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十九
「話だけですよ」
「うむ、よろしい!」
私は飯島君をお菓子と飲み物を広げた机に座らせると、部活の話と自分の好きな星の話をした。
飯島君は私の話をきちんと聞いてくれて、途中で飽きたような顔もせずに最後まで聞き手でいてくれた。そんな飯島君に甘えた私は、自分でも引いてしまうほど星の話してしまった。
私が星の話をしていると、飯島君のスマホが鳴り出した。飯島君は失礼しますとだけ言うとm廊下に出て誰かと話し始めた。
・・・今、何かを見た気がする。この感覚は何だろう。ドアからは電話している飯島君が見えている。私は、その電話しているスマホに目を奪われた。正確には、スマホに付いているストラップに。
「っつ!」
見覚えがある。それどころか、はっきりと今思い出した。何でこんなこと覚えているんだろう。混乱してきた。頭の中に様々な思い出と感情があふれてきている。
「すいません。お待たせしました」
「えっ。うん。大丈夫だよ」
飯島君は自分が座っていた席に戻ると、またスマホを席の上に置いた。私はなるべくそれを視界に入れないように話を続けようとした。
「さ、さっきの話の続きだけど――」
「すいません。俺は天文部には入部しません」
「・・・そっか」
今は、そんなことより大切なことがある。このまま、飯島君を逃がしちゃダメな気がする。
「あのね!部活は入らなくていいから、たまに顔を出して話に付き合ってくれないかな・・って」
「・・・そういうことなら」
私は家に帰ると真っ先に自分の部屋に行き、押し入れの中を部屋に全部だし、その中から必死に目当てのものを探した、
「確か、この辺のはず・・・」
自分がいま必要なものは案外見つからないもので、依然見かけたはずの場所を探しても目当てのものは中々見つからなかった。
もう諦めようかと思った矢先、勉強机の下にある一つの段ボールを見つけた。その中にはs卒業アルバムや文集、思い出の数々が入っていた。他には小さな手作りのアルバムなどもあった。
「ここじゃなかったらどこなの・・・」
箱の中身を取り出すと、一番下に一際古いアルバムが入っていた。
「これだ!」
アルバムを広げると、中には幼稚園から小学生までの私の写真が入っていた。私は、さらにその中から一枚の写真を探した。
ぺーぎをめくり続けると、最後のページにそれはあった。そこにはピースサインで写る私と、私の横に立つ一人の男の子の写真だった。私の服にはガムテープに名前を書いた簡単な名札が貼ってあり、その男の子の胸にもそれはあった。
「てるき・・・」
そこにはハッキリと“てるき”という名前が書いてあった。顔は小学生なことはあって幼い顔をしているけど、飯島くんの面影は確かにあった。
動揺が抑えきれない私は、すかさずスマホを取って一通のメールを送信した。送信完了の画面が映ると、私はベッドに横になり天井を見つめた。この動揺はどこから来るのだろう。
言葉ではハッキリと言えるものの影が唐突に姿を現したことは、私に大きな衝撃を与えた。私は、数年越しの過ちの重さで水の中に沈む感覚を覚えた。




