47話 草原の地下遺跡
坂となっていた入り口から入った先は、天井を含めた全面が石材でできている通路だ。
地下である内部は不思議と明るく視界には困らなかった。通路は広く横に六人全員が並べるほど。
ミズキたちは先と同じ六人で迷宮の探索を開始していた。
「そういえば皆さんはどんな武器を使うんですか? ボクはこのとおり長柄戦斧ですけど」
そういうとミズキはカバンから長柄戦斧を取り出して見せる。ジャラックも続き、盾と片手剣を取り出していた。
「ああ、俺はこの長槍だな」
ペルナキアは螺旋状の彫りが続く黒槍を見せた。
「僕は普段使うのは大弓なのだけれど、狭いところだとこの小弓と小刀だね」
アルクは矢筒を背負い、手には小弓、腰には小刀とその剣帯が付けられていた。
「俺は土属性の魔法かな~。壁とか岩飛ばしたりとか、あとはアルクの矢を作ったりもできるからいろいろ」
カレヒスは身軽な格好で着の身着のままといったところだ。
「矢ってかさばるから普段は温存できたほうがいいんだよね」
「矢羽だっけ? あれ作るの結構面倒なんだけどね~」
「私は見てのとおりこの長術杖と風属性の魔法よ。支援ばかりであまり攻撃は得意じゃないけどね」
ルーリアがウインクしながら螺旋状の羽が飾りとなっている杖を掲げて見せた。
軽く確認が終われば迷宮の奥へと進んでいく。いくつもの分岐路や曲がり角を進みながらも、アルクが地図を作るために何度か立ち止まっていた。
ミズキとジャラックは先頭を歩き敵を警戒している。
ミズキたちが名乗り出たこともあり、二人が前に、その後ろをルーリア、後方はアルクたち三人によってルーリアを守るような陣形だ。
ルーリアに何かあれば〈風の知らせ〉が解かれてしまうことから、このような配置となっていた。
早速、魔物が近くに来たときの違和感によってミズキが反応する。
「あ、来ましたね?」
「え、なにが来たの?」
ルーリアが問いかけるとジャラックが補足した。
「敵ですよ。いつもどおり私が前に出ます」
「わかりました!」
二人が走りだし、角を曲がった先にはやはり魔物が居た。四つ足の機兵だ。
金属と岩が混ざったような表面からは生きものに見えないが、これも魔物なのだろう。大きさも通路を塞ぐほどにある。
上げた前足を振り下ろしてきたが、ジャラックの盾に弾かれた。
すでに入れ替わっていたミズキが前足を斬り飛ばす。その影からジャラックが現れ別の足へ片手剣を突き刺し動きを封じていた。
ミズキが切り上げた勢いを利用し二撃目を上から振り下ろす。ジャラックが飛びのき、機兵へと長柄戦斧が叩き落とされた。
機兵はひしゃげ、床までもが粉砕される。四人が駆けつけたときには戦闘が終わっていた。
「今のどうでしたか、ジャラックさん!」
「素晴らしかったですよ。連撃も使えるようになっていたのですね」
「えへへ」
褒められたミズキは顔を緩ませる。
「すごいわね……」
砕けた床を見たルーリアが目を見開き驚いていた。
「えげつねぇな」
ペルナキアが唖然とし、残りの二人も声には出していないが同様だろう。
その後も何回か戦闘があったが、ミズキたちの見事な連携でそのことごとくが同じように粉砕されていった。
しかし、それはいつまでも続かずミズキが船を漕ぎ始めてしまう。
「急にどうしたの?」
ミズキの異変に気がつき、心配したルーリアが尋ねた。
「そろそろでしたか。ミズキ、大丈夫ですか?」
「うぅ、眠いです……」
ジャラックが様子をうかがうも、ミズキの眠気は限界に達し始めているようだ。
「このまま進むかどこかで一度休むかは任せます。ミズキはひとまずルーリアに背負ってもらってもいいですか?」
「もちろん構わないわ!」
「お願いします。ほら、ミズキ」
しゃがんだルーリアの背中を前にミズキが迷うが、睡魔に負けるようにしてに持たれかかった。背負われるとすぐに寝息を立て始めてしまう。
「それにしても急にどうしたのかしら」
「恐らくミズキは私たちとは寝る時間が異なるためでしょうか。以前の探索は結構大変でしたよ」
「そうだったの。ああ、それにしても背中が幸せすぎてつらいわ……」
ルーリアがジャラックと話しながらも、背中の温かくも柔らかい感触に顔は緩みきっている。まさに幸福絶頂といった具合で息切れを起こしていた。
「つらいのでしたらやはりどこかで野営を――」
「いえ、大丈夫よ! 気にせず先に進みましょう!」
目を血走らせたルーリアが即座に拒否した。
「いいのですか?」
「これくらい問題ないわ!」
「わかりました。では援護をお願いできますか。ミズキの打撃力は補いようがないので……」
「なるほど、それなら任せな!」
「僕の弓は閉所にはあまり向かないよ?」
ペルナキアが自信満々にうけおう一方、アルクは心配そうにする。
「俺はどうすればいいかなぁ?」
「おまえはてきとうにしとけよ」
「えーひどい」
カレヒスの言葉をペルナキアが一蹴していた。




