どうも、時間停止ってやつっぽいです
ヴァンプが姿を消してしばらくしてからメリッシュがアルクに近寄って来た。
「………………アルク、大丈夫? ぼーっとしてるけど?」
「ああ、大丈夫だ………………ちょっと待て、ぼーっと?」
「………………? 急に黙り込んで固まってたよ? 体調悪いの?」
メリッシュの言葉に若干の違和感を感じアルクは問いかける。
「……何を言っているんだ? さっきまであの吸血鬼がいたじゃないか」
「………………………………え? 吸血鬼って?」
「ヴァンプだよ、魔王軍のヴァンプ。さっきまでこの場にいたじゃないか」
「………………何を言っているの?」
メリッシュの言葉に続いてジャンニャーとキチリーが驚きの声を上げる。
「……一体どういう事なんでしょうか? 気が付いたらランシアが埋まってるんですけど?」
「ランシアさん一体何してんすかねえ?」
「………………………………見ている通りだが? さっきまで見てたじゃないか」
ランシアの言葉にジャンニャーとキチリーは困惑した顔を作る。
「何言ってんすか? なんか黙っといた方がいい雰囲気だったんで黙ってたらこんなシュールな状況になってたんすよ、いつそんな瞬間一発芸身に着けたんすか?」
「………………とりあえず掘り起こしましょうか?」
ジャンニャーがランシアに言葉をかけ、足を掴む。
「ああ、すまないな。助かる、後でキチリーはぶん殴るが」
「酷いっすね! 私なんもやってないじゃ無いっすか!」
キチリーもランシアの足を掴み引き上げる、その後ろで杖を地面へと突き刺し目を閉じているコープルへとマシットが声をかける。
「あなたは一体何をしているのかしらぁ?」
「……ちょっと待って、今残滓を確認してるから……」
「あぁ、アルクが言っていた吸血鬼のかしらぁ?」
「……そう、ヴァンプとかいうあの吸血鬼……」
コープルは何かが分かったのか目をグワッと見開き杖を引き抜く。
「……確かにここに居る誰のものでもない残滓が一つある……」
「……なるほどぉ、でもあの二人以外は誰も認知出来ていなかったわけだけどぉ?」
コープルは顎に手を当て顔をしかめる。
「……そうなんだけど、でも大体予想はつく……」
「一体どういうことなのかしらぁ?」
コープルは信じられないようなことを語るような口調で考えを口に出す。
「……時間停止魔法以外には考えられない……」
「………………そんな事あるのかしらぁ?」
「……分からないけど、でも一旦皆に話した方がいいと思う……」
「確かにその通りねぇ……………………」
コープルとマシットはアルク達の方を見て言う。
「あのSランクをどう止めるかっていう問題はあるんだけどぉ」
「……落ち着くのを待つしかないかもね……」
二人の視線の先には、拳を握りしめ走り回っているランシアと、追いかけられて全力で立体的に逃げ回るキチリーの姿があり………………捕まった。
「ぎゃー死ぬっすよそれ!」
「うるさい! 死ね!」
「仲間に言う言葉じゃねえ! てか死ぬ………………まってくださいホントにそれは死ぬ! 助けて皆ぁ!」
泣きそうなキチリーの顔を殴りつけんとする、拳を固めたランシアを何とか全員で抑えてコープルたちは時間停止魔法の話をする。その話を聞いたジャンニャーが信じられないという顔で立ち上がる。
「そんなバカな話があるんでしょうか? 時間停止魔法なんて古代中の古代魔法ですよ、そんなまさか………………本当なんですか?」
「……分からない、けど、それ以外には考えられないぐらいには証拠がそろってる……」
アルクが動揺するジャンニャーに対して声を掛ける。
「あの、時間停止魔法って何なんですか?」
「知らないんですか!? 時間停止魔法ですよ時間停止魔法!」
「すまない、そんな常識だろうという感じで言われても私もわからんのだが」
「そんな! 我あなたとパーティーを組むときに時間停止魔法を研究しているって言ったじゃないですか!」
「????????????」
「覚えてないんですか!?」
ジャンニャーがランシアをポカポカとしているのを遠巻きに見ながら、アルクがコープルに尋ねる。
「時間停止魔法ってのは名前的に時間を止める魔法であってるんだよな?」
「……そう……」
「だが俺とランシアさんは動けたんだが、それはいったいどういう事なんだ?」
「……多分だけど、アルクの事は意図的に対象から外したんじゃないかな……」
「………………対象から、外した?」
「……そう、原理は知らないけど汎用性は高いみたい、今じゃ考えられないぐらいいろいろできるのかも、研究のしがいがある……」
コープルは少し声が上ずってる、体験したことが無い魔法に対する研究者魂が暴れているようだ。
「だったらランシアさんも対象から外されてたって事か?」
「……分からない、だけれども外す理由が無いんだったら外さないはずだから、何か理由があって出来なかったと考えるのが正しいかも……」
「魔法ってそういうものなのか?」
「……うん、魔法ってそういうもの、制限や規制があってその上に魔法の効果があるっていう感じ……」
「よくわからないな」
アルクが難しい話に頭を痛ませていたところ外から大きな声が聞こえてきた。
『あーーー………………聞こえているか?』
ギルド長の声だ。
「今のは………………音球放送……!」
「………………珍しいな、ギルド長が音球放送で連絡するなんて」
「っすねぇ、嫌な予感がするっすよ」
音球放送、街全体に散りばめられた音を伝える球。街の中心施設に置かれているメインの球から、街の球へと伝える。
聖徒界の面々は何かを感じ取ったのか、先程とは違った神妙な面持ちになっている。
『緊急事態のため街の設備を使わせてもらっている』
ギルド長の声からは少し焦りの色が見え、その場にいる全員が身構える。
『詳細はここでは話せないから直ちに冒険者はギルドに来てくれ、以上だ』
ザザザッというノイズが少し入り、音は途切れた。
「という事だお前達、行くぞ」
ランシアがキチリーとジャンニャーに言った。
「もう少しお茶していたかったんですが、ギルド長の命令ならしょうがないですね」
「めんどくさいっすね、さぼっていいっすか?」
キチリーがジャンニャーに頭を殴られ、悶絶させられる。
「いってええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!! 何すんすか!!!!!!!!!!!!!!!」
「どう考えてもあなたが悪いですね、さあ行きますよ」
「何をしているんだお前達は、私はもう行くぞ」
ランシアが爆風と共に外へと走りだし。
「あ、待ってください」
ジャンニャーもそれに続く。
「………………あーめんどいっすねほんと」
キチリーも頭を掻きながらジャンニャーの背中を追いかける。
「俺達もすぐに追いかけないと」
「そうだね、というかアリアちゃんはどうするの?」
「………………忘れてた、というかそういえばさっきから声がしないと思っていたんだ」
そう言ってアルクは周囲を見渡す。
「………………おいおい」
そしてアリアが座っていたテーブルを見て信じられないものを見たような顔をしてしまう。
「………………寝てるんだけど」
「さっきの騒動で寝てるってアリアちゃんって凄いね」
二人の目線の先には幸せそうな顔で涎を垂らしているアリアの姿があった。
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