どうも、喫茶店に行きます
「あらぁ? あなた達一体どこに行っていたのかしらぁ?」
マシットが、走って来るアルク達を見つけて声を掛ける。
「……ちょっと人助け……」
「あぁ、なるほどぉ」
全てを察したようにマシットが言う。
「だったらぁ、こっちも助けてくれなあぃ」
マシットは崩れた家を指さして言う。
「とりあえず瓦礫を一か所にまとめようって事になってるのよぉ」
「あ、コープル! 無事だったの! アルクさんも!」
メリッシュが両手いっぱいに瓦礫を持って軽快に走って来る。
「すごい量だな、どこに集めたらいいんだ?」
「えっとね、そうそう! ギルド前に集めてます!」
メリッシュはギルドに向かって走っていった。
「………………メリッシュってあんなに力餅でしたっけぇ?」
「え? どういう意味だ?」
ぽつりと呟いたマシットの言葉にアルクが反応する。
「どういう意味も何もぉ、あんなに瓦礫を持ってあの速度を出せるのおかしいと思いませぇん?」
「………………いや、お前も背中のハンマー持って走ってるじゃん」
「それは魔力を使って体を強化してるからだしぃ、他の人もやってることじゃなぁい」
「だったらメリッシュもそれをしてるんじゃないか?」
「………………あの子にそんなことできるはずがないのよねぇ」
「………………一体どういうことだ? 俺でもしてるんだぞ?」
「………………メリッシュは、あの子は、魔力が無いのよ」
マシットは少し悩んでから言った。
「………………魔力が無い? そんな事あり得るのか?」
「それがあり得ちゃったのよねぇ、だからメリッシュがあんなことをできる訳が無いのよぉ」
「……それが本当なら」
「えぇ」
「あいつは………………」
アルクはだんだん小さくなっていくメリッシュを見て言う。
「あいつは誰なんだ?」
「………………分からないわぁ、だからぁ、正体を探るために協力してくれると助かるのだけどぉ」
マシットは手近にある瓦礫を一つずつ拾って、器用にハンマーに引っかける。
「でもね正直言って成り代わってるって言い切るのも違うと思うのよねぇ」
「………………何でだ?」
「そうねぇ、だってコープルも操られてたんでしょぉ?」
「……まだ言ってないと思うんだけど……?」
コープルは不思議そうに首を傾げる。
「ふふ、そんな事はどうでも良いのよぉ」
マシットは持ち運ぶにはあまりも大きい瓦礫をバキバキに砕いてから持つ。
「それに吸血鬼も来てたじゃなあぃ、だったら入れ替わったと考えるより操られていると考えるのが妥当じゃないかしらぁ?」
「………………そうだな」
マシットは有無を言わさないように話を続ける。
「まあ調査って言ってもしばらくは様子見だとは思うけどもぉ」
「………………そうか」
「だからぁ………………」
マシットは悪い顔をして言う。
「お茶でも飲みにいきましょぉ?」
「滅茶苦茶悪い顔してそんなこと言うの面白いな」
「……お茶誘うときはいつもそう、あれ笑顔のつもりらしいよ……」
「失礼ねぇ、一息つきたいのよぉ」
「というか………………」
アルクは瓦礫で崩れた街並みを見て言う。
「喫茶店開いてるのか?」
「大丈夫よぉ、こんな状況でも開ける様な狂った店長知ってるのでぇ」
「……ああ、あの変態か……」
「そんなに滅茶苦茶に言っても大丈夫なのか?」
「……大丈夫、見たら分かる変態だから……」
アルク達は瓦礫をあらかた片付けてギルドの前に持ってくる。前にはメリッシュがいて、やっぱり大量の瓦礫を持って奔走していた。
「あ、皆! もう大体片付いたみたいだから帰っても大丈夫だって!」
「そうなのぉ、じゃあ飲みに行きましょぉ?」
「私お酒飲めないんだけど」
「お酒じゃなくてお茶よ」
「あ、いつもの所?」
「そうよぉ」
「だったら開いてるね! 行く行く!」
メリッシュは瓦礫を置いてマシットの隣へと走る。
「あ、アルクさんも行くんですか?」
「そうよぉ、新しいパーティーメンバーなんだから当たり前じゃなあぃ」
「え? やっぱり勝手にメンバーにされてるんだけど」
「……いつも強引だから……」




