03こちらの人生をめちゃくちゃにした報いを受けてもらう
「星に対する制限もないの?」
「いやいや。お前の住んでいた世界でも生物がなにをしようと、星同士が干渉してぶつかっても見えざる存在はなにもしないだろ?」
「た、確かに言われてみればそうかも」
改めて言われる事実にびっくりした。こういう話、現代のことを知らないとできないから楽しい。この世界の人たちじゃ無理な話題。
「じゃ、なにをしたい?全部に付き合うぜ?」
「そうだね。先ずは私を聖女認定した人たちと王家の人たちにバーンとやって」
「了解!おれの嫁さんを勝手に好き勝手したもんなっ。自由にさせるなら許したのに不自由は許さんっ」
「その調子でやっておいて。私は他国にこの国にされたことを言いふらすから」
「おっけおっけ。任しとけ!今度は絶対によそ見なんてしないからなっ」
「ずっといた方がいいよ、本当」
男はフッと笑ってすぐにやっておいたぞと言った。
なにもしている様子はなかったが、なにかしたのだろう。
そこは信頼したい。
「よし、他国にでも行くか?」
「その前に私に何をしたのか国民に知らせたい。今までやられた映像とかを国中に知らせたい」
「うーん。あ!ライブ中継みたいな?やつか?」
「ライブじゃないけど過去の映像を流したい。私を聖女認定した間違いも含めて」
「でも聖女の肩書きはまだ持っといていいと思うがな。好きにできるぞ?」
花嫁だけで十分な肩書きだ。記憶が戻ったからこの世界について知ったのだが、この世界には神の花嫁や神の花婿があちこちにいるらしい。
「神の花嫁のその存在は本物なの?」
「いんや?あいつらは精霊だな。勝手に人間が勘違いしているか、精霊が勘違いさせているか」
「勘違いさせてる?あなたは怒らないの?」
「怒んねーよ。はは!別にこの世界に来るわけじゃないしなっ」
「そっか」
「ただ、お前が困ってるのに気付かず呑気に、色恋に走ってこの世界の管理や変化を放置しているのは呆れてる」
「その精霊に私のこと頼んでたの、もしかして」
「ああ。なのに、あいつらサボったか、おれのことを軽んじたかお前が人として生まれていたから下に見てなにもしなかったか。どちらにせよ減点ものだからなぁ。しばきに行く」
「私も付いてくね」
「勿論、おれの嫁も連れてくぞ」
「さっきから、嫁って言ってるけど」
「い、いや、なのか?」
「ううん。どっちでもいい」
今の環境でまともな人と恋愛して子供を産む、という想像が皆無だったからね。絶望しかなくて。聖女として利用されて政略結婚させられる未来しか見えなかったもん。
そうならなかったのは単に記憶を思い出して、この人がこちらに話しかけてきたからこそやっと回避できる。そして、報復一択。
こちらの人生をめちゃくちゃにした報いを受けてもらう。これからの目的はパルミティアの人生に関わった人たちのざまをみろ計画。
それと、男神の精霊達へのお仕置き。婚約契約書の破棄とこの国の籍の破棄。早速彼に王城に行くためと神殿の関係者を一堂に集めるように頼む。
「おれのことをルフェインと呼んでくれないか?」
「あなたの名前なの?」
「ああ。将来の楽しみと取っておいたんだが。今呼んで欲しい」
「うん。ルフェインさん?」
「いや、いやいやいっ。そこは呼び捨てで」
「ルフェイン」
「あー、なんというか、いいなあ。くううう。最高だ」
本当に嬉しそうでこちらも嬉しい。というやりとりを経て王城に転移。後に王が舞踏会などを開く場所に関係者らを集めた。父親もガムテープを貼っているし、まだ気絶している。一応呼んでおきましたよという方便だ。義理も義務もないからねえ。
「な、なんだ!?」
「聖女!?」
「いや、待て隣にいるのは」
神殿関係者が見たことのない男の捕縛を周りに呼びかける前に、他の神殿関係者が止める。夢枕に立ったんだよなと教えてくれるルフェイン。成程。ちょっとしか時間は経ってないのに色々並行してやっていたらしい。
「る、ルフェイン様!」
「ルフェイン様とは?」
「貴様!講義をサボったな?ルフェイン様は創世を創りし天高きお方だっ!」
もはや赤を通り越して黒くなりそうな顔で、他の神殿職員を叱る。怒っている人は神殿長。神殿で一番偉い人で、叱られているのはナンバーツーの神殿長代理補佐。王族側は王とその周りの血族と婚約者。
「なにごとだ?なぜそんな尊きお方がここに?ま、まさか」
震える王はこちらを見て顔をこわばらせる。
「聖女を追ってきたのですか?」
嬉しそうにいう。ずっこけるかと思った。追ってきたけど、喜ぶ場面じゃない。
「アホを抜かせ。これが褒美をやろうとしているように見えるのか?だとしたら、本気でおめでたい頭をしているとしか思えない」
「なっ」
王は絶句。その他の王族も嫌な予感に顔を引き攣らせている。
「婚約の書類がここにある」
王族達の前でしまっていたらしい紙を目の前に出現させる。それを途端に燃やす。ボッと燃える書類に焦るのは王と婚約者。慌てて近寄りたくても固定しているので動けまい。彼らの慌てる様は見ていて愉快。




