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十五
「このバカ」
「うっ・・・」
祭りから帰ってすぐ、俺は姉さんにいろんなことを問い詰めた。そしたら、次々に驚くことばかりが姉さんの口から出てきた。俺がずっと持っているストラップが俺の作ったものではないこと、中学から高校まで俺の知らないところで俺のために行動していたこと、内田先輩が俺の初恋の相手だったこと。
「過保護にもほどがあるぞ」
「・・・ごもっともです」
確かに、元々姉さんは俺に対して過保護ではあった。ブラコンと言っても過言ではなかっただろう。しかし、今では狂気じみたものすら感じている。
「そもそも、俺はもう高校生だぞ」
「はい・・・」
正座をして俯いている姉さんは、弱々しく答えた。
まさかあの姉さんがここまで弱々しくなるとは思わなかった。失恋をしたってここまで弱々しくなることはなかった。それほどに、おれのために数年間してきたことは姉さんにとって大切なことだったのだろう。
「・・・とりあえず、姉さんは俺のことそんなに心配しなくていいから」
「でも・・・」
「いいから。姉さん、俺はもうそんなに弱くはないから」
俺は姉さんにたくさん説教をした後、そう言って姉さんの頭を抱きかかえながら撫でた。涙目になっていた姉さんは、そこでついにダムが崩壊したかのように泣き崩れた。
いつまでも泣いている姉さんを抱きかかえながら、俺は内田先輩のことを考えた。
あの先輩はいつから気づいていたのだろう。なぜ、それを俺に言わなかったのか。ひどい振り方をしたことを悪く思ってのことなのか?
姉さんは泣き止むと、寝ると言って二階に上がって行った。
こんなに説教したんだ。さすがにもう過保護になりすぎることはないだろう。もし、次に同じようなことがあったときは、今度は顔面に一発パンチでも入れてやろう。姉さんだし、容赦はしなくてもいいだろう。
しかし、全然気づかなかったな。姉さんは、さすが姉さんなだけはあって上手くやったのだろう。頭がいいのか悪いのか、どっちなのかよくわからないな。
俺も寝ようと自分の部屋に行くと、布団が妙に盛り上っていた。掛け布団をめくると、そこには姉さんが丸まって寝ていた。
「なんで俺のベッドで寝てるんだよ」
姉さんはぐっすりと寝ていて、返事がなかった。
久しぶりに見る姉さんの寝顔は、さっきのような弱々しさとは違った弱さがあった。それは守ってあげたくなるような寝顔だった。俺も案外シスコンなのかもしれない。
「・・・ありがとな。姉さん」
寝ているはずの姉さんの頬が少し赤くなったのは、気のせいだと思いたい。




