声が届く。この音声と映像は全世界に流されていて、最後に文字で描かれるので、それを知った奴らはどう反応するのかな。


『いいかもなあ?どうせ聖女じゃないから、神殿も文句言わないから、聖女のステータスで愛人はなかなかありかもなっ、ははは』


「違います!これは!酒に酔ってた勢いです!わ、わわわ私の意思じゃありません!こ、こここ、こいつらに言わされたも同然でええええええ」


 涙と鼻水でひどい顔になっている。ぷっと笑う。今度はこちらが笑う番。

 彼、男神ルフェインの妻とこわれたということはルフェインを除きこの世で最も重要な存在がパルミティアになる。


 そんな存在をみんなして追い込んだとしれた国。パルミティアらがいなくなったらあっという間に国として生きていけなくなるだろう。知ったことか。


 国民だって、聖女としていつまでも覚醒しない己を馬鹿にして下に見ていたことを知っている。もう誰も信じられない。


 人間不信全開の人生を送ったせいで、今や信じられるのは自分だけだ。ルフェインはこれからに期待するので、数値はまっさらなゼロ状態。

 パルミティアは、父親に親子の縁は切っておいたと、嬉々として教えた。


 精神と肉体の苦痛の慰謝料として、家にあるお金を七割ごっそり貰う。今までされたことを考えたら全部もらうことも道理だったけれど、どうせここから下に転がるだけだしと三割残しておくことにした。


 残りの三割は、パルミティアをこの世に生み落とした謝礼みたいなもの。いわば、母親へのプレゼント。

 そうはいっても、母親も同じように信じてないし助けてくれなかったので、情も義理も責任も感じてない。赤ん坊としてお腹の中にいさせてくれた、滞在費みたいなものだ。

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