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【第六章  島の魂】


大会当日の夜明け。魔王の舞台。

四年前と同じ場所だ。空気の冷たさも、神殿の灯の揺れ方も、変わっていない。



ただ、テルが違った。


胃は、平静だった。

手のひらの汗は、あった。でも手綱を握れる汗だった。


ヴェルティカがテルを振り向いた。緑がかった灰色の目。


「行くよ、ヴェル」


ヴェルは鼻を鳴らさなかった。静かに、翼を広げた。



神殿の巫女がトーチを掲げた。深紅の炎が、朝焼けの空に揺れる。

合図の鐘が鳴った。



    *    *    *



テルとヴェルティカは崖を蹴った。

ヴェルは翼を畳んで断崖から垂直に近い角度で、落ちた。



四年前には出せなかった手。魔王の舞台から、地上まで、急降下。

風が全部になった。視界が潰れた。Gが顔を押しつぶした。

それでもテルは、手綱を握っていた。


三百

二百


それは、灰緑色の槍だった。

生物としての本能を捨てた狂気の加速だった。

島で生まれ、島で育った小さな飛竜。その華奢な翼にかかる負荷は限界を超えようとしていた。


テルの目の前には都大路の石畳が、恐ろしい速さで近づいてくる。

遠くでゆらめいていた魔道灯の銀河が、一瞬で個々の光へと解像度を上げていく。

凍りついたように見上げている観衆の一人一人の顔が、驚愕に目を見開いているのがはっきりと見えた。


地上百メートル。ヴェルが翼を開いた。Gが体を縛る。ぎりぎりで水平に移った。

速度が乗っている。時速三百キロに迫る、急降下からそのまま持ち込んだ速度。


前を飛んでいた本土の大型飛竜を、瞬く間に追い越した。


都大路で上空を見上げている観客たちがどよめいた


「なんだ!? あの小さい飛竜は!!」



木津川のチェックポイントでテルは手綱を一気に引いた。

ヴェルが体を倒した。四十五度を超える深いバンク。翼の先端がチェックポイントのゲートすれすれを横切る。


世界が横になった。

地面が頭の上を走っていく。


ヴェルが旋回を終えた。

速度をほとんど落とさずに、ターンを決めた。

後続の本土の飛竜が大きな円を描いて旋回しているのが見えた。



「これが!これが琉嶋の飛竜乗りだー!!」


実況アナウンサーが絶叫した。



ヴェルが鳴いた。テルも、声が出た。

前に誰もいなかった。

ただ、後方から本土の飛竜たちが迫ってきていた。直線ではどうしても速い。じわじわと、抜かれていく。


それでも手綱を緩めなかった。



中継地点の亀岡に到着したとき、島のチームは九位だった。

マツルがゲートで待っていた。コクヨウの漆黒が、朝焼けの光を吸っている。



    *    *    *



テルは中継地点に向かいながら速度を落とした。

いつもなら着陸して、走って、トーチを渡す。今日は違う。


島の漁師が昔からやってきた技術。先生が教えた秘策。

二年かけて磨いた。部員全員が完璧にこなせるようになって、今回初めて実戦で使用する。



テルはヴェルの体をゆっくりと傾けた。水平飛行から、ゆっくり  反転。

逆さになった。血が頭に流れてくる。空が地面に変わった。

観衆の悲鳴が上がった。墜落か。


マツルが待っているゲートに近づく。コクヨウが静止している。

逆さまの視界。血が頭に上る。その中で、テルは地上で待つマツルの手をはっきりと捉えた。


逆さのまま、テルは腕を伸ばした。

指先と指先が触れる。



一瞬。

炎の灯るトーチが、空中で受け継がれた。


テルがすかさず反転して、コース外に着陸した。

マツルは前方の安全を確認して、コクヨウを発進させた。



観客がどよめいた。審判が旗を上げる。反則ではない。


「合法!!」


誰かが叫んだ。



あの、入り江の岩場では、島の老人たちがラジオにかじりついていた。


「よっしゃ!」 「ようやった、これが島の魂や!」



    *    *    *



園部そのべに差し掛かるころ、霧が出た。霧の丹波路、想定通りだった。

船井ふないから大江へ、霧はますます濃く広がる。

本土の一流と呼ばれる飛竜乗りでも、全力で飛ばすのをためらう難所中の難所。


本土の飛竜たちは速度を落とし、霧の少ない高度を求めて上昇していく。

追尾カメラでさえ視界不良でロストしてしまうような白い空。コクヨウの漆黒の翼だけが霧を切って飛んでゆく。



温かく包み込む、潮騒含んだ島の海霧とは違う。高原の霧は冷たくて、突き放すような、針葉樹の匂いがする乾いた霧。

マツルは、何者をも拒むようなこの空気が嫌いではなかった。


視界は二十メートル先も見えない。

コクヨウの翼が空気を切る音が、岩肌に当たって返ってくる。谷の開ける気配、岩壁の近さ、音の返り方が、わずかに変わる。

霧が視界を奪うほどに音は鮮明になった。


島の海霧の中で、何度も飛んだ。岩礁の位置を、波の音の反響で覚えた。

コクヨウが教えてくれた。飛竜は目が見えなくても飛ぶ生き物だ、と。

切り立った断崖が、針葉樹の巨木が、牙を剥いて待ち構えている。

マツルが指先を動かす。コクヨウは翼をわずかに傾けて音の隙間をすり抜けていく。



岩肌が霧の中から現れた。距離、十五メートル。

今まで一度も試したことのない、ぎりぎりの旋回半径。


コクヨウが小さく唸った。マツルは手綱を緩めなかった。

大丈夫。あなたはここを飛べる。私が、誰よりもそれを知っている。



岩が迫る。


十メートル 五メートル


マツルは瞬き一つしなかった。ただ、コクヨウの首筋に指を沈める。

翼の先端が岩肌をかすめるほどの距離で、旋回した。

コクヨウが大きく鳴いた。

今まで聞いたことのない、短い、鋭い鳴き声だった。

マツルを傷つけることを怖がったのかもしれない。でも逃げなかった。



霧の中で、シュリのマーカーだけが動き続けた。


「霧の中で! なぜ、なぜあそこまで飛べる!!」


実況が叫んだ。マツルは答えない。誰もその姿を見られない霧の中を、一人の騎手と一頭の飛竜が飛んでいた。



霧の丹波路を駆け抜けた。目の前には蒼く澄んだ空と本土の飛竜が二頭のみ。

眼下には群青に染まる久美浜湾が広がっていた。マツルは、わずかに息を吐いた。


カナとフラムルージュはすぐそこにいた。



    *    *    *



丹後たんご半島の海岸に、冬の和津海の風が吹きつける。

経ケ岬の手前に差し掛かったとき風が牙を剥いた。想定の三倍の強さだった。

本土の飛竜は墜落を恐れて高度を上げていた。魔導具をフル稼働させて、飛行を安定させようともがいていた。

しかし、風の牙は容赦なく、煽られて進路を乱される。


カナは高度を下げた。海面まで、十メートル。

フラムルージュの小さな体が、横殴りの暴風に煽られて大きく揺れた。

カナは鞍の上で体を低く伏せ、手綱を両手で握りしめた。指の関節が白くなるほど力を込めていた。


「フラム、もう少し低く」


カナは高度を下げた。


七メートル

六メートル

五メートル


海面がすぐそこに迫っている。波頭が砕け、しぶきが顔を叩く。塩が目に入って、視界が滲んだ。フラムの翼が海水に濡れる。

でも手綱は緩めない。

フラムと共に前だけを見て、波の間をすり抜ける。



経ヶ岬の突端を右にターンするとき、前方に白い壁が立ち上がった。


波だった。高さ十メートル。巨大な水の塊が横倒しになりながら轟音と共に迫ってくる。

左に大波。右も岩礁がある。上は暴風。

避ける場所は、もうない。

フラムが小さく鳴いた。恐怖の声だった。


カナはフラムの背にへばりつくように、さらに伏せた。なおも手綱を緩めない。

大波が目の前まで迫った瞬間、叫んだ。


「フラム 行くよ!」


フラムルージュが鳴いた。翼を、畳んだ。

崩れ落ちる波の内側へ、飛び込んだ。



逆巻く大波のトンネル。水の壁が頭上を覆い、世界が白くなった。

波飛沫を全身に浴びながらもカナとフラムは目を開けていた。ずっと、前を向いていた。


一瞬だった。

大波の筒の中、水の天井が崩れ落ちる直前、二人は抜け出た。

背後で、波が爆音を立てて崩れた。



「なんだ今のは!!!」


実況アナウンサーが叫ぶ。

シュリのマーカーが、首位になった。


「シュリ飛竜部、ただいま首位に立ちました!! 琉嶋列島代表、首位だ!!!」



宮津みやづ湾に入ると、波が治まった。

カナは震える手で手綱を持ち直した。フラムが全身で疲弊しているのがわかった。


カナは掠れた声で口ずさんだ。



島の子守唄。

母が歌ってくれた、おばあが歌ってくれた、古い古い言葉で編まれた唄。


フラムが鳴いた。翼の動きが変わった。疲れた体の奥から、力が戻ってくる。

天橋立から舞鶴湾へ。


カナは笑っていた。

波でずぶ濡れの顔で、楽しそうに笑っていた。



「これは奇跡か! シュリ飛竜部、首位のまま4区の中継地点へ!!」



島のどこかで、誰かが泣いた。カナのおばあが、ラジオを両手で抱えた。



    *    *    *



舞鶴で、カナから首位でトーチを受け取ったとき、カイトは思った。

首位でもらったトーチを首位で渡す。それが俺の使命だ。



美山の深い山脈が始まった。急旋回が連続する。

岩と木々が、すぐ横を高速で流れていく。

各府県のエースが集う四区。後ろから本土の飛竜の風切音が山にこだまする。


カイトは丁寧に手綱を動かした。力ではなく、角度で。アズルマーテルの体重を感じながら、重心の移動で飛ばした。


「力で引っ張るな。角度だ。角度で飛ばせ!」


平良先生の声が、頭の中で繰り返される。



前方に急カーブが見えた。

カイトは歯を食いしばった。


「マーテル!」


体重を一気に右に預けた。

手綱ではなく、体全体で重心を移動させる。


テルに頭を下げて旋回を習った。

初めて頭を下げた相手がテルだったことが、今でも若干おもしろくない。



マーテルも疲弊している。

島の飛竜の中では比較的大型の体が、連続した旋回で悲鳴を上げている。

翼の動きが、わずかに乱れている。



ふいに、カナと過ごした港の光景が浮かぶ。


「飛ぶときは飛竜のことを思いながら飛ばなきゃ。飛竜を愛してあげなきゃだめだよ」


丁寧に丁寧に。マーテルを思え。


急旋回をひとつ越えるたびに、マーテルが鳴く。

うれしそうな鳴き声だ、と初めて気づいた。



山岳の終盤、大原を前にしてマーテルの息が荒くなった。


頼む。もう少し、お前が好きだから頼む。

マーテルが鳴いた。翼の動きが変わった。最後の力を振り絞るように加速した。



最後の中継地点で、ソウシとシルヴァが待っていた。


カイトが背面でトーチを差し出す。手が震えていた。

ソウシはそれを受け取って、前方に着陸するアズルマーテルを見た。

やり切った、とカイトの背中が語っているような気がした。


ソウシはかすかにうなずくとシルヴァが翼を広げた。

カイトが叫んだ。


「絶対に勝ってこい!!」


ソウシは振り返らなかった。

ただ、一度だけ、手を上げた。



トーチは、島の魂は、繋がった。

シルヴァストラーダが、飛んだ。



    *    *    *



ソウシが先頭だった。

信じられなかった。自分でも信じられなかった。あいつらは本当に首位で来やがった。

小さな島のおんぼろ飛竜部。本土より小さく弱い飛竜に、装備も魔導具も型遅れ。

そして、自由に飛べない空。


それでも、それでも。


みんなの魂を持ってここにいる。


テルが作った速度

マツルが守った位置

カナが奪った首位

カイトが届けたトーチ


諦めなかった奴らの魂を全部持ってここにいる。



山科を抜けて、平地に出た。

八幡から大きく弧を描いて宇治へ、古都の市街へ。

残り距離、二十キロ。

魔王の舞台まで、あと二十キロ。



「琉嶋だ! 琉嶋が来た!!」


アナウンサーの絶叫が響いたそのとき、後方から聞きなれない高周波音が聞こえた。

飛竜がマナを開放して飛ぶときの甲高い音。

島の飛竜なら少し濁った音になるが、それは選別に選別を重ねた本土の飛竜だけが生み出す、澄み切った美しい高周波音だった。



ついに来た。

本土最大の名門校、明星飛竜部。

体長十二メートルを超える巨体の飛竜。フルパワーの直線飛行。

翼を広げれば空を覆うような影。巡航速度百六十キロ。

ソウシのシルヴァは、今、百四十キロを必死に保っている。


シルヴァは懸命に飛んでいる。ソウシにはそれがわかった。

手綱を通じて、シルヴァの息が伝わってくる。

限界だ、もう限界だ。それでも止まらない。諦めない。


古都の市街、都大路に入った。

眼下の観衆が二頭の飛竜を大歓声で迎える。



明星の飛竜が並んだ。

相手の騎手が、勝ちを確信した顔でこちらを見た。


「シルヴァ!!」


ソウシは手綱を緩めた。

一瞬だけ、力を抜いた。


明星の飛竜が前に出た。

シルヴァの鼻先を、完全に超えた。



その瞬間、ソウシは手綱を引いた。

シルヴァが、右にわずかに体を傾けた。

風の流れが変わる。

明星の飛竜の後ろに、ぴたりと入った。

眼前の背中はまるで動く城壁だった。本土産の巨躯が押し退ける大量の空気が、巨大な乱気流となってシルヴァを襲う。

しかし、ソウシはその壁の裏側、わずか数メートルの間に真空地帯を見出していた。


スリップストリーム。相手の風圧を、利用する。



風の音が消えた。

ごうごうと、それまで耳をつんざいていた風切り音の代わりにソウシに届いたのは、明星の飛竜独特の高周波音と、翼膜が風を孕む重低音だけだった。


前の飛竜に吸い込まれていきそうになるシルヴァの動きを、わずかに手綱を緩めて制する。

相手の背中まで、わずか三メートル。

ソウシは声を殺してシルヴァに語りかけた。


「もう少しだけ耐えてくれ。みんなの魂を、俺とお前が運ぶ」


シルヴァが低く唸った。翼が震えた。



前方に鞍馬山が見えた。

鞍馬神殿の灯が、赤く揺れている。



    *    *    *



鞍馬神殿、魔王の舞台まで五百メートルの急上昇。

飛竜の限界高度とされる場所へ、明星の飛竜が最後のスパートをかけた。

相手の騎手が飛竜の残っていたマナを全て開放する。高周波音が一層甲高く響き渡り、巨体がグイグイと加速する。


そのすぐ後ろでソウシもシルヴァを急上昇させた。

ぴたりと後ろにくっついて、少しでもシルヴァのマナを温存させる。


前を行く明星の飛竜の、苦しげな呼吸音と、騎手の叱咤する声が聞こえる。

相手も苦しい。選りすぐられた本土の飛竜といえども生き物だ。あの音が少しずつ小さくなっていくのをソウシは捉え続ける。


逃がさない。



残り三百

残り、二百


甲高い唸りが、不規則に、苦しげに途切れ始める。

先にマナを開放させていた明星の飛竜のスピードが、ついに鈍った。


ここだ。


ソウシはわずかに手綱を動かして右に滑り出た。

その瞬間、消えていたはずの轟音が、爆弾が弾けたような衝撃と共に戻ってきた。

引きちぎられそうになる手綱。シルヴァの翼がミシミシと軋む。


「くっ……!」


風の壁が正面からソウシを、そしてシルヴァを押し潰そうと襲いかかる。

しかし、温存していたシルヴァのマナはその壁を突き破るためにあった。

静寂の帯から荒れ狂う風の渦へ躍り出たシルヴァの翼が、溜め込んだ力を爆発させる。


銀色の槍が、空を裂いた。



「いけ!シルヴァ!!」


シルヴァが喉の奥で吠えた。最後のマナを全て、振り絞る。


残り百五十メートル。再び本土の飛竜と並んだ。

やめない。騎手が諦めるまで、飛竜は飛ぶ。

鼻先を並べて、島の飛竜と本土の飛竜が懸命に飛ぶ。


残り二十メートル。

もう誰の声も聞こえなかった。

二頭の飛竜の羽ばたきだけが空を裂いていた。



しかし、限界だった。



魔王の舞台が見えた。

ソウシはシルヴァを着陸させた。走った。境内を、全力で走った。




明星の騎手が、その三秒前に、トーチを捧げていた。


ソウシはトーチを本殿の台座に捧げた。

炎が、燃えていた。消えていなかった。確かに島の魂をつないでいた。




    *    *    *



表彰式。


明星飛竜部の旗が一番高いところに掲げられた。

その隣に、シュリ飛竜部の旗が掲げられた。



二十六チーム中、二位。 準優勝。



カナが泣いた。テルも泣いた。

マツルは泣かなかったが、唇をきつく結んでいた。

カイトは明星のエースを睨んでいた。泣きながら。



ソウシは空を見ていた。


勝てなかった。あと三秒。シルヴァにもう三秒あれば。

三年間で、三秒足りなかった。

でも、シルヴァはやり切った。自分もやり切った。みんな、やり切った。


それでも悔しかった。

やり切ったことと、悔しいことは、別の話だった。



ソウシの元へ明星の五区の騎手が近寄ってきた。


「琉嶋の飛竜は強いんだな」


ソウシは黙ってうなずいた。



    *    *    *



拍手が降ってくる。

古都の、本土の歓声が、波のように押し寄せてくる。


「よくやった!!」

「感動をありがとう!」


その声が、ソウシの耳には、

ちゃぽん、と聞こえた。



平良先生が来た。何も言わなかった。

ソウシの肩をぽんと叩いて、空を見た。


どこまでも蒼く広がっている本土の空を、二人で見た。



鞍馬神殿の炎が、揺れていた。



    *    *    *



島に帰る船の上で、カナが群青に染まる海を見ていた。


今年は土を拾わなかった。拾おうとも思わなかった。

ただ、飛んだ。思い切り、フラムと一緒に飛んだ。


それだけで、良かった。



港には大勢の島人が大歓声でシュリ飛竜部を出迎えていた。


カナのおばあが桟橋で待っていた。カナを見て、泣いていた。

カナはおばあに走り寄って抱きついた。


「おばあ、ラジオで聞こえた? 見えた? あたしとフラムが飛んでるの」



おばあはカナの背中をさすりながら、うんうんと頷いた。言葉にならなかった。



見えたよ。

ずっと聞こえてたよ。

お前が飛んでいく音が、ずっと。



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