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memory  作者: 柊 しゅう
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 十三


 弟ができたと最初に知ったときは、正直言うと姉になることの実感が湧かなかった。自分に新しい家族ができ姉になることは幼いこともあり、実感を持つには大きすぎる出来事だった。

 生まれてきた弟を見ても、その実感はまだ湧いてこなかった。生まれてきた我が子を抱えて大喜びする父と、それを見て疲れ果てながらも笑う母の横で、ただただすごいことなんだと思わされていただけだった。

 しかし、弟とは仲の良い姉弟になれた。弟はいつも私の後ろ付いて歩き、私のする遊びにいつも混ざっていた。その頃の私は、弟とはそういうものだと思っていた。

 私が初めて姉ということを自覚したのは、小学六年の夏休みのことだった。その日は弟と地元のイベントでキャンプに来ていた。何人かの大人の引率の下、子供たちは工作に料理に探検に、いろんなことをして楽しんでいた。

 このキャンプで弟は、珍しく私の一緒にではなく、少し年上の女の子と一緒にいた。

 どうやら弟は、その女の子と一緒に遊ぶのが一番楽しかったらしく、その子とずっと遊んでいた。

 一緒に参加していた同じ小学校の友達と行動していた私は、親に言われた通りにたまに弟の様子を見ては、楽しく遊んでいた。

三日目、最終日の昼過ぎ、私は友達と楽しく話をしていた。そこに、弟が泣きながら走ってきた。驚いた私は、弟を落ち着かせながら何があったのか聞いた。

 どうやら、例の女の子に告白をして、こっぴどく振られたらしい。初めはくだらないと思いながら聞いていると。弟が握りしめている二つのキーホルダーに気づいた。

「これは何?」

「こっちは—――ちゃんにもらったの・・・」

「こっちは?」

「こっちは—――ちゃんにあげたの・・・」

「なんで持ってるの?」

「好きって言ったら、投げてきた・・・」

 そこまで言うと、落ち着いていた弟は、また私の腰に抱きつき、むせかえりながら泣いた。

 そんな弟を見ていると、段々と例の女の子に対して怒りを覚え始めた。恐らくこれは弟の初恋だ。それをそんなひどい振り方で終わらせたことに文句を言ってやりたかった。相手の女の子の下に行こうと、弟を自分の体から離して歩き始めると、弟は、今度は後ろから抱きついてきた。

「いかないで・・・」

 弟は泣きながらそう言った。ここで私は初めて、姉であることの実感が湧いた。弟が生まれてからもう何年も経った今になって、弟は私が守らなければいけないものだと思った。


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