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聖女と勘違いしてなぜ覚醒しないと責めた側があとになって後悔することになるが知るものか  作者: リーシャ


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02こんな世界誰が助けるものか

 生まれてからろくなことをされていないから、とっとと神の花嫁になりたい。こっちの世界で好きなことをして生活してくれと頼まれたが、こんな世界誰が助けるものか。


(この家ともおさらば)


 滅びてしまえ!てなわけで、異世界の知識でこの世を良くする予定は今後ない。あるとすれば自分だけ快適に過ごせる世界だ。世界発展なんて、このまま停滞してしまえばいい。

 薄く笑い口元を三日月にする。母親は怯えたようにこちらを見た。好きなだけ怯えればいい。母親だろうと彼女もこちらの報復対象なのだし。


(お金だって絶対に渡さない)


 名声も名誉も。縁を切る。この家の気配を一切全て消す。そのためには父親の状態を絶対治さないことを決めた。何があろうと聖女として覚醒しようと。覚醒はしない。彼にもう一度話しかける。


「あなたの力を私に貸して」


『わかっている。好きに使え』


「言われなくても、好きに使う。この世界を好きにしてもいいよね?」


『おれからしたらただ管理する世界と言うだけだから。手ずから作ったとか言うわけではないし。お前の好きなようにしてくれて構わない。万が一何か崩れるようなことがあっても、手直しすればいいからな』


 世界を作ってるというより管理をしている相手から許可をもらったので、実質許されているようなものだ。にんまりと笑う。


 今度はパルミティアが世界ごと揺さぶって叩く番。勝手に聖女認定して、違うとなったらガッカリして、やらなくてもいい扱き。相手がそうしたのならば、自分もやっていいことになる。ふふ、ははは、と笑い声が響く。


 パルミティアの独り言……ではなく男神の声が母親にも聞こえたのか頭上を見上げて不安そうにキョロキョロする。今のが聞こえたのか。男神の声が聞こえるとは、都合がいい。母以外にも聞こえるのかと聞くと、聞こえるぞと言われて満足な答えだったので、拳を掲げる。


 声が聞こえるのなら自分が聖女ではないけれど、蔑んでいい存在ではなかった証明がやり易い。この世界、遅れてるし。人の価値観も遅れているし。現代人からしたら原始人だもん。この世界の人達を見下す原因はこの世界の人達。絶対に許すことはない。


 くすくすっ、くすくすっ、と笑う。笑みが止まらない。


 母親はこちらの会話で誰と話しているのか知り顔面蒼白になる。誰に何をやってしまったのか自覚がある分可愛いものだ。さて、父親に自覚があるかな?


 おろおろと落ち着かなくなった母親は部屋を出ていく。出ていった様を見てため息を吐いた。相変わらず肉親とは思えない。


 生まれて自我がある頃からずっと思っていた。この親、ダメっぽいなぁって。暴行が起こってからはもう現代知識を披露しようとした矢先だったので、言わずに済んで行幸行幸。言っていたら、知識を出せとさらに暴行されていたのは想像に難しくないよね。


「えーっと、あなたはなんと呼べばいいの?」


『てっ、よ、呼んでくれるのか!?』


 嫌われてしまったと思っていたらしい。嫌ってはないけど、早めにアフターフォローしてほしかったなとは思うよ。早めにやれたのに、今になって思い出したから話しかけてきた部分に関しては、不可解だった。それについて聞くと一瞬目を離したらこうなった、と。


 パルミティアは頭を揺らしてクエスチョンマークを頭上にやる。どういうことかとさらに聞くと。


「どういうこと?よそ見?」


 よそ見の意味を知ってるのかな。


『いや、本当なんだよなそれが……お前と別れてちょっと確認するために顔を横にしてからお前がよく見えるように見てみたら、今だった……ってオチです……はい、ほんっとにスマン』


「いや、もう、なんか逆によくわかんないから」


『パルミティア!愛だけは本物だっ。信じてくれよ?なっ?なっ?』


「わかってるわかってる。最初に会った時にあれだけ言われたら流石に私だってわかるって」


『本当か?ああ、よかったぁ』


 安堵する声音にこちらもホッとした。もしかしたら、好きじゃなくなって今の状態に変化させられていた可能性が一ミリはあったし。


「この場に来たら?またよそ見して二十年後になるよ」


「それもそうだなっ。お前は可愛いのに賢いなぁ」


 突然目の前に美丈夫な男が現れて、パルミティアはびっくりする。


「いや、いう前に気付いても良かったような……生まれた時に一緒にいればうっかりしなくてよかったよね。私もまさかこんな目に合うと思ってなかった」


「おれもだ。まさか天界の空気を纏ったことによる弊害が起こるとは。そんなことで聖女扱いされるのは分かったとして、その後の対応が天罰対応範囲だぞ」


「天界のルールとか?」


「いや?おれの自分ルール!」


 なんとも臨機応変な男だ。その調子でこの世界をかき回して欲しい。


「神様的な人が下界に干渉していいの?」


「いや、お前の世界風にいうとおれは高層マンションに住んでいて、下に降りてショッピングしたりする感じであって別に干渉云々の制限なんてないぞ。それにこの世界はたくさんあるおれ持ちの星のひとつってだけだしなぁ」


 と、言われてどう反応しろと。全く正解がわからん。

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